「少々お待ちください」は正しい敬語? 使い方や言い換え表現を解説【例文付き】
ビジネスシーンでよく見聞きする「少々お待ちください」というフレーズ。上司など目上の相手にも使用できる正しい敬語なのでしょうか? 今回は「少々お待ちください」の意味や使い方、言い換え表現を例文と併せて紹介します。
「少々お待ちください」は、待つことを依頼する時に使われる言葉です。
ビジネスシーンや接客など多くのシーンで耳にするフレーズですが、使用場面や相手によっては失礼にあたることもあるのだとか。
今回は、「少々お待ちください」の意味や使い方について、例文を用いながら解説していきます。
「少々お待ちください」の意味
「少々お待ちください」の「少々」には、「ほんのしばらく」や「ちょっとの間」といった意味があります。
従って、「少々お待ちください」は、「ちょっとの間待ってほしい」と相手へお願いする時に使われる言葉です。
取引先の人やお客さまを待たせる場合は、このフレーズを活用し、事前に時間を要することを伝えておくことで丁寧な対応となるでしょう。
「少々お待ちください」は目上の人にも使える敬語表現?
「少々お待ちください」は正しい敬語表現ですが、「ください」が命令口調なので、言われると不快に感じる人もいるかもしれません。
そのため、まだ関わりが少ない取引先の相手やお客さまなどに使用する際は、「少々お時間をいただけますか」や「少々お待ちいただけますか」のように言い換えるのがおすすめです。
「少々お待ちください」の使い方と例文
「少々お待ちください」は、相手を待たせる際の声掛けとして使われる言葉です。「すぐに対応するけど、少し時間が欲しい」という時に用いると良いでしょう。
また、時間をいただく上で、何も言わずに待たせてしまうと相手の気分を害してしまう可能性があります。そのような時に、あらかじめ「少々お待ちください」と伝えておくことで、丁寧な対応となるでしょう。
ビジネスメールや電話応対、顧客への接客など、さまざまなシーンで使われる言葉ですので、ぜひ使い方を覚えておくのがおすすめです。
例文
「すぐに担当の〇〇が参りますので、こちらで少々お待ちください」
「ご質問いただきました件についてすぐにお調べいたしますので、このまま少々お待ちください」
「少々お待ちください」を使う時の注意点
「少々お待ちください」を使う際にはいくつかの注意点があります。場合によってはクレームにつながってしまうこともあるため、きちんとポイントを押さえて使用することが大切です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
(1)長時間待たせる時には使わない
「少々お待ちください」という言葉は、相手を長時間待たせるシーンには適していません。
冒頭でも述べたように、「少々」には「ちょっとの間」という意味があり、言われた側は「すぐに対応できるんだな」と受け止めてしまうためです。
「少々」と言われたにもかかわらず長い間待たされると、相手は「いつまで時間がかかるんだ」と不満に感じることでしょう。
そのため、このような場合は具体的な時間を述べるか、「少々」よりも長い期間を示す「今しばらくお待ちください」といった表現を用いるのがベターです。
また、電話での対応あれば「お時間がかかりますので、改めてこちらからお電話を差し上げる形でもよろしいですか」と、かけ直す方法を選びましょう。
(2)時間の目安が分かる時は具体的に伝える
対応にかかる時間の目安が分かる時は、「5分ほどお待ちください」など明確な時間を伝えるのがおすすめです。
「少々お待ちください」という言葉はあいまいな表現になるので、お互いの「少々」の解釈に相違が生まれる可能性があります。
例えば、相手が「少々」を「ほんの数分」と捉えていた場合、それ以上待たせてしまうとクレームにつながりかねません。
誤解を招かないためにも、およその時間が分かる場合は数字で伝える方が良いでしょう。
(3)場合によっては語尾を言い換える
「少々お待ちください」は正しい敬語ではありますが、相手によっては命令口調のように捉えられてしまうことがあります。
そのため、より丁寧な言い回しにしたい場合は、語尾を言い換えて用いると良いでしょう。例えば、次のような言い方が挙げられます。
・「少々お待ちいただいてもよろしいですか」
・「少々お待ちくださいませ」
・「少々お待ちいただけますか」
「~していただいてもよろしいですか」といった相手の都合をうかがう言い回しであれば、命令口調のように捉えられることもないでしょう。
言い換え表現については、次項でさらに詳しく解説していますので、そちらも併せて参考にしてみてください。
「少々お待ちください」の言い換え表現
「少々お待ちください」は、他の言葉にも言い換えができます。待たせる相手や時間の長さ、状況によって、適切なフレーズを使い分けましょう。
(1)「少々お時間をいただけますか」
目上の人に対して「待ってほしい」とお願いをする場合は、「少々お時間をいただけますか」に言い換えるのがおすすめです。
「待つ」を「時間をいただく」という表現に変えることで、より相手の立場に立った丁寧な言い回しとなります。
また、前述の通り「少々お待ちください」というフレーズは命令口調のように捉えられる場合があるため、使うシーンや相手には十分配慮しなければいけません。
クレームになりそうな場面や目上の人に用いる場合は、「少々お時間をいただけますか」といった相手の都合をうかがう表現にした方が良いでしょう。
その他にも、「お時間を頂戴したく存じます」や「お時間をいただければ幸いでございます」といったフレーズにも言い換えができます。
例文
「現在登録作業を行っております。まもなく完了いたしますので、少々お時間をいただけますか」
「資料の修正について承知いたしました。すぐに取り掛かりますので、少々お時間をいただけますか」
(2)「少々お待ちいただけますか」
「少々お待ちいただけますか」も「少々お時間をいただけますか」と同様に、相手の都合に配慮した言い方となります。
「少々お待ちください」のように命令のニュアンスがないことから、お客さまや取引先の人に対して使うのにも適した表現です。
例文
「お並びいただいているお客様を順番にご案内しておりますので、少々お待ちいただけますか」
「○○様のご予約の確認をいたします。そちらでおかけになって少々お待ちいただけますか」
(3)「今しばらくお待ちください」
「少々お待ちください」よりも長く相手を待たせることになりそうな時は、「今しばらくお待ちください」に言い換えられます。
「今しばらく」をどのくらいの時間で想定するかは人それぞれですが、一般的には電話や対面の場合は数分程度、メールであれば数日程度といわれています。
状況に応じて、「少々」と「今しばらく」を上手に使い分けましょう。
例文
「このたびは、当ショップの商品をご購入いただきありがとうございました。商品の到着まで今しばらくお待ちください」
「商品の故障の原因について、現在システム部で調査中でございます。詳細が判明するまで今しばらくお待ちくださいませ」
「少々お待ちください」は相手を待たせる際の声掛けとして使える言葉
「少々お待ちください」は、相手を待たせる際の声掛けとして使われる言葉です。「すぐに対応するけど、少し時間が欲しい」という時に用いると良いでしょう。
ビジネスシーンでも使用可能なフレーズですが、受け手によっては命令口調のように捉えられる場合もあるため注意が必要です。
より丁寧に対応したい場合は、「少々お時間をいただけますか」や「少々お待ちくださいませ」といった言い換え表現を用いるなど、状況によって上手に言葉を使い分けてくださいね。
(にほんご倶楽部)
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※この記事は2023年12月27日に公開されたものです