元気な方言、独自のユーモアセンス。関西の玄関口として、どんな人も明るく迎え入れてくれる大阪。その土地ならではの独特な文化が多く残る街は、恋愛観や結婚観にも個性があるのでしょうか。
そんな疑問にお答えしてくれたのは、結婚相談所・パートナーエージェントの大阪店舗長で、成婚コンシェルジュも務めている渡辺さん。接客に従事し続け、10年以上会員様と向き合ってきた渡辺さんの視点から、大阪府民の「明るい結婚観」が見えてきました。
渡辺さんプロフィール
新卒でスポーツ小売業に入社し、販売、人事、商品部を担当。その後、外資の保険会社で法人営業を経てトレーナー職を経験。人の人生に携わるなら笑顔の瞬間にと思い、パートナーエージェントへ入社。現在はパートナーエージェント大阪店にて店舗長を務める。
■大阪府の恋愛は「半分イメージ通り」?
――渡辺さんが感じる大阪の特徴を教えてください。
渡辺 みなさんご存じの通り、大阪は明るい街です。府民の多くは“新喜劇”を見て育っているので、会話の中で自然にボケとツッコミをします。大阪は県外の方も多く訪れますし、それぞれの個性を大切にするような文化がありますね。「普通はこう」という偏見があまりなく、自由でのびのびとした空気があるのが大阪のいいところです。
もちろん粉もんをはじめ、おいしいものもたくさんあります! 食事好きな人が多く、まずは食べ物の話から会話が始まることも多いです(笑)。
――大阪府民の性格についても教えてください。
渡辺 みなさんのイメージ通り、男女ともにせっかちな方が多いと思います。基本的に人に対してオープンなコミュニケーションを取れる方が多いので、県外の方にはびっくりされることもありますが、大阪の中ではせっかちに見えるコミュニケーションが普通ですね。
女性は、親切で面倒見のいい方が多いです。婚活市場でも求められやすい女性像に近いのですが、その分お相手となる男性にも、親切さや察する能力を求める方が多いですね。頼む前に先回りしてやっておいてくれるような、気が利く女房気質な方が多いです。逆に男性は、県外のみなさんが思うよりは控えめな方もいらっしゃいますね。
――大阪府民がしがちな恋愛の特徴はありますか?
渡辺 みなさんそれぞれ、多様な「面白さ」の感性を持っているので、外見以上に内面の居心地の良さに着目する方が多いです。といっても「めっちゃおもろいことが言えなアカン」というわけではないんです。大阪風の笑いと関東風の笑いは毛色が違うように、自分と同じことで笑える、同じテンポで接し合える人を求めているように感じます。
親切な県民性で人と仲良くなるスピードが早く、いざ恋すると交際までのスピード感も早いです。女性も自分からアプローチをする人が多いですが、相性については厳しく判断する人が多いのが特徴ですね。
――逆に、大阪府民が陥りがちな恋愛の特徴はありますか?
渡辺 大阪といえば「ケチ」という印象がある人もいらっしゃるかもしれませんが、金銭感覚次第で恋愛の明暗が分かれることがあります。
大阪人=ケチ、というわけではなく、例えば男性ですと、若いうちほど浪費される人もいますし、女性も30代以降、多少お金をかけてほしいという方もいらっしゃいます。ただ、多くの方がひとつひとつの価値観に対して「自分のスタンス」を明確に持ってらっしゃるので、金銭感覚が合わないと長い交際には発展しづらいです。
■大阪府民との結婚は「周囲との関わり方」が大切
――大阪でモテる男女・モテない男女はどんな人ですか?
渡辺 大阪でモテるのは少しだけおせっかいな人ですね。大阪府民はとにかく親切ですが、おせっかい過ぎる人もいます。外見以上に内面を重視するので、人間力が高い人はシンプルにモテます。
また、府内在住の方は大阪から出たがらない人も多いので「この先も大阪に住みます」という人であれば、県外出身の方でも大阪府民にモテます。
逆に大手企業にお勤めといえば、婚活では人気が出やすいものなのですが、転勤で大阪にいらしていて数年後に大阪を離れるとなると、急にお断りが増える場合も。身内付き合いが深い人ほど、大阪にこだわりがちです。
ちなみに、中には「●●エリアの人とは気が合わない」とはっきりおっしゃられる方も。会員様の中にはそのエリアの方と成婚されている方もいるので、一概には言えないんですけどね。
――大阪府民の結婚観に特徴はありますか?
渡辺 友人関係や家族関係が密接なので、自分の家族や友人と仲良くできる人を求める方が多いです。特にご家族と仲がいい方は、同じく家族仲がいいお相手を求めることが多く、結婚後もお互いの家族や親戚と密接に関わっていく方も。
友人同士を早めに紹介して、グループ交際をスタートさせる方も多いです。結婚や真剣な交際を考える時には、まずは周囲の方に紹介して、身内や親友に認めてもらいたいとおっしゃる方も少なくないです。
友だちグループの結婚式などをきっかけに、みんなで一緒に婚活をはじめたという話も聞いたことがあります。女性は特に、周囲とライフステージを合わせたいと思う人が多いかもしれませんね。
――大阪ならではの成婚エピソードはありますか?
渡辺 例えば私の会員様で、一度成婚退会したのに、金銭感覚の不一致が原因で戻ってこられた方がいます。次は絶対に同じ失敗はしないと意気込んでらっしゃって、次は「思いやりを感じる人」を選んで、またすぐに成婚退会して行かれました。
交際のきっかけは、デート時にお相手が道で倒れている自転車を見つけて、何台も起こしているのを見た時だそうです。その方もちょっとおせっかいなところがある方だったので、優しさにキュンとしたのだそう。お相手の内面からにじみ出る人間性に目を向けて恋愛を始められるのは、大阪ならではのすてきな恋愛観だと思います。
■人情深い大阪府民は恋愛・結婚におすすめ!
――大阪でおすすめのデートスポットはどこですか?
渡辺 安くておいしいお店はたくさんあるのですが、粉もんの食べ歩きなどは「仲良くならないと難しい」と考える人が多いです。最初は梅田のあたりで座って話せる飲食店を選んだり、海遊館や天王寺動物園に行ったりする人も多いですね。
ただ、一度仲良くなってしまえばデートの選択肢は多いです。大阪市内で飲み歩きをする人もいれば、少し遠出して京都へお寺巡りする人も。テーマパーク好きな方はUSJに行かれますし、お笑いライブに行く方もいますし……交際後もデートのバリエーションが広いのは、大阪の魅力ですね。
――改めて、大阪府民の結婚観・恋愛観の総評をお願いします。
渡辺 大阪は、関西の中でも恋愛がスタートしやすい場所だと思います。知らない人とのコミュニケーションに抵抗がない人が多く、話が合えばすぐに仲良くなれますし、人口も多いので、中には九州から大阪に移住して婚活をする方もいらっしゃるほどです。
県外の方からはよく「ノリツッコミができないとダメですか?」と聞かれますが、そんなことはありません。ただ、ボケのボールを投げたい人からすると、拾ってもらえたら嬉しいものなので、仲良くなっていくにつれて、2人らしいノリ、ツッコミの距離感がつかめていくのではないかと思います。
おもしろいことが言えなくても、もちろん大丈夫です。ユーモアのセンスが尖っていることよりも、ノリが合う人を求めている方が多いです。大阪人は基本的に優しく、そしておせっかいですが、人との深い関わりを求めている人であれば、その情の厚さがむしろ魅力に映るのではないかと思います。
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渡辺さんのお話を聞いてみると、大阪の方々のいいところがたくさん見えてきました。価値観を重視する恋愛観で、自分に合う運命の人を求めていく大阪の人々は、一度恋に落ちてしまえばパートナーを大切にしてくれそう。不安だった「ツッコミ文化」に関しても、渡辺さんによれば「ツッコミ力よりノリが大切」とのこと。恋愛においてもコミュニケーションを大切にする人であれば、関東よりも大阪の方が恋の機会も増えるかも!?
(取材・文:ミクニシオリ/イラスト:サヲリブラウン)
福岡エリアの男女の恋愛観・結婚観は?
※本記事は取材内容をもとに制作しております。県民性について結論づける意図はございません。