【第1話】犯人は誰!? 考えられる4つの可能性
恋愛・婚活コラムニストのやまとなでし子さんが、TBS金曜ドラマ『最愛』を毎週考察&展開予想するコラムです。かつて心を通わせた梨央と大輝が、殺人事件の重要参考人と刑事として再会を遂げるラブサスペンス。犯人は一体誰なのか!?
※このコラムにはドラマ『最愛』第1話までのネタバレが含まれます。
(c)TBS
過去と現在で交錯する2つの殺人と、複雑な人間模様が織りなすTBSの金曜恋愛サスペンスドラマ『最愛』。
初回から怒涛の謎と伏線ラッシュで視聴者をミステリーの渦に巻き込んでくれたこのドラマについて、毎週考察をしていきたいと思います!
15年を経て動き出した事件
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舞台は合掌造りの家々が美しい岐阜県の白川郷。主人公は、吉高由里子演じる朝宮梨央。白川大学陸上部の寮夫である父・達雄(光石研)と腹違いの弟・優(柊木陽太)と共に、寮で共同生活を送りながら東京の大学を目指して勉強に励む女子高生です。
ある日、梨央の父が用事で寮を離れていた夜に事件が起こります。
白川大学院生で陸上部員ではない渡辺(朝井大智)が寮夫の不在を知ってか忍び込み、陸上部のメンバー達と寮で勝手にパーティーを始めるのです。机の上には違法な薬物と思しきものまで……。
その後、渡辺は一人で受験勉強をする梨央の元へ行き絡むのですが、そこから梨央の記憶は途絶え、気づいた時には渡辺も行方不明に。
目覚めた時に目にしたのは、留守にしたことを後悔するかのように詫びる父の様子と、洗濯機にかけられていた血まみれの陸上部の横断幕らしきもの。取り返しのつかない何かが起きたことを梨央は悟ります。
しかしその直後、真相を知る父が突然の病死をし、屋根裏から父が隠したと思われるあの日の梨央の服が血まみれで出てきたことから、梨央はどうやら渡辺に乱暴をされた(未遂?)ことを断片的に思い出すのです。
――そして15年後。
渡辺の白骨化した死体が隣県である三重県で発見され、その直後に、今度は息子である渡辺の行方を探していた彼の父までも遠く離れた東京の公園で遺体となって発見される……という、いくつもの糸が絡みに絡みあっている物語の序章でした。
合間にも事件に関係があると思われる伏線らしき小道具や会話が散りばめられていて、一秒たりとも目が離せない1時間なのです。
誰が渡辺を殺したのか?
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ここで疑問に上がるのが、誰が渡辺を殺したのかということ。可能性として、4つが考えられます。
1つ目は、故意ではなく殺意のない事故。その場合なぜ事故として片づけず、死体を隣県まで埋めに行ったのかが疑問に残ります。
2つ目は、帰宅した梨央の父が娘が被害に遭っている場面に立ち会ってしまい、彼女を守るために殺害したもの。
3つ目は、渡辺からの暴行に抵抗した梨央が殺害した可能性です。
ただ渡辺があの夜梨央に話しかけた際、机の書類を床に落として梨央に拾わせている隙に、スープに薬を盛っているように見える場面があるんですよね。
渡辺自身も乱暴する最中に、「朝になったら全部忘れてる」と梨央の記憶がなくなることを宣言していたため何か薬物を飲ませた可能性が高く、それによって梨央も立てないほど脱力して意識を失っていることから、そこまでの抵抗ができたのかが疑問に残ります。
そして4つ目は、梨央の弟・優が殺した可能性です。
彼は劇中でもたびたび友人ともトラブルを起こしており、カッとなりやすい性格です。
なおかつ興奮すると記憶を失ってしまう「びまん性軸索損傷(びまんせいじくさくそんしょう)」という病気を患っています。そのため彼が犯人だとしても、翌日から何事もなかったかのようにいつも通り過ごしていたとしても不思議ではありません。
また、いつも首からぶら下げていた携帯電話を事件直後から紛失していることも、事件に関わったことを示唆しているように思えます。事件の騒動で携帯を紛失したのか、はたまたなんらかの証拠を残してしまうため父が隠滅のために処分したのか。
しかしながら、おそらく死体を遺棄し、全てを知っていると思われる父は亡き人のため、現状では真相は闇の中です。
相関図の現在に弟がいない不自然さ
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皆さん公式HPの相関図はご覧になりましたか? 過去と現在に渡って描かれているこのドラマは、相関図もその2種類が用意されています。
しかし、過去には載っている梨央の弟・優が、現在の相関図の中にいないことにはお気づきでしょうか。
興奮すると記憶を失うという変わった病気を持っている彼。
梨央が大学の薬学部への志望動機に新薬開発の夢を綴っていたのも、自分の不注意による事故で優が後遺症を患ったことへの責任から、その病気を治す薬をいつか開発したいという気持ちを秘めているから。
そんなキーとなる設定を持った弟が、現在に出てこないなんておかしいんですよね。
大学進学の上京で離れ離れになる時にも遊びに来るよう促す描写まであったので不仲ではないはず。弟への贖罪も込めて製薬会社での仕事をしているのなら、現在に関わってこないのはあまりに不自然です。
ですので、この相関図の中に実は弟が潜んでいると睨んでいます。この中では梨央が社長を務める真田ウェルネスの専務・後藤(及川光博)と繋がっていた、Uber Eatsの配達員ふうイケメン情報屋(高橋文哉)が怪しい!
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幼少期の優となんとなく風貌が似ていることはもちろん、彼だけ相関図でも名前が明かされていないこともその可能性を一層高めているように思います。
ただ、その場合どうして姉の梨央にとって不利になる情報を流しているのか、疑問がまだまだ残ります。
事件ですれ違う“両思いのはずだった二人”
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学生時代の梨央が恋心を寄せていたのが、寮に住む陸上部員・宮崎大輝(松下洸平)です。
実は両思いでありながら、お互い気持ちを伝えきれていなかった二人ですが、不幸が重なり、大輝が告白をするのは渡辺失踪事件と梨央の父の死後に……。
やっと二人の気持ちが通い、最高に幸せなはずの場面で梨央の目に入ったのは、渡辺との出来事の時に負ったと思われる謎の腕の傷でした。
彼が好きだという気持ちを感じる中で、(記憶はないがおそらく)自分が殺人に関わり、穢れてしまった存在であることを思い出してしまったかのように、目を見開く梨央の姿がつらかった……。
父の死をきっかけに、父と離婚し東京に暮らしていた実母と暮らすことになった梨央。本当なら東京に就職した大輝と付き合っていくこともできたはずですが、それをしなかったのは、殺人の贖罪に愛する人を巻き込まぬよう自分一人で背負っていくという愛ゆえの覚悟からなのでしょうか。
皮肉すぎる再会
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15年ぶりに梨央と大輝が再会することになったわけですが、それは刑事となった大輝と、殺人事件の重要参考人としての梨央という予期せぬかたちでの再会でした。
「真田梨央です。はじめまして」と再会のはずなのに、まるで初めて大輝に会ったかのようにあいさつをした梨央。
あの白川郷での楽しく美しい日々は「朝宮」梨央としての日常でした。しかし、朝宮の人生は殺人事件で突然に幕を引くことになってしまったわけです。東京で母方の真田姓になったことで過去を封印し、生まれ変わった新しい人生を歩んでいるのだという決意のようにも見える重い一言でした。
最愛は誰への感情?
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タイトルになっている“最愛”。この最愛とは、果たして誰から誰への感情なのでしょうか。殺人に関わらせまいと、大輝から身を引いた梨央の気持ちなのか、子どもを守るために殺人(またはほう助)を行なった父からの梨央と優への感情なのか。
まだまだ隠されているであろう本当の最愛の意味を探っていくのも楽しみですね。
初回から不穏な動きを見せる後藤や、弟疑惑の謎の情報屋イケメン、そして今や美容の神のように崇められている田中みな実が化粧っ気のないレアな姿を見せてくれるフリーライターなど、これから一層かき回してくれそうな面子もそろい、来週も視聴者をますます謎とサスペンスと好奇の渦に引き込んでくれること間違いなしです!
(やまとなでし子)
※この記事は2021年10月21日に公開されたものです