【第10~11話】最後の決断。相手を見ずに始まった恋の行方
姿・顔を見ることなく、声だけで判断し結婚を決意する――アメリカで大ヒットした新感覚の婚活リアリティショー「ラブ・イズ・ブラインド」がついに日本上陸! 年齢も職業もバラバラな24人の参加者たちは、対面せずに結婚相手を見つけることができるのか? 恋愛・婚活コラムニストのやまとなでし子さんが考察します!
※このコラムは「ラブ・イズ・ブラインドJAPAN」エピソード1〜11のネタバレを含みます。
ハゲ問題は時に洗面所を戦場にし、時に友好をもたらす
美容師・リョウタロウと広告営業・モトミカップルのモトミご家族との顔合わせ。一番の大きなハードルであった超厳格なお父様は、サザエさんの波平さんのように「ばっかも〜ん!」と怒る昭和な感じかと思いきや、ハットに髭をたくわえ、ターゲットの息の根を静かに止めてくるイタリアンマフィアのような風貌のイケおじ。
モトミの前回の結婚相手との顔合わせ時は、父が即席を外したという前情報もあり、親父が雰囲気の全てを掌握する緊張感の走りまくるこの空間で、イケおじパパは「こういう番組は好きではないが、お互いの気持ちが大切」とモトミたちの気持ちを尊重してくれて、ホッと一安心。
人と仲良くなるにはまず共通点を探せ、とよく言いますが、リョウタロウはモトミとはチンチラの話題で、モトミパパとは脈々と受け継がれるハゲ遺伝子の共通点で一気に意気投合し、最終的に親父から「いい男じゃない!」を引き出すまでに至り、大成功に終わりました。
まさかのハゲ友好平和条約が結ばれる展開に、「ハゲの話題……ということはもし相手がモリさんだった場合でも親父を攻略できたということか……?」と一瞬頭をよぎりましたが、リョウタロウの決意の黒髪と人柄が成せた業だと思います。将来は洗面台の髪を拾うのは忘れずに。
結婚の良さ、夫婦の良さが詰まったセリフ
「モトミがご飯を作るのと同じような感覚で、(髪が)伸びたら切る、それくらいはします」というリョウタロウのセリフ、めちゃくちゃ良くなかったですか? お互いが相手に与えられるものを自然に提供しながら支え合う感じ。
モトミ母が「私たち夫婦は二人で一人前だから!」と言っていましたが、それぞれができることを行って補い合うことで、一人でいるよりも二人の生活が素晴らしいものになる、まさに夫婦というものが詰まったセリフだなぁと思いました。
最初から最後までカップルとして安定感のあった二人は、無事結婚。本家アメリカ版では結婚成立の瞬間、そのまま壇上でおっぱじまりそうなほど情熱的なキスが始まるのですが、「失礼します」と断りを入れてキスするところも、リョウタロウらしさが詰まっててよかったですね。
厳格なはずのマフィア風パパが、満面の笑みで花咲か爺さんのように飛び跳ねながらフラワーシャワーを撒いている姿にもめちゃくちゃ萌えました。
リョウタロウは結婚式直前に「ALONE 110%」と書かれたTシャツを着ていましたが、祭壇で愛を誓い、無事孤独を脱ぎ捨てました。そのTシャツは燃やし、これからは愛用の「LOVED」Tシャツのみを着用し感情を体現していってください。いつの間にかトレードマークの金髪はモトミにまでうつっていました。お幸せに!
コスプレをしに来た既定路線結末のカップル
外資系会社員・アヤノと心が通っていないと感じたコンサルタント・シュンタロウですが、結婚式の場面では家族や友人が一切出てきませんでした。最初から関係を終わらせることを決意し、誰も呼んでいなかったのでしょう。
しかし、最後のセリフでは、「断られて(アヤノが)悲しむのかと思っていた」と言っていたのには驚きましたね。日常でもアヤノはシュンタロウと目もあまり合わせないですし、同棲生活を2日スキップするなどシュンタロウはアヤノに恋愛感情がないことをもっと理解していると思っていたのですが、アヤノが切らないことで想像以上に期待していたようです。であれば彼にとってはカップル成立から生殺しのつらい1カ月間だったでしょう。
アヤノの「私も誓えないと思ってた」には視聴者的には「でしょうね」しかなく、どきどきも何もない既定路線な結末とリアクションでした。
本命だったユウダイとの会話でアヤノは「くっついてるのが好き! くっつき虫!」と言っていましたが、リョウタロウとは初っ端から寝室を分けたりと、一切そんな素振りはありませんでしたね。あのマンションには防虫剤でも撒かれてたんでしょうか。
本心が見えづらい、誤解されると言っていたアヤノでしたが、結局最後まで上っ面のコメントだけで、シュンタロウに何を思って、どうしてNOだったのか、本心が一切分からないままでした。番組通して彼女の一番の笑顔がバチェロレッテパーティーでサンシャイン・アヤノと化して「イェーイ!」と叫んでいる時に見えたのが悲しい。
二人にフラれて傷心の時だったので、そういう時に優しくしてくれた相手になびいてしまう、というのはよくあることですが、会ってみて違ったのならその気持ちをきちんとオープンにして、式に来る前に自ら終止符を打ってほしかったです。
結局、みんなが本音をぶつけ合っている中、アヤノは花嫁のコスプレをしにラストまで引っ張った形で終わりました。
カオルのシャツはだけすぎ問題
シンガーソングライター・カオルとケニア野球代表監督・ミサキカップルは、まぁこうなるでしょうね……という終わりでしたね。最初からカオルの気持ちが交際するレベルまで育っておらず、勢いでポッドを出てしまったために終始ミサキに対して懐疑的な感じで接しているように見えました。
そこからミサキが口を開くたびにどんどんと関係の溝が深まるという悲しい構図。類は友を呼ぶと言いますが、カオルも友人も常にめちゃくちゃシャツはだけまくりなのが気になっていたので、結婚式には何人の“シャツはだけ友人”が増殖するのかが楽しみで、交通量調査ばりにカウンターでカチカチとカウントしたかったのですが残念です。
ドキドキとハッピーエンドで一番のドラマを提供してくれたカップル
ビジネスプランナー・ミドリが「今までは(LINEで)日常を共有するのが怖かった。で? って感じになる。でもワタルにはできる」と語っていましたが、まさに会社役員・ワタルの包容力と愛に彼女が知らず知らずのうちに包まれていたことを感じさせる瞬間でしたね。
普段の恋愛でも「で? って感じになる」のを気にして行動を控えたりする場面って往々にしてあると思うんですよ。でもそれを気にせずありのまま行動できるのって「この人は絶対に私のことが好きだし、離れない」と相手の愛を確信し、安心できた時だけ。何気ない一言だったけど、ここに今ワタルを選ぶべき理由が詰まっていたように思いました。
ミドリの気持ちが追いつくのか、が課題でハラハラさせられたこのカップルですが、無事に結婚に至り、本当に幸せな気持ちになりました。いつも笑顔で、負の感情を一切表に出さないワタルですが、ミドリの答えを待つ瞬間に一瞬だけ苦しそうな顔をしていて、笑顔の仮面の中に隠れた本心が垣間見え、「お願い! YESと言って!」と願わずにはいられなくなりました。
「結婚って何? ってのは消えてないけど、ワタルと明日から会わないっていうのが考えられない」というミドリの答えもいつも真っ直ぐ正直で隠しごとができない彼女らしいものでしたね。この返事もまた「あんた何様なの?」とオカンに引っ叩かれていそうですが(笑)。
論理的に考えて、頭で納得しないと動かないタイプの彼女が「明日から会わないのは考えられない」と最後は感情に突き動かされて決断していたのが本当によかった。ずっと課題だった気持ちの芽が育っていたということですから。
紆余曲折を経て、2組のカップル誕生!
バチェラー・バチェロレッテパーティーは男女間格差がすごかったですね。
女子はプールのあるすてきなテラスでドレスを着ての立食パーティー。一方男子は普段の二次会かのようなダーツバーでの飲み会。海外版では男性も球場貸し切ったりリムジン乗ったり派手なんですが、どうしたJAPAN!?
不遇の男子に高級シャンパンの一つでも差し入れしたかったです。今回もだけどオダッチはなんで全身赤のファッション率高いの? やっぱり還暦?(前回コラム参照)
それぞれのカップルが紆余曲折の末に答えを出し、最終的には2組のカップルが誕生する結果となりました。それぞれが納得の結果でしたね。
パートナーすらいなかった人々が、たった2カ月でこれほどまでに人生が一変するってすごい番組です。人間関係の化学反応やそれぞれの価値観、人生の一部を垣間見ることができ、短い配信期間でしたが、とても濃く興味深いものでした。Netflixさん! シーズン2期待しています!
(やまとなでし子)
※この記事は2022年02月26日に公開されたものです