人が人を好きになる理由とは。恋する気持ちを取り戻す方法
婚活をしているけれど映画やドラマのように恋に落ちるという感覚がない、人としては好きだけど、恋愛対象として考えると好きなのかわからなくなる。そんな感覚に陥っていませんか?
今回は、人が人を好きになる理由や恋する感情を取り戻す方法について考察してみたいと思います。
人が人を好きになる理由とは
一概に「好き」といってもその感情を細分化してみると、私たちはさまざまな感情に「好き」という言葉を当てはめていることがわかります。恋愛としての「好き」以外でも「友情」「父性愛」「母性愛」「教育愛」「アガペー(宗教的な愛)」などがありますよね。
恐らく婚活で自分の気持ちに迷っている方は、上記にあげた愛の中で、母性愛を除いた愛と恋愛における愛の境界がわからなくなっている方が多いのではないでしょうか。結婚は必ずしも恋愛の延長線上にあるものでなくてはならないわけではありません。
しかしではなぜそれが理想とされ、私たちは恋愛にこだわるのでしょうか。ここに恋活・婚活をこじらせてしまう心のからくりがあります。
人が人を好きになるメカニズムとは
まず、恋愛に限らず「人が人を好きになる」というメカニズムについて。諸説ありますが、理由のひとつとして『転移感情』があるといわれています。
たとえば私たちは初対面の人に対しても、短時間である程度その相手に対して快不快を判断しますよね。これは、現実に目の前にいる相手に何らかの現象があるのではなく、相手の容姿や言動から過去に接点があった人物を無意識に連想し、その人に対して抱いていた感情を相手に転移させているのです。
昔大好きだった人に容姿が似ているから好感を抱いた、以前の職場で相性が合わなかった上司に言動が似ているから嫌い。こんな経験はありませんか?
これが転移感情です。
もちろんその後の関係性によって感情は変化していきますが、「好き」の入口というのはリアルに目の前にいる相手ではなく幻想からはじまるのです。
男女でちがう? 好きになる理由
人が人を好きになる理由に男女の差はありません。そして、恋愛においても動物行動学的な観点からすると、自身のDNAをよりよいかたちで後世に残したいという本能的願望が「惹かれる」という状態になることも性差はありません。
しかしその詳細は男女で異なります。
女性の場合は身体に負担がかかる出産機能があり、かつ生涯出産回数も限られているため慎重になります。つまりベストな遺伝子を持つ男性を注意深く吟味するのです。女性のほうが現実的でしたたかといわれるのはこのためです。
しかし男性には妊娠・出産機能がありませんので女性ほどの執着はありません。とはいっても当然人間はほかの動物より格段に脳が発達していますので「好き」という状態の継続には理性や過去の体験による記憶などが絡んできます。
恋愛と結婚における「好き」はちがうもの?
繰り返しますが人が人を好きになることは幻想からはじまります。しかしお付き合いがはじまると、いつまでも幻想の中に漂っていることはできません。目の前にいるリアルな相手とときを重ねていく中で現実を知っていきます。
現実の相手を直視したときに転移感情として感じた「好き」との感情の差異がどの程度であるのか。そしてその差異を個人がどう捉えるのか、ということが結婚と恋愛をつなげるポイントとなります。
幻想と少しでも異なると妥協できない人もいますし、絶対に妥協できないものさえクリアしていれば問題ない人もいるでしょう。「結婚は現実だ」とはよくいわれる言葉ですが、これはその言葉通りなのです。
「好きになる感情」を忘れてしまうのはなぜ?
さてここからが本題です。恋活や婚活をされている女性から、活動をすればするほど「人を好きになる」という感覚がわからなくなってしまうというご相談は実際にも多くありますが、こうした心理になってしまう要因として、私は大きく2つの要因があると考えています。
(1)人を好きになる、人を愛するということの定義を「恋愛(性愛)」に限定している
話していると楽しくて居心地がよいのだけど、肌に触れるという気分にならないからダメ、一緒にいると刺激をくれる人だけど先生みたいでダメ、といったかたちで性愛以外の愛を排除してしまう。しかし友情も教育も愛情ですし、愛のかたちは変わっていきます。
最初から「異性としての愛」を感じることのみが人を愛することだという概念に固執しすぎて愛情という大きな概念をないがしろにしてしまっているのです。
(2)過去のトラウマにこだわりすぎている
「過去にヒモのような人と付き合ってつらい思いをしたからお金持ちでないとダメ」といったように条件づけをしてしまう。もちろん結婚となると現実的な問題が絡んできますので将来的には考えなければいけないことではあります。しかし、条件ありきで入ると愛が見えなくなります。
恋する気持ちを取り戻す方法とは?
動物に種の保存欲求がある限り、人が愛情の中でも「恋愛(性愛)」という愛を求める心理は否定すべきものではありません。しかし、人を好きになる感情を忘れてしまったと感じたら、まずは恋愛とそれにつながる性愛の感情にとらわれることから離れてみましょう。
もっといえば、性別にとらわれることもやめましょう。人を好きになる入口は所詮幻想なのですから深く考える必要はないのです。男性でも女性でも「この人いいな」「素敵な人だな」という感性を大切にしてください。そしてそう感じた自分を否定しないこと。これが一番大切です。
愛の概念を大きく捉えて自分の感情に素直になろう!
人を好きになる感情を忘れてしまった人というのは理性が強すぎる状態になっています。理性とは、道徳的価値観や社会通念、世間体といったものです。
どんな感情もあなた自身のものでそれは誰にも侵されることはありません。
愛を限定したり条件づけたりせずに、他者に抱く「心地よい」という感覚をまず一番大切にすることを心がけてみてください。
(小日向るり子)
※画像はイメージです
※この記事は2022年08月29日に公開されたものです