【第9話】激務に脳がやられたシンデレラと、プライドを殺して尽くした男の遅すぎる告白
恋愛・婚活コラムニストのやまとなでし子さんが、月9ドラマ『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)を毎週考察&展開予想するコラムです。真夏の海で運命的に出会った男女の恋愛群青劇を描く同作。学歴も環境も異なる彼らにこの夏、一番の恋の予感!? 8人の男女が真夏の海で織り成す恋愛模様を考察します。
※このコラムは真夏のシンデレラ9話までのネタバレを含んでいます。
「夏休み」「何する」でググる、激務末期の夏海
夏も終わりに近づき、kohola食堂も落ち着いてきた頃。夏海(森七菜)に親父(山口智充)がくれた突然の夏休み。親父の「店は任せろ!」発言は、第一話のように「任せろとは言ったものの、結局夏海がいないと回らず、夏海休めず」の伏線か、とヒヤヒヤしましたが、しっかり夏休みが取れたようで一安心。
しかし、仕事から家事まで休みなく働き、毎日の激務に脳が侵されている夏海は、突然夏休みと言われても、何をしていいのか分からず「夏休み 何する」でググる始末。骨の髄までブラック企業勤務ばりの激務にしっかり漬け込まれ、負の環境に順応しすぎています。
体が激務仕様に仕上がりすぎです。余暇の天才、というかほぼ余暇しか過ごしてなさそうな親父を見習ってくれ。
Google先生の教えにより、「普段できないこと。前からやってみたかったことをやるといい」という、至極普通な回答を手にいれ、夏海は夏休みの企画を始めるのです。
プライドを押し殺してでもチケットを手に入れる匠の愛
行きたかったライブのチケットが、すでに売り切れだったことを夏海から聞いた匠(神尾楓珠)は、「健人(間宮祥太朗)なら、手に入るのでは?」という夏海弟の助言により、健人に電話突撃。
金持ちネットワークを駆使すればなんとかなるかも! という、他力本願な発想。「夏海に近づくな」と啖呵を切り、連絡先すら知らなかった健人の番号を聞き、チケットの手配をお願いするなんて……匠、お前にプライドはないのか⁉️ はたまた、それだけ自分を押し殺してでも夏海を喜ばせたかったという、愛の力か。おそらく後者ですね。Love is No.1.
企画者<<伝書鳩で分かる夏海の気持ち
チケットの話が流れに流れつき、皐月(山崎紘菜)の元に。その結果、皐月のコネでチケットが手に入り、喜ぶ夏海。そして、次にお礼を言うのはもちろん匠、ではなく健人。
チケットを手配した皐月にお礼を言ったなら、その次は夏海を思ってチケットを取ろうと動いてくれた、企画者である匠にお礼を言ってしかるべきなのに、ほぼ何もしていない、ただの伝書鳩である健人に真っ先に連絡するとは。
匠の他力本願スタイルはさておき、「夏海にチケットを取ってあげたい!」という発案は匠なのに、これは泣けます。でも、この連絡の優先順位に夏海の気持ちがはっきりと見えます。もう夏海の中では迷うことなく匠<健人なんですね。
匠はやっと自分の気持ちに気がついて、夏海に思いを寄せ始めましたけど、時すでに遅し。
死亡フラグしか立ってない匠の告白
念願の緑黄色社会のライブに夏海と、チケット獲得伝言ゲームを実施した3人、健人、皐月、匠で参加することに。「今誰かに恋してる人!」というボーカルの煽りで、見つめ合う健人と夏海。ライブを楽しみながらいちゃつく二人をすぐ後ろから見続ける、夏海と健人にそれぞれ思いを寄せる匠と皐月。
この二人は後列で一体何を見せられているんだ? 状態。緑黄色社会のライブとは別に、アリーナ席で自分が好きな相手がいちゃつく様子をずっと見続けるという、地獄のライブが開催。このライブチケットいつ取りました?
そして、江ノ島に帰り、匠は「夏海の存在が近すぎて見れなかった。でももう違う。夏海と一緒にいたい。一番大事にしたいって気づいたから」と告白をします。
いやいやいや! ちょっと匠! 話数確認して! もう9話だよ? 遅すぎんのよ! こんなラブラブの健人と夏海を前に、話数あと2話で告白されても! 完全に死亡フラグしか立っていないこの告白に、なんだか不憫なお気持ちを抱きました。
これがまだ健人とくっつく前だったら、少しはハラハラドキドキ、どっちとくっつくの〜? ってワクワクもあったと思うんですが、ここまで盤石な二人の姿を見せられてしまうと、匠の墓が立つ未来しか見えません。
万が一、夏海と健人の交際に健人のご家族ブロックが入ったら、その時匠はこぼれ球を拾いに行け! お前にできるのはそれだけだ! ファイッ!
燃料をガンガン投入され、アイドリングバッチリな宗佑
毎度トリッキーな恋愛アプローチを仕掛ける医師・宗佑(水上恒司)がkohola食堂に行くと、思いを寄せる理沙(仁村紗和)家族が食事をするところにバッティング。
そこでの空気感から、理沙の元旦那は、理沙が宗佑に思いを寄せていることに気づきます。「俺が理沙を我慢させていたから、ちゃんと気持ちを聞きたい」と、元旦那は理沙の気持ちをはっきりと引き出しました。しかし、「母親業が優先だから、子どものためにこの気持ちはしまっておく」と宣言する理沙。
一方、宗佑は後輩から「元旦那と気まずそうでしたね! でも理沙さん、独身なんだから好きになっても大丈夫ですよ!」と、ガンガンに焚き付けられていました。
後輩よ! 燃料入れるな! 宗佑! 「せやなぁ…」みたいな顔するな!
宗佑はエンジンがかかると、アクセルベタ踏みのとんでもない加速度でアプローチしてくるので、後輩が投下しまくった燃料でどんなアプローチを仕掛けてくるか、怖くもあり、楽しみでもあります。次回、期待大です!
童貞監督・守の無病息災が愛梨と修の関係をつなぐ
初めての彼女に対し、何をどうしていいのか困惑する修(萩原利久)は、愛梨(吉川愛)へとにかく連絡しまくります。
好きを確かめ合った後は、お互いの距離感をつかむという、定型の答えがない作業に対して、「付き合ったら毎日話すべき」という「童貞の考えるルール」を正義として、真面目に毎日電話をしてしまうのです。
愛梨も愛梨で、今まで付き合ってきたのがクズ彼だったため、彼氏から連絡が来なくて困っていた状況から、連絡が来すぎる状況のギャップに困惑。
「このくらいの頻度がいい。試験があるからこの日までは連絡が取れない」と愛梨もはっきり伝えれば、とにかく忠犬のように守るであろう修に対し、「あまり連絡頻繁なの好きじゃない。しばらく連絡控えよう」とまたふんわりと伝えたがために、人の気持ちや距離感が分からない修にとって意味不明すぎるハードモードに突入。
問題が起きるたびに気づき、フォローをしてくれる守(白濱亜嵐)の教えを忠実に守ることで、修はなんとかうまく関係を継続していますが、愛梨が修の性質や扱い方を完璧に理解するまでの間に、童貞監督・守の身に何かがあった瞬間、二人の関係は壊れます。
守に災難が起きぬよう、無病息災を祈るばかりです。無病息災! 家内安全! 健康祈願!
(やまとなでし子)
※この記事は2023年09月11日に公開されたものです