「周知」とは? 意味と正しい使い方を簡単に解説
周知の使い方と敬語表現
次に、周知という言葉の使い方と敬語についてご紹介していきます。正しい言葉の使い方や敬語表現を覚えることで、ビジネスシーンにふさわしい言葉遣いを身に付けていきましょう。
「周知する」は多くの人に情報を伝えること
前述した通り、「周知する」とは、多くの人に情報を伝えること、また多くの人が情報を知っている状態にすることを意味しています。
「周知する」を使った例文は、以下の通りです。
例文
・新しい利用規約を利用者に周知する。
・上司からの連絡事項を部署全体に周知する。
・ウイルス感染防止のために手洗いうがいの徹底を周知する。
このように、自分から不特定多数の誰かに向けて情報を伝達する場合に、周知するという言葉を使用することができます。
「周知させる」は誰かに情報を共有させること
「周知させる」とは、誰かに情報を共有させるという意味で使われます。例文は、以下の通りです。
例文
・部下に社内会議の結果を周知させる。
・今月末のスケジュールについて全体に周知させる。
・新しい規則について確実に周知させる。
このように自分ではなく、他人に何らかの情報を誰かに向けて共有させること場合に周知させるという言葉がよく使われています。
「周知する」「周知させる」の敬語と注意点
周知するの敬語表現としては「周知いたします」という表現を使うことができます。「いたす」は「する」の謙譲語であり、自分の行為をへりくだって、目上の人に対し敬意を表す場合に使用します。
そのため、周知するを敬語で表現したい場合には、周知いたしますという言葉を使用することが可能です。ただし、注意点としてこの場合「いたす」を「致す」と漢字で書くことは誤りになります。
なぜなら正確には「致す」は、その言葉自身が動詞として使われる場合のみ漢字で表記されるためです。「周知いたします」の場合の「いたす」は周知という元々の動詞を補助する目的で使われているため、平仮名で書くのが正しいとされています。
また、「周知させる」と似た意味で誰かに情報の周知をお願いする場合の敬語表現としては、「ご周知ください」という言葉が使われます。
この場合も、「いたす」と同様に「ください」を「下さい」と漢字で書くと誤りになってしまうので気をつけましょう。
周知徹底とは
周知という言葉を使った四字熟語には、「周知徹底」という言葉があります。周知徹底とは、「広く世間にそれを知らせて、隅々までいきわたらせること」また「告知がだれの耳にも入るようにすること」という意味があります。
こちらの四字熟語はビジネスシーンで使われることが非常に多い言葉となっているため、覚えておくと良いでしょう必ず覚えておく必要があります。
使われる場面としては、例えば会社の代表や上司が社員や部下に対して重要事項などの情報を行き届かせる場合などに使います。
また、あなたがもし部下の場合、上司から「この情報を周知徹底させておくように」と伝えられることがあるかもしれません。この場合は、指示通り社内や部署全員に情報が隅々まで行き届くように情報共有をする必要があります。
言葉を言い換えるならば、「全員に対する確実な情報共有」というニュアンスで捉えることができます。
以下に例文をご紹介します。
例文
・緊急事態発生時の避難経路について、周知徹底させる。
・部下に重要事項を周知徹底する。
・ミスの再発防止に向けて、周知徹底をお願いする。
周知の事実とは
「周知」を使った言葉には他にも、「周知の事実」という言葉があります。周知の事実とは、「みんなが知っている情報」という意味があります。
また周知の事実の類語としては「公然の事実」「万人の知るところ」「一般常識」「コモンセンス」などがあり、みんなが知っている共通の事柄という意味が含まれています。こちらは噂や誰かの推測ではなく、客観的な事実であることが特徴です。
気をつけたい点として、周知の事実には「知っていて当然」や「知らないと恥ずかしい」というニュアンスが含まれています。
そのため、上司や目上の人に対して「それは周知の事実ですよ」というように言葉を使ってしまうと、場合によっては失礼に当たることもあるので注意しましょう。相手の感情を傷つけないように配慮しながら使用することがポイントです。
また、同じような理由で「周知のとおり」という言葉も「ご存知のとおり」や「いうまでもなく当たり前」といったニュアンスが含まれているため、上司や目上の人に対して使う時には注意が必要です。
以下に例文をご紹介します。
例文
・君が優秀なことは周知の事実だよ。
・あなたが〇〇さんと仲がいいことは周知の事実です。
・我々の業績がどんどん伸びていることは周知の事実だ。