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波瑠、自分に自信が持てなくても「自分に優しくする理由」

#Lifeview

ミクニシオリ

あこがれの人、がんばってる人、共感できる人。それと、ただ単純に好きだなって思える人。そんな誰かの決断が、自分の決断をあと押ししてくれることってある。20~30代のマイナビウーマン読者と同世代の編集部・ライターが「今話を聞いてみたい!」と思う人物に会って、その人の生き方を切り取るインタビュー連載。

取材・文:ミクニシオリ
撮影:佐々木康太
編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部

「自分は、自分」。

当たり前のことのように思えるけれど、周囲からのイメージを気にしたり、ネガティブな思い込みをしたりする私にはこう割り切ることができない。

自分のことを自分で肯定してあげるのって、簡単なことではない気がする。

きっとかわいくて仕事もがんばっている人なら、自分に自信を持って生きられるのだろう……。そう思って話を聞いたのは、温厚なイメージでどこか余裕を感じる女優の波瑠さん。話を聞いていると、そんな彼女が“ありのままの波瑠”でいられる理由が見えてきた。

苦手なことばかりだった芸能界での仕事

波瑠さんが主演を務める「恋に落ちたおひとりさま」は、30年間恋愛経験ゼロのおひとりさま女子・聡子が、運命の恋に落ちて少しずつ変わっていくというお話。

「聡子は過去にとあるトラウマを抱えていて、ずっと自分のことを肯定できずにいる女の子。でも、誰にでもその人にしか分からないコンプレックスってあるじゃないですか。私だって、子ども時代の自分のことは好きじゃないです。対人関係につまずきやすかったし、嫌な思い出も多かった」

透明感があって、華奢で美しくて、演技派で……好印象なイメージの強い波瑠さんだけれど、自身の中では常に「自信がない自分」との戦いがあったのだそう。

だからこそ、不器用で繊細で傷つきやすい主人公にも、共感する部分も多かったという。

「わたし自身、器用にいろんなことをできる人間ではないので、聡子の痛みには共感する部分がありました。芸能界に入ったのだって、逃げ出したいがゆえの思いつきで。

『どうにかこの学校に行かない理由がほしい』と思って、オーディション情報誌を買って、書類を投函して……。

でも、現実逃避から始まったこの世界なので、うまくいくわけなんてなくて。無理めなことばかりでした」

自信がない人が自己肯定感を高める方法

芸能界という大海原でたくさんの壁とぶつかってきた彼女は、どうやってそれを乗り越えてきたのだろうか。

「今も本当は、日々変わりたいなって思っています。人と良い関係を築くこととか、友達づき合いとか、今でもうまくできなくて。それ以外にも、ものすごく苦手意識を感じるものがたくさんあるんです。もっと上手にできるようになりたいと思うのに、できないことがたくさんあります。

そんな私がこの仕事を続けられたのは、周りの人に恵まれたのも大きかったです。きっと自分ひとりではどうにもならなかったと思う。私に見向きもしない人たちもいる中で、厳しくしてくれた方や、行儀を正してくれた方たちのおかげで、薄く薄く積み上げることができたんです。あとは、自分の根性もあったかも」

たくさんの壁を乗り越えてきても、なお「自信が持てない部分もある」と語る波瑠さんによれば、自分で自分を肯定できるかどうかは「一種の才能」でもあるのだそう。

「例えば自分の姿を鏡で見た時に、パッと『いいじゃん』って思える人はなんかもう違うと思うんですよ。軸がすごくある人なんだと思う。

そうは思えない人は、自分が信頼をおいている人に認めてもらうといいのかもしれない。自信がない人って『もしかしたら、自分のここは長所かも?』という自分のジャッジにも自信が持てないんです。

でも、信頼している人に褒められた瞬間、自分の価値が高まったような感じがする。人に背中を押してもらわないと動かないことってあると思います。私も、現場で自分が尊敬している先輩に褒められた時は、心の底で『ヤッター!』ってバンザイしたくなりますもん」

人に優しくあるために、まず自分に優しい人でありたい

芸能界は他人や世間の評価を受けやすい場所に感じる。そんな場所に居続けることは、自分に自信がない波瑠さんにとってどれほど大変だっただろう。

「世間体を気にしてたら、私は死ぬ時にすごく後悔すると思うんです。つまらない後悔が残りそうだなって。世間体って膨大だし、世間体もコンプレックスも『気にしなくていいよ』っていうのは押しつけじゃないですか。

でも本当は、世間体っていうベーシックそのものがもっと変わって、一人ひとりがありのままでいられる世の中になったらいいのにと思います」

「(ありのままの自分を受け入れて)自分のことを許せるようになれば、他人のことも許せるようになる。そうやっておおらかになるのってすごくいいことだと思う。

自分に厳しいから、人のことも許せないのはすごく残念なことだと思うんです。だから私は、人に優しくするために自分にも優しくしようって思います」

波瑠さんはきっと、すごく細やかで優しい人。自分の痛みに敏感な人は、他人の痛みにも敏感になれる人でもある。

自分に優しく、人に優しく。

自分に自信が持てなくても、そんな自分をまずは許してあげたらいいのかもしれない。時に周りの力を借りながらでも、自分を許していけたら……きっとその人は、周りにも優しい人になれるのだろう。

『恋に落ちたおひとりさま~スタンダールの恋愛論~』

過去にあるトラウマを持ち、自分にまったく自信が持てない図書館員の聡子は、ある日、優しく紳士的な涼介と出会い一瞬で恋に落ちる。運命の恋を叶えるため、こんな自分を変えたいと強く願う恋愛経験ゼロの聡子。そんな聡子の前に突如、フランス文学「恋愛論」の著者スタンダールだと名乗る男が現れる。

半信半疑な聡子をよそに、涼介との恋を実らせるため恋愛のノウハウで聡子を導き、徐々に生まれ変わらせていくスタンダール。

そこへ個性豊かな図書館員たち、そして聡子を取り巻く過去のある事件も繋がっていき……。果たして聡子と涼介の恋の行方は⁈ 自分応援ハートフルコメディです。

配信開始日:2022年3月18日 ※視聴にはプライム会員登録が必要
出演:波瑠、瀬戸康史、小日向文世 ほか

※この記事は2022年03月25日に公開されたものです

ミクニシオリ

1992年生まれ。2017年にライター・編集として独立。芸能人やインフルエンサー、起業家など、主に女性に対するインタビューを多数執筆。恋バナと恋愛考察も得意ジャンル。ハッピーとラッキーがみんなに届きますように。

Twitter:https://twitter.com/oohrin

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