転職するタイミングを逃した。このままがんばる? 思い切って異業種にチャレンジ? 悩めるアラサーのキャリアプラン
働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちが回答します。今回の回答者は、トイアンナさん。
今回のお悩み「給料が上がりにくい業界から異業種に転職するか悩む」
専門的な技術が必要とされる業界で働いて10年以上。長らく給料が上がらないことに悩んでいるのですが、思い切って異業種へ転職するか悩んでいるのですが踏み切れません。30代半ばの今からでも異業種にチャレンジできるものでしょうか。(35歳/窯業、セラミック・技能工)
こんにちは、トイアンナです。
今回ご相談くださった方のお勤め先は、窯業! 思わず読み方を調べさせていただきました。「ようぎょう」といって、レンガなどを成形・加工する業界にいらっしゃるのですね。
確かに専門性が高い業界だと思いますし、現在の需要を考えてもなかなかボーナスや基本給の増額を見込める展望は……無さそう……ですね。
「私も窯業なの!」という方は少ないかもしれませんが、専門性が高い割には給与がイマイチで、転職を考えたい……という女性はたくさんいらっしゃると思います。そこで今回は、「これまでの専門性はありつつも、将来性が不安。できたら別の職種に行きたい!」という方に向けて、お話しさせていただきます。
異業種間の転職は意外とある
まず、異業種間の転職は意外と、かなり、あります。転職者を対象とした調査では、転職者の6割が異業種を選んでいます(※)。私も「マーケター」という職種こそ同じですが、新卒は洗剤を、転職先では高級時計を販売していた「異業種転職」経験者です。売っている単価も100円から1億円へと激変しており、業界の違いに驚いたものです。
特に、経理、営業、マーケティングなど、どこでも必要とされやすい職種の人は、異業種転職が楽にできる傾向があります。社風は違っても、やることが似ているからです。逆に、業界が同じでも人事から営業など、職種を移動する転職のほうがハードかもしれません。
相談者さんがどんな職種を経験されているか存じませんが、もしどの会社にもありそうな強みをお持ちなら、異業種転職も楽にできるかと思います。こういった業界を問わない強みについて、詳しく知りたい方は、企業を超えて発揮できるスキルこと「ポータブルスキル」で調べてみることをおすすめします。
完全な異業種転職は35歳が限界かも
とはいえ、異業種転職がスムーズにできる年齢は、一般的に35歳までとされています。これは別に34歳だからいける、36歳はアウト! という話ではなく、「管理職を経験したか?」の境目になりやすい年齢だからです。
35歳を超えると、多くの企業は部下を持たせ、マネジメント経験を積ませます。したがって、35歳以上の転職で「マネジメント」というポータブルスキルを持っているかどうかで、難易度が大きく変わってくるのです。
もし相談者さんがすでに部下・後輩育成経験を豊富に持っているのであれば、異業種転職はそこまで難しくないはずです。逆に、マネジメント経験が全く無いにもかかわらず異業種へいこうとされるならば、年収ダウンは覚悟して挑む必要があるでしょう。
異業種でも前職が活かせる場所を狙う
とはいえ、マネジメント経験が積めるかどうかは企業の平均年齢や、上のつまり具合によっても違いますよね。そこで、マネジメント経験が少ないけれど転職したい方におすすめなのが「前職の専門知識が役立ちそうな異業種探し」です。
たとえば、レンガ成形の専門知識を持っていたら、建売住宅を売るときにお客様を説得できそうじゃありませんか?
「この道10年の私が申し上げますが、○○建築のレンガは最高級品ですよ」
「いいレンガは叩けばわかるんです。中がみっしり詰まったレンガは、鈍い音がしますから」
なんて言われたら、その建築会社で家を建てたい! というお客様も出てくるでしょう。
こんなふうに、自分の知識を喜んでもらえる業界を考えてみてから、転職先の求人を見てみることをおすすめします。面接でも自己PRしやすく、内定へ直結するはずです。
※上記のレンガに関する豆知識はすべてトイアンナのでっちあげです。信じないでください。
できることと市場成長率の掛け算で見る
さらに、異業種転職では「やりたいこと」を追い求めがちです。しかし、「やりたいこと」で食べていける人はほんのわずか。収入アップを目指すなら、やりたいことより、「できること」を考えてみましょう。
たとえば、私はライターをしています。なぜなら、私は文章を書くことが人より得意だからです。好き・嫌いというより、「呼吸のようにできる」が最も近い感情です。こういった仕事を選ぶと、「好きだけどできない」「好きなのに評価されない」といった苦痛で、病むリスクが減ります。評価されやすいので、収入アップにも繋がるはずです。
また、その市場が成長市場かどうかも重要です。いくら得意なことを寄せ集めても、そのスキルを求めている人が少なければお金になりません。たとえば窯業の専門知識を活かして建築業界に行くとすれば、今後も都心部の地価は上がるため需要が見込めます。
ところが、同じ知識を活かして伝統工芸店の切り盛りをしたいと思っても、なかなか求人は少ないでしょうし、あっても年収ダウンは避けられないでしょう。年収は本人の能力でなく、業界によって決まります。どんなに専門性が高くても、それを活かせない市場にいってはいけないのです。
異業種転職は、自分の立ち位置をレベルアップさせるいいチャンス。ぜひ、「自分が得意なこと」と「成長する市場」の掛け算で、年収アップを狙ってください。
令和のマネーハック78
異業種転職では、まず、ポータブルスキルが重要。専門知識や得意なことなどの強みを活かして、市場成長率なども考えながら転職にチャレンジしよう。
※【最新調査】異業種への転職が多い業種は?異業種へ転職している人はどんな人?
https://doda.jp/guide/saiyo/012.html
(文:トイアンナ、イラスト:itabamoe)
※この記事は2023年07月10日に公開されたものです