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「変える」と「替える」の違いは? 「換える」や「代える」との使い分けも解説

にほんご倶楽部

変換する際に迷いがちな「変える」「替える」という言葉。ほかにも「換える」「代える」という語句もありますが、それらの違いを理解できていますか? 今回はそれぞれの意味の違いや使い方を、例文を交えつつ解説します。

「今あるものを別のものにかえる」ことを表現するシーンで、ふと「変える」と「替える」の使い分けに迷ったことはないでしょうか。さらに「代える」や「換える」との違いが分からず、メールや文章を作成する時に困った経験がある方もいるかもしれません。

この記事では、「変える」と「替える」の違いを解説していきます。それぞれの言葉の意味や使い方、類語まで紹介するので、ビジネスシーンで役立ててみてください。

「変える」と「替える」の違いとは

「変える」と「替える」は、同じく「かえる」と読む同音異義語です。「今あるものから別の状態にする」という意味合いは同じですが、細かく見るとニュアンスが違っています。どのように異なるのか、それぞれの意味を見ながらチェックしていきましょう。

「変える」の意味は「前と違ったものに変更する」

「変える」は仕事でもプライベートでも頻繁に使う言葉ですよね。改めてその意味を確認しましょう。

変える
1.物事を以前と違った状態・内容にする。変化させる。変更する。「姿を―・える」「顔色を―・える」「考えを―・える」「話題を―・える」「戦術を―・える」
2.物の位置や場所を別の所に移す。また、別の期日・時間にする。変更する。「会場を―・える」「予定を―・える」
(小学館『デジタル大辞泉』)

「変える」には、「以前とは違うものに変化、または変更する」という意味があります。物だけでなく、考えや話題といった内容にも当てはめられる、汎用性の高い言葉です。

また、場所を別のところに移したり、日時を変更したりする場合にも用います。

「替える」の意味は「今までのものを新しくする」

次に、「替える」の意味をチェックしてみましょう。

替える
1.(換える・替える)相手に与える代わりに、相手のものを自分のものとする。等しいもの、同種のものを他とやりとりする。交換する。「円をドルに―・える」「現金に―・える」「小銭に―・える」
2.(代える)あるものに他のものと同じ役割をさせる。「書面をもって挨拶に―・えさせていただきます」
3.(換える・替える)今まで使っていたものを別のものにする。古くなったものを新しいものにする。「畳の表を―・える」「かみそりの刃を―・える」
4.(代える)飲食物のおかわりをする。「御飯を―・えてください」
5.(「…に替える」の形で)…を犠牲にする。…と引きかえにする。「命に―・えて子供を守る」
6.(動詞の連用形に付いて)今までしていたのをやめて、新たに同じことを行う。「乗り―・える」「着―・える」「張り―・える」
(小学館『デジタル大辞泉』)

「替える」は「変える」と同じく、同音異義語である「代える」や「換える」と同等の意味合いを含む言葉です。主に3の「今まで使っていたものを一新する」という意味で使用され、さらに踏み込んでいうと「古くなったものを新しくする」というニュアンスがあります。

また、相手のものと自分のものをとりかえる「交換」や、同等の価値のあるものにかえる「両替」といった意味もあるのが「替える」です。総じて、「今あるものを手放して新しいものを得る」と考えると分かりやすいでしょう。

「換える」や「代える」との違い

「変える」と「替える」以外にも、「かえる」と読む同音異義語は存在します。ここでは、「換える」と「代える」の違いにも注目し、各言葉の意味を比べてみましょう。

「換える」の意味は「自分と相手の手持ちをとりかえる」

まず、「換える」は「交換」という言葉にも同じ漢字が入っていることから、「自分と相手の手持ちをとりかえる」という意味があります。さらに、「畳の取り換え」などにも用いられることから、「古くなったものを新しくする」という意味合いも持つ言葉です。

「代える」の意味は「役割を交代する」

「代える」はというと、別のものにするという点では同じですが、役割を対象にする時にのみ使えます。

例えば、「上司の代わりにメールを打つ」など、「代行」や「代筆」といった意味があると捉えておきましょう。

「変える」「替える」「換える」「代える」の違いまとめ

まとめると、以下のような違いがあります。

変える:変更・変化すること

替える:今あるものを手放して新しいものを得ること

換える:物と物を交換すること

代える:役割を交代すること

混同しがちな4つですが、それぞれ意味は異なるため正しく理解しておきましょう。

「変える」をビジネスで使う時の使い方(例文)

「変える」は、ビジネスシーンにおいて何かを「変更・変化する」ことを表す表現として使用できます。

ここではまず「変える」を使った例文を紹介します。

例文

・休憩室のコーヒーを別のメーカーの商品に変えました。

・社長の助言は、何人もの人生を変えられてきた。

・彼の転勤に伴って、私も仕事を変える予定です。

「変更・変化」の意味を持つ「変える」は、今と違う状態にするシーンに好適です。

物理的な商品や品物だけでなく、人生や仕事など、形のないものを指す時にも使えます。「人生を変える」や「仕事を変える」は表現に迷いがちのため、覚えておきましょう。

また、「変える」は敬語表現が付いていないため、自分の行動を指す時は問題ありませんが、上司などの目上の人のことを表す時は一工夫必要です。「~られる」といった尊敬語を組み合わせ、「変えられる」と敬語に直して用いるようにしましょう。

「替える」をビジネスで使う時の使い方(例文)

「替える」は、今あるものを「交換する・新しくする」シーンで活躍する言葉です。

オフィス用品を含め、ビジネスシーンでは多くの品物が行き交います。「古いものを交換する」シーンでは、文書やメールで「替える」と表現しましょう。

ここでは、「替える」の使い方を例文とともに紹介します。

例文

・部長が、事務所にある古いパソコンを替えられた。

・明日の棚卸しで新しい商品に入れ替えます。

・○○さんは、スーツに着替えるために一時帰宅しています。

「一新する」という意味の「替える」は、古くなったものを新しくするシーンに当てはめられます。オフィスを見渡してみると、パソコンやデスク、文房具など、「替える」という表現が必要なものはいくらでも目に付くでしょう。

また、「交換する」という意味もあることから、服や商品をとりかえる「着替える」や「入れ替える」といったフレーズにも、「替える」が適しています。

さらに「変える」と同じく、目上の人の行動には「替えられる」といった丁寧な敬語表現に直すのがベターです。

「変える」の類語

「変える」には、代わりに使える類語がいくつかあります。それぞれの意味もあわせて覚えておくことで、メールや文章での表現の幅が広がるでしょう。

「変化」

「変える」を「今あるものを違ったものにする」といった意味で使いたいなら、「変化」を候補にしてみてください。

「変化」とは、状態や性質などが別のものにかわるという意味です。「変える」の名詞形が「変化」と覚えておいても良いかもしれません。

「転じる」

「転じる」とは、方向性や状態が移り変わることを意味する言葉です。「~から~に転じる」と表現すれば、対象となる変化がより具体的に伝わるでしょう。

字の通り「転がる」という意味もありますが、読み方は「てんじる」でも「てんずる」でも問題ないといえます。

「改まる」

「改まる」には、悪い・問題のある状態が改善するといった意味があります。「態度が改まる」や「性根が改まる」などの言い回しは、耳にしたことがあるのではないでしょうか。

また、「古いものが新しくなる」という意味も含むため、「替える」の類語にも数えられます。

「替える」の類語

「替える」も「替える」同様、複数の類語があります。使いどころに迷いやすい表現のため、類語を心得ておくことで、使い分けのイメージがより明確になるかもしれません。

「交換」

「替える」の類語として、まず覚えておきたいのが「交換」です。「交換」は、ある物とある物をとりかえるという意味を持っています。物の状態は問わないため、古い物から新しい物へのとりかえ、もしくはそのほかの場合のとりかえも表現できるでしょう。

「取り替える」

「交換」とほぼ同じ意味を持つのが「取り替える」です。「取り換える」とも表現され、相手の物と交換する・新しいものにかえるという意味を持っています。

さらに、お金を用立てるという意味もあるのが特徴です。

「引き替える」

「交換」そして「取り替える」と同等の意味で使われるのが、「引き替える」です。こちらも「引き換える」と表現することもでき、ある物を別のものと変えるという意味があります。

「~と引き換えに」の形で用いられることも多く、この場合、今まであった物とは別の物を得るという意味になると覚えておくと役立つでしょう。

「変える」は「変化・変更」、「替える」は「交換・一新」

「変える」と「替える」の違いは、ある物がどうかわるのかに注目すると分かりやすいといえます。「変える」は「変化・変更」することとなり、また「替える」は「交換・一新」することになるのです。さらに、「換える」は「替える」と同等の意味、「代える」は「交代・代行」と覚えておきましょう。

メールや文章、手紙で相手との関係を深めていくためには、言葉のバリエーションを増やすことが大切です。「変える」と「替える」の類語も身に付け、より円滑なビジネスコミュニケーションを目指しましょう。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年06月06日に公開されたものです

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いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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