称賛・賞賛・称讃・賞讃の違いは? 意味や使い分け・類語【例文付き】
同じ「しょうさん」と読む「称賛」「賞賛」ですが、意味に違いはあるのでしょうか? 今回は「称賛」「賞賛」の意味や使い方のほか、「称讃」「賞讃」との違い、類語表現について例文を交えながら解説します。
ビジネスシーンで相手を褒める言葉として、候補となるのが「称賛」や「賞賛」です。いずれも公の場に適した言葉ですが、使い分けに迷う人も多いのではないでしょうか。
この記事では、「称賛」と「賞賛」の違いをひも解いていきます。言葉の意味からメールや文書での使い方・例文、最後には類語も紹介するのでぜひご一読ください。
「称賛」と「賞賛」の違いとは
「称賛」と「賞賛」は、同じく「褒めたたえる」という意味を持つ言葉です。
ただし、シーンによって使い分けされており、その違いはどこにあるのだろうと疑問に思うでしょう。
まず、「称賛」と「賞賛」それぞれの意味を見てみましょう。
「称賛」と「賞賛」の意味は同じ「褒めたたえること」
「称賛」また「賞賛」の意味は、次の通りです。
しょうさん【称賛・称讃・賞賛・賞讃】
ほめたたえること。〔新聞では「称賛」を使う〕
(三省堂『大辞林 第四版』)
辞書における「称賛」と「賞賛」の意味は明確に分けられておらず、どちらも「褒めたたえること」という意味があるということが分かりました。
「称賛」と「賞賛」の違いは「褒める状況」にある
先述の通り、「称賛」と「賞賛」の意味はいずれも「褒めたたえること」です。一見すると同じ意味に捉えられますが、漢字に注目するとその違いがうかがい知れます。
「称賛」の「称」は、「ほめあげる・たたえる」に加え、「となえる・呼ぶ」などの意味を持つ言葉です。どちらかというと、「声に出して褒める」というニュアンスがあります。
一方、「賞賛」の「賞」には、「褒める」に加え、賞状や賞金、賞品などの財貨という意味があります。「功労に相当する物を与えて褒める」といった意味合いがあるとひも解けるでしょう。
まとめると、「称賛」は「言葉で褒めること」であり、「賞賛」は「物を与えて褒めること」といえるでしょう。
「称讃」や「賞讃」との違い
「称賛」と「賞賛」によく似た言葉に、「称讃」と「賞讃」があります。漢字に変換する時に迷ったことがあるかもしれませんが、どちらも意味に違いはありません。
「称讃」「賞讃」ともに、前述の通り、言葉・金品によって褒めたたえることという意味です。
「称讃」や「賞讃」は、メールや文書に用いても間違いとはいえません。ただし、「讃」は常用外漢字であるため、「称賛」もしくは「賞賛」と表現するのが一般的です。
「称賛」をビジネスで使う時の使い方・例文
「称賛」は、「声に出して褒めたたえる」という意味を持っています。
公の場で使われるのが一般的のため、ビジネスやアート、スポーツの分野で重宝するでしょう。特にビジネスシーンでは、仕事の内容や成績において、相手を褒めるシーンに使用できます。
それでは実際に、「称賛」を使った例文を見ていきましょう。
例文
・彼の勇気ある行動は、称賛に値する。
・彼女の作品を発表した時、称賛の嵐が巻き起こった。
・○○さんはあまりに仕事ができるので、社内全員の称賛の的です。
「言葉で褒めたたえる」という意味の「称賛」は、相手の行動や作品、仕事ぶりがすばらしいと唸るシーンにぴったりの言葉です。
褒めたい相手に直接「称賛します」とはあまり使えませんが、「称賛に値する」といった言い回しで使われます。
また、自分が褒められる立場であれば、「称賛を受ける」や「称賛を浴びる」と使うのが適切です。自分もしくは相手の状況を指す、「称賛の嵐」や「称賛の的」といったフレーズも身に付けておくと役立つでしょう。
「賞賛」をビジネスで使う時の使い方・例文
「賞賛」は、「物の授与をもって褒めたたえる」という意味です。
主に公の場で、賞金や賞状、トロフィーなどを与える・受け取るシーンに用いられます。ビジネスシーンでは、社内外のコンテストやコンペなど、賞をかけたイベントに好適です。
それでは続いて、「賞賛」の使い方を例文と一緒にチェックしてみましょう。
例文
・彼は営業成績をぐんぐん伸ばし、ついに賞状をもらって賞賛されました。
・毎年開催されるコンペで勝ち抜き、その賞賛としてトロフィーをいただいた。
・参加者多数のコンテストで優勝を掴み、賞金を獲得し賞賛された。
「賞とともに褒めたたえる」という意味のある「賞賛」は、相手もしくは自分が、賞状やトロフィー、賞金を獲得するシーンに適した言葉です。
「称賛」より頻度はそこまで高くありませんが、仕事の成績にかけて思わぬ賞をいただくことがあれば、「賞賛」を用いて表現してみてください。
「称賛」「賞賛」の類語
「褒めたたえる」という共通の意味を持つ言葉は他にもあります。メールや文章での表現の幅を広げるため、言い換えのバリエーションもあわせて身に付けておきましょう。
「絶賛」
「絶賛」は、「称賛」の類語にあたります。「称賛」より褒める度合いが強い言葉で、この上もなく褒めたたえたいシーンに好適です。
多くの人にこの上ないお褒めの言葉をもらった場合は、「絶賛を博す・博した」といった言い回しを用いてみましょう。
「賛辞・讃辞」
「賛辞・讃辞」も、「称賛」と近しい意味の言葉です。声で褒めるという意味を持つ「称賛」に対し、「賛辞・讃辞」は褒めたたえる言葉そのものを指します。
相手を褒めたい時は、「賛辞を呈する」や「賛辞を述べる」といった動詞を組み合わせて使ってください。
「賛美・讃美」
「賛美・讃美」も「称賛」と同じく、「褒めたたえること」という意味を持つ言葉です。
主に対象の美しさを褒める言葉として知られており、「賛美歌・讃美歌」にもその字が使われています。ビジネスシーンでは作品や曲など、アートにまつわる部分を褒めたい時にぴったりです。
「礼賛・礼讃(らいさん)」
「礼賛・礼讃」とは、「褒めたたえること・有難く思って褒めたたえること」を意味する言葉です。
「称賛」と同じ意味合いを持っていますが、元々は仏教用語です。有難みを感じるという部分が違うところで、「先人の偉業を礼賛する」のように表現します。
「表彰」
「表彰」は、「賞賛」と同等の意味を持っています。「功績や善行を世に広く明らかにして褒めたたえること」を意味し、人々の前で賞状など金品の授与が行われることが一般的です。
ビジネスシーンでは勤続年数の長さを褒めるほか、賞状を伴う「表彰状」という言葉にも使われます。
「称賛」は「声に出して褒める」、「賞賛」は「物を与えて褒める」
「称賛」と「賞賛」は褒めるという共通の意味を持つ言葉ですが、褒める状況に違いが見られます。声に出して褒めたたえるシーンには「称賛」を、また賞金や賞状などの物を与えて褒めるシーンには「賞賛」を使いましょう。
また、「称賛」や「賞賛」には類語が存在します。類語も上手に活用しながら、状況に応じた言葉を選んでビジネストークを盛り上げましょう。
(にほんご倶楽部)
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※この記事は2023年08月30日に公開されたものです