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ふざけた大人でもいい。高畑充希が描く30歳の理想像

#Lifeview

マイナビウーマン編集部

あこがれの人、がんばってる人、共感できる人。それと、ただ単純に好きだなって思える人。そんな誰かの決断が、自分の決断をあと押ししてくれることってある。20~30代のマイナビウーマン読者と同世代の編集部・ライターが「今話を聞いてみたい!」と思う人物に会って、その人の生き方を切り取るインタビュー連載。

取材・文:田島佑香/マイナビウーマン編集部
撮影:洞澤佐智子
Stylist:Shohei Kashima(W)、Hair&Make:根本亜沙美

もうすぐ29歳になる私は、いつからか、休日にどこかへ出掛けるのが苦手になった。

私と同世代くらいの人たちはカップルで歩いていたり、子どもを連れていたり……。そんな光景を見ると、自分だけ周りから置いていかれているような気持ちになるから。

30歳へのカウントダウン。それを時限爆弾のように感じていた私は、インタビュー中に彼女がふとこぼした「30歳も楽しそう」という言葉にハッとした。

彼女の名前は、高畑充希。5月28日公開の映画『明日の食卓』で、シングルマザーの石橋加奈役を演じている。生き方は全く違うけれど、同じだけの年齢を重ねてきた高畑さんが30歳をポジティブに捉えられる理由は何なのか。それを聞かずにはいられなかった。

彼女が30歳を楽しみにする理由

高畑充希 インタビュー

映画『明日の食卓』で、大阪に住む30歳のシングルマザー・石橋加奈を演じている女優の高畑充希さん。

今回高畑さんが演じた加奈は、一人息子のためにアルバイトを掛け持ちしながら必死に働く肝っ玉母ちゃんだ。

これまではかわいらしい役どころも多かった高畑さんが肝っ玉母ちゃんを演じると聞いて、意外に感じた人もいるのではないか。私もそのうちの一人。そして彼女自身も、転換期の訪れを感じていると言う。

「去年くらいから、自分のキャリアが明らかに変わってきている実感があります。いただく役が今までとはガラッと変わって、妻とか母の役が増えました。

今回演じたシングルマザーのような、難しい役も増えて。役で自分の年齢を実感しますし、『分岐点に来ているのかな』と思っています」

これまで、休む暇もないくらいに20代を全力疾走してきた高畑さん。分岐点に来て、さらに仕事の面白さを感じていると言う。

高畑充希 インタビュー

「この仕事って、年齢を重ねると役の幅がどんどん広がっていくんです。40歳を超えたらまた違う役、いつかはおばあちゃんを演じられるようになったりして。

今までは“若さ”を求められることが多かったですが、これから先は年齢に応じてどんどんキャリアが変わっていく。だから、ここから数年すごく仕事が面白いだろうなって思うんです」

「いろいろな役を通して、女性の人生って面白いなって感じて。30歳も楽しそうって勝手に思っています」と、うれしそうに話してくれた。

一人の女性としては私も不安

「30歳も楽しそう」。そう言う高畑さんが、私にはものすごくまぶしかった。

女優でも何でもない私にとって、30歳という分岐点にはネガティブなイメージが強い。そんな悩みを思い切ってぶつけてみると、彼女からは意外な答えが返ってきた。

「自分自身としては不安ですよ。私も。何かこの年齢になると、周りから急に聞かれるようになりませんか? 『結婚願望ある? 子どもは欲しい?』とか。おととしまでは何も聞いてこなかったのに(笑)!

これからどうするのって誰かに聞かれる度に、焦らなきゃいけないのかなって不安になります」

高畑充希 インタビュー

「定時で上がることもないし、休みも決まってない。こんな仕事をしてる自分を、誰がお嫁に欲しいと思ってくれるんだろう? って思うこともあります(笑)。でも、結婚したから、子どもを産んだから幸せかって聞かれたら、そんなこと誰にも分からない」

「何が良いかなんて分からないけど……」と前置きして、彼女はこう続けた。

「最終目標は“日々幸せに生きること”なので、『みんながしてるからしなきゃ』っていうのはそこからブレる気がする。

誰かと生きていくのはきっと楽しいだろうなって思うし、孤独は嫌ですけど。死ぬ時に『ああ良い人生だった』って思える方がいいと思うから。最後に自分がそう思えるような選択をしたいです」

人生の選択には、正解も不正解もない。だから、結婚を選んでも、仕事を選んでも、趣味を選んでもいい。全部選んでみたっていいし、何も選ばず流れに身を任せてもきっといい。

何を選んだら自分がどう感じるか、分からないことだらけ。でも1つだけ確かなことがある。それは、死ぬ時に「幸せ」だったかを決めるのは他人ではなく、自分自身だということ。

この先の人生は、きっとすごく面白い

高畑充希 インタビュー

高畑さんと話していて、これから彼女はもっといろいろな表情を見せてくれるんだろうなとワクワクした。

と同時に、年齢に応じて変わっていく自分のことも少し楽しみになった。30代、40代と年を重ねるごとに、私も、文章で人を幸せにする仕事ができるようになるのかもしれない。

「30歳を超えた女性って色気があってすてきじゃないですか」と高畑さんが言うように、私にも色気が芽生えて、魅力的な女性になれるのかもしれない。分からないけれど(笑)。

これからどんな30歳になりたい? 最後の質問に高畑さんは、「う~ん」と考えた後、「そうですね。ふざけてたいですね」と少し笑いながら答えてくれた。

きっとそれでいい。「30」という身の丈に合わない数字には全力で戸惑っているけれど、もう少しふざけてたっていいじゃないか。

経験も、お金も、人脈も、友達も。今の私はどれも多くは持っていないけれど、たしかに20代で積み重ねてきたもの。そんなちっぽけな武器を引っ下げて、さあ、どんな大人になってやろう。

高畑充希 インタビュー

ビスチェ:11,000円、スカート:15,400円/全てパブリック トウキョウ(パブリック トウキョウ 渋谷店)
ピアス:13,200円/ユーカリプト(ユーカリプト)
リング(人差し指):19,000円/ガガン(ガガン)
リング(中指)9,900円/ソワリー(ソワリー)
その他スタイリスト私物

映画『明日の食卓』

同じ「石橋ユウ」という名前の息子を持つ3人の母親。住む場所も環境も違うこの3人は、それぞれ必死に子どもと向き合いながら、忙しくも幸せな日々を送っていた。

しかし、そんな幸せはほんのささいなことをきっかけに崩れていく。自分の意志に反して子どもに向いてしまう、怒りやいらだち。子どもを育てる恐怖や難しさ。3つの石橋家は、それをどう乗り越えていくのかーー。

2021年5月28日(金)全国ロードショー!

※この記事は2021年05月26日に公開されたものです

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