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ストループ効果とは? 意味と事例をわかりやすく解説【心理学用語】

服部希美(心理カウンセラー)

ストループ効果とは、色と文字の情報が矛盾している時、判断に時間がかかる現象を表した心理学用語。具体的にはどのような例があるのでしょうか? この記事では、心理カウンセラーの服部希美さんにストループ効果の意味や具体例、日常生活における注意点を解説してもらいます。

信号機といえば、「赤色は止まれ」「青色は進め」ですよね。でも、もしこの色が逆になったらどうでしょうか……?

「ストループ効果」とは、色と文字が示す情報が干渉し合い、理解に混乱が生じる現象のこと。私たちの生活において、実はさまざまなところで活用されています。

そこで今回は「ストループ効果」の正しい意味や具体例、仕事や日常生活における活用法を紹介します。

ストループ効果とは?

まずは、ストループ効果の意味を見ていきましょう。

ストループ効果とは「色と文字の矛盾により判断に時間が掛かること」

ストループ効果(Stroop effect)とは「色から読み取れる情報と、言葉や記号などの意味から読み取れる情報が矛盾する場合に、直感的に情報を理解することが難しい」現象をいいます。

例えば、文字の「色」を答えてくださいという質問において、赤色の文字で「赤」と書いてあるものよりも、青色の文字で「赤」と書いてある方が答えにくく回答に時間がかかりますよね。この現象がストループ効果です。

また、書かれている「文字」を答えてくださいという質問においても、色と文字に矛盾が生じている場合は回答に時間がかかるでしょう。この現象を「逆ストループ効果」といいます。

ストループ効果が起こる原因

ストループ効果がなぜ起きるのかについては諸説ありますが、今回は広く知られている「自動処理仮説」で説明します。

私たちは「色」を見た時に、自動的に「色」の情報を読み取り、判断します。例えば、赤色の物を見た時、反射的に「あ、これは赤色だ!」と脳が反応するのです。

一方で「文字」についても同じように、見た瞬間「文字の意味」を自動的に読み取ります。例えば、「青」という文字を見た時には、反射的に「青ってこういう色!」と想像しますよね。

これら2つの情報が一致していれば迷うことはないでしょう。しかし「色」からの情報と「文字」からの情報が異なる場合、それらが互いに干渉し合うため、どちらを優先して認知すべきか、導き出すまでに時間がかかってしまうのです。

ストループ効果と「サイモン効果」「干渉効果」との違い

ストループ効果に似た意味合いの心理学用語として、「サイモン効果」と「干渉効果」があります。

「サイモン効果」とは?

サイモン効果とは位置情報と文字の矛盾により、理解が困難になる現象のこと。ストループ効果との相違点は、対象が「位置と文字」に限定される点です。

例えば上記の図のように、紙の左側に「右」という文字、紙の右側に「左」という文字が書いてあると、位置と文字の情報が干渉し合い、何が書かれているのか理解が遅れたり、判別がしにくくなったりします。

「干渉効果」とは?

干渉効果は、同時に提供される2つの情報が干渉し合い、理解が困難になる現象のこと。

例えば、細文字で「太」、太文字で「細」と書いてある文字を読んだ時、視覚の情報と文字の情報に矛盾が生じ、直感的に理解しにくくなる現象も干渉効果の1つです。

ストループ効果とサイモン効果は「干渉効果の1つ」

色と文字の意味に限定されるストループ効果、位置と文字の意味に限定されるサイモン効果と違い、干渉効果は「すべての情報が対象」ですが、いずれも「瞬時に読み取った2つの情報が矛盾していることで答えに迷う」現象です。

つまりストループ効果とサイモン効果は、干渉効果の1つであるといえます。

日常生活におけるストループ効果の具体例

続いて、日常生活におけるストループ効果を考えてみましょう。

「止まれ」の道路標識の色は赤色ですが、もし青色だったらどうでしょうか?

私たちには「止まれ=赤色」「進め=青色」という、社会的な共通認識があります。

この共通認識に沿った色を守ることは、ストループ効果による混乱を招かないためにとても重要だといえるでしょう。

次ページ:ストループ効果の実験

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