「さることながら」の意味とは? 使い方と例文・注意点を解説
ビジネスシーンでも用いられる「さることながら」という言葉。その意味や使い方を理解していますか? 今回は「さることながら」の使い方について、例文を交えながら解説します。
「さることながら」は「~は当然のことながら」という意味があり、物事をより強調したいときに用いられる言葉です。
会話内での話し言葉や文章にも用いられる言葉ですが、やや堅苦しい表現であるため「具体的な使い方が分からない」という人もいるかもしれません。
この記事では、「さることながら」の意味や使い方、注意点について解説していきます。言い換え表現も紹介するので、ビジネスシーンで役立てたい方は要チェックです。
「さることながら」の意味
「さることながら」には、「~は当然のことながら、それだけではなく」という意味があり、物事を強調するときに用いられる言葉です。
「さることながら」の「さること」には次のような意味があります。
さること【然る事】
1.そのようなこと
2.当然のこと。もっともなこと。いうまでもないこと。
(三省堂『大辞林 第四版』)
「さることながら」の「さること」は、「いうまでもないこと」や「もちろんのこと」の意味で用いられており、物事の特徴をより強調して伝える効果があります。
漢字では「然る事乍ら」と表記する
「さることながら」は、漢字で「然る事乍ら」と表記します。
ただし、漢字での表記にはなじみがない人も多いのでしょうはないでしょうか。ビジネスメールや文書など書き言葉として用いる場合は、漢字ではなく「さることながら」や「さる事ながら」と用いた方が相手に伝わりやすいでしょう。
「さることながら」は目上の人に使える?
「さることながら」という言葉自体には敬語としての意味はありませんが、前後で敬語を用いれば目上の人に対して使用しても問題ありません。
例えば、「御社の製品は機能性の高さはさることながら、デザインへのこだわりもうかがえます」など、取引先との会話の中でも活用できる言葉です。
その他にも、顧客へ自社製品をアピールする際や、社内のプレゼンでアイデアをアピールする際など、さまざまなビジネスシーンで活用できます。
「さることながら」の使い方(例文つき)
「さることながら」は、ある物事の特徴を、複数同時に強調して伝えられる言葉です。
「Aはもちろん~だが、そればかりでなくBも~だ」というように、2つの特徴を1つの文章でまとめて強調することができます。
例文
・今回のプロジェクトは、企画内容もさることながらターゲット層の狙いも良い。
・彼の仕事は、スピード感もさることながらその正確さにも秀でている。
・新作のメニューは、味もさることながら見た目もすばらしい。
「さることながら」を使う時の注意点
「さることながら」は2つの特徴を同時に強調できる言葉ですが、使う際には注意しなければならないポイントがあります。
この注意点を覚えておけば、ビジネスシーンでも効果的に物事を伝えられるはずです。
より強調したい特徴は後半部分に置く
「さることながら」は、ある物事に対して2つの事柄を強調できる言葉ですが、より強調したい事柄は「さることながら」の後ろに持ってくるようにしましょう。
例えば、「彼は効率良く仕事を進める」と「仕事の精度が高い」という2つの事実があり、「仕事の精度が高い」の方をより強調したい場合は次のように用います。
・彼は効率が良いのもさることながら、仕事の精度も高いので、この案件は安心して任せられるはずだ。
上記例文のように、2つの事実で特に強調したい事柄は「さることながら」の後ろに持ってくるとよいでしょう。
1つ目の特徴をあいまいにしない
2つの特徴を同時に強調できる「さることながら」ですが、前半部分の特徴は誰もが納得できる内容を述べるようにしましょう。
先述した通り、後半に持ってくる特徴こそより重要な内容です。まず1つ目の特徴で違和感を与えるようであれば、自ずと後半部分の説得力にも欠けてしまうでしょう。
「さることながら」の類語・言い換え表現
「さることながら」は、他の言葉にも言い換えができます。どれも物事を強調するときに使える言葉であるため、さまざまなバリエーションを覚えて使い分けるとよいでしょう。
「もちろんのこと」
「さることながら」は「もちろんのこと」へ言い換えられます。
「もちろん」にも「さること」と同じ「言うまでもなく」という意味があることから、「さることながら」と同じ場面で使用できる言葉です。
ただし、「もちろん」という言葉には「言うまでもなく当然のこと」といったニュアンスが感じられるため、上司や取引先に使用するのは向かないともいわれています。不要なトラブルを防ぐためにも、ビジネスの場で使用するのは避けた方がよいでしょう。
「当然ながら」
「さることながら」は「当然ながら」にも言い換えができます。
「さることながら」と同様に「言うまでもなく」や「当たり前ながら」という意味があり、物事を強調したいときに用いられる言葉です。
「当然ながら」も、会話の中の話し言葉と文章中の書き言葉のどちらでも使える言葉であるため汎用性の高い言葉といえます。
「言うまでもなく」
「さることながら」は「言うまでもなく」にも言い換えられます。「言うまでもなく」も敬語としての意味はありませんが、前後で敬語を用いれば目上の人に用いても問題ありません。
例えば、「私が考えたプロジェクトはユーザー目線であることは言うまでもなく、企画の目新しさもポイントです」など、プレゼンで強調したい部分に用いることができます。
上手に活用すれば聞き手を引きつける表現にもなるため、ぜひ「さることながら」と併せて使い方を覚えておきましょう。
「さることながら」は物事を強調したいときに使える言葉
「さることながら」は、物事を強調したいときに使える言葉です。「さることながら」自体には敬語としての意味はないものの、前後で敬語を用いればビジネスシーンに使用しても問題ありません。
例えば、顧客への商談で自社製品をアピールしたいときや、社内のプレゼンでアイデアを強調したいときなど、「さることながら」を活用できる場面は多くあります。
本記事で紹介した例文を参考に、ぜひ「さることながら」を活用してみましょう。
(にほんご倶楽部)
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※この記事は2023年05月08日に公開されたものです