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【File32】どうしようもない不倫で鋼のメンタルを手に入れた話

#イタい恋ログ

おおしまりえ

今振り返れば「イタいな、自分!」と思うけれど、あの時は全力だった恋愛。そんな“イタい恋の思い出”は誰にでもあるものですよね。今では恋の達人である恋愛コラムニストに過去のイタい恋を振り返ってもらい、そこから得た教訓を紹介してもらう連載です。今回はおおしまりえさんのイタい恋。

みなさんこんにちは、恋愛ジャーナリスト、コラムニストとして女性の生き方や幸せな恋愛について発信している、おおしまりえと申します。

10代、20代はダメ男に引っかかりまくった経験のある筆者。30代になり、やっと幸せで穏やかな恋愛をしているこの頃ですが、今日は筆者が20代の頃に経験した「不倫のイタい恋」について、少し紹介させてください。

不倫関係の始まり

20代中頃だったでしょうか。当時会社員をしていた筆者は、会社の7歳年上の男性(既婚、子ども2人)とひょんなことから不倫関係になってしまいました。

“ひょんなこと”なんて無責任な言い方をしましたが、全部自分が悪いのです。飲みに行ったら気が合い、「ウチは夫婦関係が終わっていて……」なんて告白をされ、若かった私はその言葉に同情し、そして寄り添うように流され不倫に足を踏み入れたのです。

本当になんていうか、不倫経験者からよく聞くパターンなのが逆に恥ずかしい。当時の自分を10発くらい殴りたい気持ちでいっぱいです。

最初のイタい行為は、付き合ってすぐに引っ越しをしたことです。ちょうど借りていた部屋の満期を迎えたため、彼の隣駅に引っ越し、都合の良い宿泊施設としての役割を果たしました。そう、彼は子持ちだったので不倫するお金があまり無かったのです。

デートはもっぱら家飲みで、さらにゲーム好きという相手の趣味に染められ、毎晩オンラインゲーム内デートをするようになりました。イタタ。

彼からのプレゼントといえば、ゲーム内でのアイテム数百円。それをもらい、「お金あんまり無いのに、嬉しいわ」なんて目をキラキラさせていたのでした。イタタタ。

ここまででも当事者としては痛み(というか恥ずかしさ)で吐きそうなんですが、当時の私は彼との時間が大事すぎて、せっかく開催された合コンも、「今日はゲームをしたいから帰るね」と早退。また、デートしたい、付き合いたいと言ってくれる男性が現れても、「今は自分のことでいっぱいいっぱいなの……」なんてもっともらしい言葉でかわし、彼との格安不倫にせっせせっせと熱を注いでいました。ああ、時間の無駄すぎる。

「恋は盲目」とはいいますが、恋の中でも、不倫は特に盲目的な行為です。相手の家族のことを考えず、自分の将来のことを考えず、ただただ盲目的に彼との楽しい時間のためにお財布やエネルギーを使い続けるのですから。

次第にメンタルがボロボロに……

しかし、そんな行為を1年半も続ける中で、だんだんと関係はこじれていきます。そう、彼は私に「そろそろ離婚しそう」という言葉をことあるごとに伝えており、私もバカみたいに彼を信じ、進捗を聞き、そのたびに頭を悩ませ、心を傷ませていたのです。

当然、そんな話は詰めれども詰めれども進捗はありません。

「ねえ、離婚の話するって本当にするの? いつするの?」

と私が問えば、

「ヨメから今週末話があるって言われてるから」

と返され、進捗を待つも結局ヨメは話し合いに応じなかったとか言われ、はぐらかされる始末。

「人は言葉ではなく行動が大事」なんてよく言われますが、きれいに彼は行動が伴っていない男でした。それを信じている自分がバカなのは明白ですが、信じて裏切られ、また頑張って彼を信じて裏切られを繰り返し、自分のメンタルはズタボロになり、結果7キロ痩せてしまったのでした。

不倫の意外な結末

そんな関係が終わりを迎えるきっかけは、意外にも物理的な「イタい」行為でした。

年末が近くなり、年内最後の家デートを盛大にやろうという話になり、牡蠣パーティーを企てました。しかしこの時、金の無い男と女は少しでも良い牡蠣を安く食べたいがために、なんと加熱用の牡蠣を購入し、生で食したのです(※絶対に真似しないでください)。

知らない人にマメ知識をお伝えしておきますと、牡蠣には生食用と加熱用があります。この違いは2つで、育つ場所が保健所の指定の海域であるかどうかと、減菌処理のための洗浄がなされているかどうかです。

生食用は減菌処理のため2〜3日断食(無菌化した海水につけること)をします。そのため、加熱用の方が実が太っており、かつ値段も安くなっているのです。

加熱用を生で食べたからといって必ず当たるわけじゃない。そんな安易な結論から、私達は加熱用の牡蠣を半生で食べたのです。そして、年末に大当たりしました

テレビも街も年末年始のおめでたい空気の中、私はひとり自宅で大洪水。かろうじて冷凍庫にあったうどんでエネルギーを補給し、痛みと苦しみの中、ひとり孤独に新年を迎えました。

彼も同じ目に遭っているとはいえ、向こうには家族がいます。私にも家族はいますが、当時はあまり関係が上手くいっておらず疎遠だったため、本当に誰も助けてくれない状況。痛みで薄れる意識の中で「ああ、不倫って、本当にひとりぼっちの恋なんだな」と痛感し、こんな生き方をしていてはダメだと思い、関係を終わらせるために動き出すことを決意したのでした。

イタい恋から得た教訓「孤独でつらい経験が、鋼のメンタルを作り出す」

その後、彼とはほどなくして別れた筆者ですが、気づけば彼からおもわぬ“ギフト”をもらっていました。それは、「鋼のメンタル」です。どんなに裏切られても傷つけられても、相手を信じる強さを持ち、自分を保つ強さを持ち、なんなら食中毒で寝込んでもひとりで乗り越えるフィジカル的な強さも得た結果、私は鋼のメンタルを手に入れていたのです。

このメンタルの強さは、文筆業という今の不安定な仕事についた自分を支えてくれる底力になってくれています。と、きれい事を書きましたが、他の女性たちにこの経験を推奨したいとは思いません。

「不倫は愚か」といいますが、愚かなんてかわいいものではなく、自分の優先順位を自分の意志で下げる恋というのは、間接的な自己攻撃だと思います。

また、本人の知らぬ場所で、ご家族を始め、いろいろな人に迷惑をかけたのは言うまでもありません。どうかこれを読んだ不倫中or不倫に手を出しかけている女性が、思い留まりますように。

(文・おおしまりえ、イラスト・菜々子)

※この記事は2022年01月02日に公開されたものです

おおしまりえ (コラムニスト)

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