取材・文:鈴木麻葉/マイナビウーマン編集部
撮影:洞澤佐智子
仕事で疲れた帰り道、ふと飲みたくなるもの……そう、ビールです! どんなにヘトヘトでも缶ビールをプシュッと開ける瞬間の高揚感たるや。この瞬間のために働いている、なんて人もいるのではないでしょうか。
それぞれお気に入りがあると思いますが、私は味はもちろん、パッケージやブランディングにもこだわりたい人。そんな面倒くさい私がコンビニやスーパーで見かけると思わず手に取ってしまうのが、「よなよなエール」を始めとするヤッホーブルーイングの製品です。
今回お話を伺ったのは、クラフトビールを製造・販売する株式会社ヤッホーブルーイングで、プロモーション業務の責任者を務める河津愛美さん。
4度の転職を経て、ヤッホーブルーイングに入社した河津さんに、働く上で大切にしている軸や、転職を迷っている人へのアドバイスを伺いました。
興味のあることに挑戦し続けた経歴
本日はよろしくお願いいたします。ヤッホーブルーイングでは、みなさんニックネームで呼び合っていると伺いました。私も河津さんのことを“まるちゃん(社内の通称)”と呼んでもいいですか?
ありがとうございます! さっそくですが、まるちゃんの経歴を見てびっくりしました。とても面白い経験をしているようですが、簡単に教えていただけますか?
まず中学3年生から芸能活動をしていて、事務所に所属していました。当時はお笑いがやりたいと思って芸能事務所に入ったのですが、自分は養成所などに入って練習生として頑張るより、実地で周りとの差を感じて成長する方が向いているとその時に学び、その後新卒で大手広告会社に入社しました。
早く実践の場に出してもらえる環境だと思ったからです! 実際に入った瞬間から実践で、名刺の渡し方も分からない状態で営業に行っていました(笑)。そして1件目で大炎上 ……でも、上司が「部長は謝るためにいるから」とにこやかに言ってくれて、良い風土の会社でしたね。
それは成長できそうな環境ですね。その後、ベンチャー企業に転職されたそうですが、大手企業からベンチャー企業に転職することに不安はありませんでしたか?
大きい会社だから安定はしていましたが、変化しないことに不安もありました。どんどん社会が変化していく中で、変わらない会社の姿勢に「果たしてこのままここにいて大丈夫なのだろうか」と思い、野生の勘で転職しました。
その後、ベンチャーを経てフリーランスでも活躍しているんですよね。
そうなんです! 外資系のベンチャー企業だったのですが、入社後すぐに日本から撤退すると聞き、退職。その後、前職の経験を生かしフリーのディレクターやライターをやっていました。
すごい経歴……すでにおなかいっぱいです(笑)。フリーランスを経て、また転職されたそうですね。
はい。プロレス団体とか江ノ島水族館とか直感的に面白そうと思ったところを受けていました(笑)。色々受けた結果、最終的に人材系の会社に入りました。
興味あると思っていてもなかなか受けようと思えないからすごいです……! 最終的に人材系の会社に決めた理由はなんだったのですか?
面接官が面白かったんです! 明け透けに話してくれて、この人とならいい仕事が出来そうだな~と思ったのが入社理由ですね。
仕事の誘いから、採用面接に
やっぱり一緒に働く人って大切ですよね。そして、ついにヤッホーブルーイングに入社されるそうですが、入社したきっかけを教えてください!
人材系の会社でプロモーション職として働いていて、大きな不満はなかったのですが、既存のプロモーション方法について疑問を持つことが多くて……。人の心を動かすプロモーションってどんなものだろう? と調べている時にヤッホーブルーイングにたどり着きました。
最初は、一緒になにか面白いことができないかなと思い、仕事としてお声がけしたところ、「人手が足りないから無理」と言われてしまい(笑)。でも、「ファンの方とヤッホーブルーイングの今後についてを考えるイベントがあるので、そこに来てください」と言われ、参加した流れで採用面接に誘われました。そこからとんとん拍子で入社することに……。
なんと……! 仕事の営業から、入社の流れになるなんて、ご縁があったとしか言えませんね。面接はどんな雰囲気だったんですか?
まず面接官がニックネームで名乗るんです。そして、呼ばれたいニックネームを聞かれ……。普通はあり得ないので衝撃を受けました。でも、きちんと私自身を見てくれているのが伝わってきて、正直に話すことができ、結果的によかったです。
あとは、「ビールに味を!人生に幸せを!」という会社が掲げているミッションに共感したのも、大きな入社理由ですね。
型破りな意見が「面白企画」のタネになる
緊張感をほぐしてくれるような面接なんですね。まるちゃんはヤッホーブルーイングではどんな業務をされているんですか?
現在は、よなよなエールのファンになってもらうためのプロモーションを考える仕事をしています。昨年は、「BAR恥さらし」というイベントを実施しました。
「ここでは、恥が味になる。」をキャッチコピーに、募集した“恥さらしエピソード”をMCが読み上げ、ビールを飲みながら恥ずかしい気持ちを昇華するというオンラインイベントです。イベントのエンディングでは、よなよなエールの缶を宇宙に飛ばすというコンテンツ も……。
そのままの意味です(笑)。よなよなエール数量限定デザインの「よなよなピース缶」を宇宙に飛ばして、その映像を配信するという。
提供:ヤッホーブルーイング
なんと大掛かりな……!! そんなビッグな案はどうやって出てくるのですか?
ヤッホーブルーイングでは、部署の垣根を超えた“横断プロジェクト”を行っていて、色んな部署のメンバーが集まってプロジェクトを進行しているんです。なので、企画については初心者もいっぱいいるので、型破りな意見がたくさん出てくるんですよね。むしろ型破りなものしか出てこない(笑)。
やっぱり企画者が本当に面白いと思っているかどうかを大切にしたいじゃないですか。狙いにいった企画だとお客さんにもその気持ちが伝わっちゃうので。企画を推進する上で、自分たちが面白いと思っているかということは重視していますね!
今の業務に、これまでの仕事の経験が生きているなと感じる瞬間はありますか?
どの会社でも「人の心を動かす」を軸に仕事をしていたので、その軸は変わっていないですし、今の仕事にもその考え方が生きていると思います!
まずは多くを考えず「好きなこと」に挑戦することが大切
話を伺っているととても楽しく働いているのが伝わってきます! さまざまな職場を経験しているまるちゃんだからこそ感じる「良い会社」の基準ってありますか?
仕事で成功するより、幸せに働くことの方が難しいと思っているんです。色々考えた結果、私は公私混同することも大切だと思いました。仕事でも本能的な気持ちを持ち続けて、自分の好きなものは好き、嫌いなものは嫌いと言える環境で働くことって大切だと思います。要は自分らしく幸せに働ける会社は「いい会社」だと思います。
転職したくても、不安で行動に移せない人も多いと思います。まるちゃんのようにどの会社でも楽しく働く秘訣ってありますか?
この製品好きだなとか、この会社っていい会社だなと感じた会社で働いてみるのが一番だと思います。もちろん入ってみたら想像と違ったなんてこともあると思いますが、それはその時考えればいい。まずは多くを考えすぎずに好きなところで働いてみてください!
あとは、やっぱり面接が一番大事だと思っています。自分の嫌いなことはきちんと伝える。変に取り繕わない。それが大事! 自分の本心を見せた上で採用してくれたと思えば、それだけで信頼感もありますよね。
どうしてもよく見せようとしがちですが、自然体で挑むのが大切なんですね。勉強になります! そんなまるちゃんの今後のビジョンを教えてください。
こんなこと言っていいか分からないけど、仕事していないみたいに仕事したいですね(笑)。仕事と気負いしすぎず、楽しく働きたい。
あとは、一人でもいいから誰かの人生を変える企画を考えたいです。多くの人の人生を変えたいなんて難しいことは言わないので……。
きっと「BAR恥さらし」で人生が変わった人もいると思います! 一ファンとして、これからもすてきな企画楽しみにしています。本日はありがとうございました。
※この記事は2022年05月17日に公開されたものです