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「下ろす」と「降ろす」の違いとは? 正しい意味と使い方を解説【例文付き】

にほんご倶楽部

「下ろす」と「降ろす」はとても似た意味を持ち、使い方もほとんど同じです。

ただし、状況によっては使い分けた方が詳細なニュアンスを伝えやすいケースもあります。

そこで今回は、「下ろす」と「降ろす」の違いとそれぞれの使い方を解説。また、言い換え表現もまとめているため、ぜひチェックしてください。

「下ろす」と「降ろす」の違いとは?

まずは、「下ろす」と「降ろす」の言葉の意味を説明します。

「下ろす」と「降ろす」は基本的に同じ意味

「下ろす」と「降ろす」のそれぞれについて辞書を引こうとすると、単独ではなく、両方合わせて1つの言葉として意味の説明が記載されています。

おろす【下ろす/降ろす】

1.上から下に移動させる。
(ア)高い所から低い方へ移す。「屋根の雪を—・す」「腰を—・す」
(イ)操作によって物がおりた状態にする。下に垂らす。「ブラインドを—・す」
(ウ)陸から水面に移す。「ボートを—・す」

2.掲げたものを取り外す。「旗を—・す」「看板を—・す」

3.
(ア)乗り物などから外へ出す。「駅前で客を—・す」「積み荷を—・す」
(イ)(「堕ろす」とも書く)体外へ出す。堕胎する。「子を—・す」」

4.神仏・貴人・客などに供した物を下げる。また、お下がりをもらう。「膳を—・す」「供物 (くもつ) を—・す」

5.生えているものを切ったり、そったりして落とす。「枝を—・す」「髪を—・す」

6.役職・地位を下げたり、辞めさせたりする。「主役を—・される」

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

引用したのは代表的な意味のみですが、これだけでもさまざまなシチュエーションにおける「おろす」があることが分かりますね。

ほとんどの場合は「下ろす」を使えば問題ありませんが、「下」と「降」は若干ニュアンスが異なるため、より詳細に表現したいのであればそれぞれの違いを理解した上で使い分けるのがおすすめです。

使い分ける時のポイントは「移動させるものの位置関係」

「下ろす」と「降ろす」を使い分けるならば、移動させるものの位置関係に着目してみましょう

例えば、ある基準値より低い位置に持っていくだけなら「下ろす」という表現が適切です。一方、乗り物から外へ出る場合や高い地位から外れる場合は「降ろす」を用います。

とはいえ、「降ろす」が適切な場面で「下ろす」を使用しても間違いではありません。そのため、使い分けに悩む時は「下ろす」と表記するのが無難でしょう。

「下ろす」の使い方【例文付き】

「下ろす」は、「物や人を高い位置から低い位置へと移動させる」という意味を持っており、比較的短い距離を移動させる時に使うのが最適です。

他にも、上にあるものが下がってくる様子を表す際に用いることもできます。

例文

・「部屋の棚から荷物を下ろす

・「舞台の幕を下ろす

「降ろす」の使い方【例文付き】

一方で、「降ろす」は「トラックから降ろす」「乗客を降ろす」といった、乗り物から人が外に出る様子を表す際に使うのが一般的です。

他にも、地位のある立場の人が降格する時にも用いることができます。

例文

・「電車から乗客を降ろす

・「部長職を降ろされることになった」

「下ろす」の類語

ここからは、「下ろす」と似た意味を持った別の表現を2つ紹介します。

(1)「下げる」

「下げる」は「下ろす」と同じく、物や人を自分の力で下に移動させるニュアンスで使います。

また、「要求を下げる」といったように、動かすこと以外にも一度外に出したものを自分の元に戻すといった意味合いでも使用が可能です。

(2)「辞める」

「看板を下ろす」には、「廃業する」「店をたたむ」といった意味がありますが、ここでの「下ろす」は「辞める」に近しいニュアンスです。

そのため、「看板を下ろす」の代わりに「お店を辞めることにした」と言い換えれば、話し言葉として伝わりやすくなるでしょう。

「降ろす」の類語

最後に「降ろす」の類語を紹介します。

(1)「押し下ろす」

「押し下ろす」は、「降ろす(下ろす)」をさらに強くした表現で、無理やり地位を下げるといった強制力がある言葉です。

例えば、「満員電車で後から来た人を駅員が押し下ろす」「不祥事を起こしたプロジェクトリーダーの〇〇さんを押し下ろすことにした」といった形で使うことができます。

(2)「退ける」

「退ける(しりぞける)」は、今ある地位から下げる様子を意味する言葉です。また、相手の主張などを受け入れずに拒むことも表現できます。

使い分けに悩む時は「下ろす」を用いるのが無難

「下ろす」と「降ろす」は、辞書的な意味は同じであるため、使い分けに悩む時は「下ろす」と表記するのが無難です。

とはいえ、ニュアンスは若干異なるので、2つの言葉の違いを覚えておけば、より円滑なコミュニケーションがかなうでしょう。

ぜひ本記事を参考に、「下ろす」と「降ろす」を効果的に使い分けてみてくださいね。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2024年04月10日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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