お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

「感謝の気持ちでいっぱいです」とは? ビジネスでの使い方や例文・言い換え表現を紹介

松岡友子(コミュニケーションマナーアドバイザー)

上司や先輩など目上の方にお礼を伝えたい時、「感謝の気持ちでいっぱいです」と言っても失礼ではないのでしょうか? 今回は「感謝の気持ちでいっぱいです」を使う時の注意点や言い換え表現について、コミュニケーションマナーアドバイザーの松岡友子さんに教えてもらいました。

ビジネスの場では、教えてもらったり助けてもらったりと、感謝の気持ちを伝えたくなる場面が多くなりますよね。

しかし、「ありがとうございます」だけでは、味気なく感じてしまうこともあるのではないでしょうか。

そこで今回は「感謝の気持ちでいっぱいです」という言葉について、意味や注意点、例文などの使い方を紹介します。

「感謝の気持ちでいっぱいです」とは? 言葉の意味

「感謝の気持ちでいっぱいです」は、文字通り相手への「ありがとうございます」という気持ちで胸がいっぱいになる状況のことです。

悲しみや怒りとは違い、感謝だけはその気持ちを直接相手に伝える言葉として、慣用句的に「感謝の気持ちでいっぱいです」が使われています。

「いっぱいになる」状況には時間がかかるのを想起させることから、「長い間の感謝に対して述べる言葉」とされるケースもあるようです。

しかし、私は「感謝の気持ちでいっぱいです」は、決してそのような状況に限定される言葉ではないと思っています。

たとえ1日、数時間でも、相手が時間や身を削って自分のために尽力してくださった結果、期待以上の成果を上げることができたという場合であれば、言葉にできない程の感謝に包まれるでしょう。

さらには、思いがけないようなうれしいことやありがたいことをしていただいた時、瞬時に胸がいっぱいになることもあると思います。

そのような時、素直に「感謝の気持ちでいっぱいです」と伝えることは、相手にとってもうれしいはず。

ですから、「長い間の感謝に対して述べる言葉」と限定せずに、心から「ありがとうございます」という気持ちで胸がいっぱいな時に使用するのが良いでしょう。

「感謝の気持ちでいっぱいです」は敬語? 上司や先輩など目上の方に使って大丈夫?

「感謝の気持ちでいっぱいです」は、尊敬語や謙譲語ほど敬意を表現できる敬語ではありませんが上司など目上の方に使っても特に問題はありません。

前述の通り、自分の気持ちを素直に述べている言葉ですので、基本的には相手に好感を持たれることでしょう。

より敬意を伝えたいのであれば、「感謝の気持ちでいっぱいでございます」と丁寧語のレベルを上げて表現するのがおすすめです。

一方で、皆さんの中には「いっぱい」という表現が気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。

促音(そくおん)と呼ばれる小さな「っ」を用いる表現は、少し幼稚な印象を与えるため、ビジネスシーンでは、「やっぱり」は「やはり」、「ちょっと」は「少し」というように言い換える方が望ましいとされているのは事実です。

「いっぱい」も「たくさん」と言い換えることが多いと思いますが、だからと言って「感謝の気持ちがたくさんです」ではおかしな表現となってしまいます。

従って、自分の気持ちを素直に表現しても問題ない状況や相手であれば、相手の厚意に対して「感謝の気持ちでいっぱいです」と心からの思いを伝えるのが良いでしょう。

「感謝の気持ちでいっぱいです」の使い方と例文

「感謝の気持ちでいっぱいです」は、感謝の「量」「衝撃」「期間」が通常のレベル以上である場合に使うことが多いといえます。

ここでは、具体的な例文を紹介しながら解説していきますね。

例文1

先輩には練習にも付き合っていただき、その結果無理だと思っていたプレゼンを成功させることができました。先輩のおかげです。感謝の気持ちでいっぱいです。

「感謝の気持ちでいっぱいです」を添えることで、無上の喜びとありがとうという気持ちがあふれているのが分かりますよね。

例文2

このようなお心遣いをいただけるとは思っていなかったので、感謝の気持ちでいっぱいです。

予想以上の優しさ、うれしさに驚いている気持ちを伝えることができます。

例文3

営業部に配属になって3年、皆さまには多くのことを教えていただき、いろいろな経験を積むことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。

長期にわたって受けたサポートに対して、大きな感謝の気持ちを伝えたいという思いが伝わるでしょう。

「感謝の気持ちでいっぱいです」の言い換え表現

最後に「感謝の気持ちでいっぱいです」の言い換え表現について考えてみます。

すぐに思い浮かぶのは「心より感謝申し上げます」ではないでしょうか。

それ以外にも、「感謝」「気持ち」「いっぱいです」をそれぞれ他の表現に置き換えてから組み合わせると、下記のようないろいろなパターンが考えらます。

・「感謝の念に堪えません」

・「このありがたい気持ちを表す言葉が今は見つかりません」

・「深い感謝の思いは言葉になりません」

・「なんとお礼を申し上げたら良いのかわかりません」

・「この感謝の気持ちは言葉では言い尽くせません」

・「感謝してもしきれません」

「感謝の気持ちでいっぱいです」を含め、いずれのケースでもその後に「心より御礼申し上げます」と続けると、より一層感謝の気持ちが強く伝わるでしょう。

対面であれメールであれ、ぜひ試してみてください。

「感謝の気持ちでいっぱいです」は「ありがとう」という気持ちがあふれる時に使う言葉

「感謝の気持ちでいっぱいです」は取り立てて堅苦しい敬語を使った表現ではありません。

ですが、自分の本心から胸いっぱいに広がる気持ちを表す時には、たとえ相手が上司など目上の方であっても、ごく素直な表現を用いて良いと思います。

もちろんそのためには、お互いの信頼関係とコミュニケーションが重要であるというのは言うまでもありません。

「ありがとう」と感謝の気持ちがいっぱいの職場を目指していきたいですね。

(松岡友子)

※画像はイメージです

※この記事は2023年05月26日に公開されたものです

松岡友子(コミュニケーションマナーアドバイザー)

マニエール・トモ代表。コミュニケーションマナーアドバイザー®。
駒沢女子大学・戸板女子短期大学 非常勤講師。
早稲田大学卒業後、ANA国際線客室乗務員およびチーフパーサーとして乗務。
退職後、エアラインスクール講師などを経て2007年より研修講師として活躍する。
日本語教師、NLPプラクティショナーやTAカウンセラー、ハラスメント防止コンサルタントなどの資格を活かし、ビジネスマナーからセルフマネジメントまで幅広く研修、講演を行う。
現在、横浜市立大学大学院にて女性学を研究中。

著書『誰とでも仲良くなれる敬語の使い方』(明日香出版社)

この著者の記事一覧 

SHARE