「拝見させていただきます」は二重敬語! 正しい使い方をチェック
ビジネスシーンでよく耳にする「拝見させていただきます」ですが、正しい敬語なのでしょうか? 本記事では、「拝見させていただきます」が正しい敬語なのか解説。その上で、「拝見」の使い方や類語、言い換え表現を例文と共に紹介します。
「拝見させていただきます」は、ビジネスでよく使われる言葉。丁寧な表現のように見えますが、実は二重敬語であり誤った使い方とされています。
では、「拝見させていただきます」を正しく言い換えるとどうなるのでしょうか? また、別の言い方はあるのでしょうか? 本文で詳しく解説します。
そもそも「拝見」の意味とは
まずは、「拝見」の意味を押さえておきましょう。辞書では以下のように説明されています。
はい‐けん【拝見】
見ることをへりくだっていう語。謹んで見ること。「お手紙―しました」(『デジタル大辞泉』小学館)
このように、「拝見」は「見る」の謙譲語であり、目上の人に対して使われます。
「拝見させていただきます」は二重敬語で誤り?
「拝見させていただきます」は敬語として誤りなのでしょうか。
「拝見させていただきます」は二重敬語
二重敬語とは「尊敬語+尊敬語」「謙譲語+謙譲語」といったように、同じ種類の敬語を連続して使った表現のこと。基本的に誤りとされています。
では、「拝見させていただきます」はどうでしょうか。
前述したように、「拝見」は「見る」の謙譲語です。そして「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語。
つまり「拝見させていただきます」も二重敬語であり、誤りといえます。
大げさすぎる印象もある
「させていただく」について、辞書では以下のように解説されています。
させていただ・く
相手に許しを請うことによって、ある動作を遠慮しながら行う意を表す。「私が司会を―・きます」(『デジタル大辞泉』小学館)
また、文化庁の『敬語の指針』では、以下の2点がそろった時に使うのが適切と示されています。
・相手や第三者の許可を受けて行うこと
・そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちがあること
つまり、相手の許可を必要とせず、それを見ることで何かしらの恩恵を受けるわけではない場合に「拝見させていただきます」と言うのは、大げさすぎて不適切といえるでしょう。
例えば、相手が送ってくれたメールを読む時などが当てはまります。メールは読まれる前提で送られているので、許可を取るのは不自然ですよね。
正しく言い換えると「拝見します」
「拝見させていただきます」の二重敬語を解消すると「拝見します」となります。
「拝見させていただきます」に慣れていると丁寧さが足りないようで不安になるかもしれませんが、「拝見します」だけで謙譲語になっているので目上の人に使っても問題ありません。
「拝見」の使い方が分かる! ビジネス例文
「拝見」の使い方を理解するため、ビジネスシーンで使える例文を見てみましょう。
(1)「メールを拝見しました。お問い合わせありがとうございます」
先方からのメールについて「見ましたよ」という旨を伝えたい時、「メールを拝見しました」と言えばやりとりがスムーズです。
(2)「お送りいただいた企画書を拝見し、社内で検討します」
こちらもよく使う表現です。先方から送ってもらった書面などを見る時に、「拝見します」が使えます。
(3)「資料の送付ありがとうございます。拝見します」
(2)と同じパターンです。先方から送ってもらった書面などを確認するニュアンスでも「拝見します」が使えます。
(4)「まずはカタログを拝見してもよろしいでしょうか」
「見せてもらっても良いですか?」と丁寧に言いたい時は、このように表現しましょう。
(5)「修正版のデザインを○日までに拝見できますでしょうか」
先方に送ってもらうデータや書面などの締め切りを伝える際、「拝見できますか」「拝見できますでしょうか」が使えます。
▶次のページでは、「拝見」を使う時の注意点、「拝見」の言い換え表現を紹介します。