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人生最高の瞬間を演出する「感動キャリ」。星のや東京・長谷川梨奈さんの働き方

#働くわたしの選択肢

ミクニシオリ

「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。

取材・文:ミクニシオリ
撮影:大嶋千尋
編集:鈴木麻葉/マイナビウーマン編集部

頭の先から指先、つま先まで、丁寧で清楚。まさに大和撫子のような、精錬された魅力を持つ長谷川梨奈さんは、日本各地にリゾートホテル・温泉旅館などを構え、ホテル業界を牽引する星野リゾートの中でも、ラグジュアリーで上質なおもてなしを提供する「星のや東京」のサービスチームメンバーとして働いています。

いわば接客の「匠」でもある彼女ですが、星のやで培ったキャリアは、私たちが「旅館 スタッフ」に想像するキャリアとは全く違うものでした。

社内キャリア制度を使って異動。入社4年目で新しい挑戦へ

ミクニ
ヘアアレンジも日本らしく、凛々しいお姿がすてきですね! 思わず見惚れてしまいます。
長谷川さん
ありがとうございます。以前は、身だしなみや所作、言葉遣いなどをスタッフに指導するS-pro (エスプロ) という業務を担当しておりました 。改めまして、「星のや東京」のサービスチーム所属、長谷川梨奈と申します。

ミクニ
さっそくなのですが、長谷川さんのこれまでのキャリアを教えてください。
長谷川さん

新卒で星野リゾートに就職し、現在7年目になります。入社時は「星のや京都」に在籍していましたが、3年を経て「星のや東京」に異動になり、現在に至ります。

ミクニ

就活時はホテル業界に絞っていたのですか? 全国転勤ありきで、ライフプランが流動的になるイメージがありました。

長谷川さん

就活時は、人々の特別な時間に携わる仕事がしたいと考え、ホテルやブライダルの業界を見ていました。どちらも忙しく、大変な仕事だろうと覚悟はしていましたが、実際に星野リゾートに入社してみたら、体力、知力、気力のすべてを使う仕事であるということを実感しました。

最初に配属された「星のや京都」は、若いうちに研鑽を積みたいという自分の意思で希望していましたし、出身地である東京で、新たな挑戦に踏み出したいと考えた際も、自身で手を上げました。

星野リゾートでは、新規開業に合わせて、全社員に向け公募を募ります。また、 キャリア制度を利用して、異動の希望を出すことができるので、基本的に会社から一方的に異動辞令が出ることがないところもうれしい驚きでした。

ミクニ
なるほど! いい意味でホテル業界のイメージを裏切られますね。では、最初の勤務地を京都にしようと思ったのはなぜですか?
長谷川さん
星野リゾートに入社し観光の仕事に携わると決めてから、2020年の東京オリンピックの時にどこで何をしているかが、一つの分岐点となると考えていました。「星のや京都」には海外からいらっしゃるお客様も多いため、語学力を活かした仕事が経験できると思ったのがきっかけです。
ミクニ
現在お勤めの「星のや東京」にはどのような魅力を感じていましたか?
長谷川さん

京都と同じく、星野リゾートの中でもグローバル展開を見据えた、ある種の挑戦を兼ねたラグジュアリーホテルであるということと、東京オリンピックに合わせて、出身地でもある東京で宿泊運営業務に携わることが自身の目標の一つだったからです。

また、「星のや東京」は世界中の良いホテルを知るお客様のご利用も多いので、自身の接客レベル向上のためにもくぐっておきたい、一つの関門と思っておりました。

マルチタスクを経験したからこそ発見できた、自身のスペシャリティ

ミクニ
では、長谷川さんのキャリアの中での目標は、すでに一つ達成されたんですね。そのためにどんな努力をされましたか?
長谷川さん

実は、星野リゾートでのキャリアの積み方は、宿泊業界の中では少し特殊なんです。一般のホテルでは、お客様に接客するサービスチームの中でも「フロントマン」「ドアマン」「ウェイター」など、分業制を取ってスペシャリストを目指していくことがほとんどです。しかし、星野リゾートのサービスチームは、フロント、清掃、レストランサービス、調理業務を一貫して行うマルチタスク制を導入しています。

また、フラットな組織文化のため、新卒時から先輩スタッフとも対等に議論できる場があったので、やりたいと思ったことやお客様の満足度アップに繋がると思うことにはどんどん挑戦していきました。京都では特に、季節の催し物の造成やオペレーション構築など、接客以外のプロジェクトにも率先して参加しました。

ミクニ
そういったバックオフィス業務は本社の人が担っているものだと思っていました。
長谷川さん

星野リゾートでは、施設内での総務はサービスチームが行います。ずっと接客をしているわけではなく、商品や食材、アメニティの発注など、運営に関わる中で発生する事務作業も私たち自身で行います。

お客様に対して最高の接客をするだけではなく、お客様の期待を超え続ける宿泊施設であり続けるための準備そのものを自分自身の手で行えるんです。社内調整も社外調整も発生するので、社会で通用する幅広いビジネススキルを養うことができました。

ミクニ
長谷川さん自身は、そのキャリアを今後どう活かしていきたいですか?
長谷川さん

マルチタスクを経験したからこそ、自分がどの分野においてスペシャリティを発揮したいかも見えてきました。私の場合は、今はレストラン業務に注力しております。ここでも、接客はもちろんなのですが、季節のメニューに合わせたドリンクのセレクトや発注管理、使用するカトラリーの選定など、レストランの運営に関わる全ての業務を行っています。

会社も星のや東京も大好きなので、すぐに転職などは考えていませんが、一般的な社会人として必要なスキルは持つことができたと思うので、ライフステージに合わせて、未経験の業界に行く未来もあるのかなとは思っています。

ですが、社内でも産後復帰されるママさんスタッフもたくさんいるので、星野リゾートのスペシャリストとしてキャリアを築いていくのもいいなと考えています。

ミクニ

長谷川さんをそこまで魅了する、星野リゾートの魅力はなんですか?

長谷川さん
本当にたくさんあるのですが、やはり「お客様の幸せの瞬間に立ち会える」ところですね。 宿泊運営での仕事は、“モノ”ではなくそこでの“体験”が商品なので、お客様とサービスを提供する私自身の、双方の感情を大切にしたいと思っています。 その瞬間を自分自身で作っていける環境や、それを是とする文化に感謝しています。

「当たり前」はサービスの限界を作る。感動し続ける人生でありたい

ミクニ
長谷川さんの星野リゾートへの愛、伝わりました。星のやブランドは日本屈指の高級ホテルでもありますが、働く上で意識していることはありますか?
長谷川さん

一番気をつけているのは、自分にとっての当たり前がお客様にとっての当たり前ではないということを、常に意識することです。「星のや」というブランドで働く上で、お客様に決して安くない金額をお支払いいただいているという揺るぎない事実に対して、責任やプライドを感じています。

私自身に「当たり前」を作ってしまうと、それ以上のサービスの提供ができなくなってしまうため、限界点を作ってはいけないと心に決めています。

ミクニ
自分に限界を決めないというのは、働き続ける上でも大切な考え方ですよね。
長谷川さん

宿泊されるお客様たちは、私が体験してきたことよりも多くのことを体験してこられた方々です。だからこそプレッシャーはありますが、そういった方々に体験を提供し続けるためには、私自身が新しい学びを得ること、スキルを得ることが必要です。常に新しいものに触れているからこそ、飽きずに向上心を持って仕事に取り組めているとも感じています。

ミクニ
転職ありきでキャリアを築く人もいますが、長く働き続けられる会社には成長性を感じられる環境が必須であるようにも感じますね。
長谷川さん

7年働いてもまだまだ学べることがあると感じているので、そういうことなのかもしれませんね。

成長を感じられる理由の一つに、スタッフの多様さもあると思います。異業種から未経験で中途入社するスタッフも多く、金融系・美容関係・マスコミ関係など、自身とは全く違う軸でキャリアを築いてきた方がたくさんいるので、日々刺激を受けることばかりです。

ミクニ
ありがとうございます。最後に、星野リゾートで培ったキャリアを通じて、どんな人生を歩んでいきたいですか?
長谷川さん

これからも、お客様に感動の瞬間を提供しながら、私自身も仕事で心が動く瞬間を大切にしていきたいです。また仕事だけでなく、余暇の時間を使って、自身の感性を養っていきたいと思っています。

星野リゾート以外にも、日本にはたくさんの感動する食事やサービス、エンターテイメントがあります。そういった感動体験を経験し続けて、サービスの向上に活かしていきたいです。

※この記事は2023年06月30日に公開されたものです

ミクニシオリ

1992年生まれ。2017年にライター・編集として独立。芸能人やインフルエンサー、起業家など、主に女性に対するインタビューを多数執筆。恋バナと恋愛考察も得意ジャンル。ハッピーとラッキーがみんなに届きますように。

Twitter:https://twitter.com/oohrin

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