「受け取る」の敬語は? 敬語の種類別に見る表現(例文付き)
ビジネスにおいて、メールや書類、荷物の受け渡しの際に「受け取る」をどう敬語で表現するべきか悩みますよね。自分が受け取った時と、相手に受け取ってもらう時とでは、言い回しも変わってきます。「受け取る」の敬語について、ビジネスコミュニケーション指導に従事する大部美知子さんに解説してもらいました。
ビジネスでは、相手に物の受け取りを依頼したり、また自分が物を受け取ったりするケースがよく発生します。
「受け取る」という言葉の敬語にはいろいろな表現があるため、正しい使い方に迷うことはありませんか?
ここでは、「受け取る」の敬語の使い分けや他の表現について確認してみましょう。
敬語の種類別に見る「受け取る」の表現
敬語には、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」があります。
それぞれの種類別に、「受け取る」の表現を見ていきましょう。
尊敬語での「受け取る」は「お受け取りになる」
取引先や上司の状態・行為を言い表すには、相手を立てる表現である尊敬語を使う必要があります。
そのため、相手に何かを受け取ってもらいたい場合には、尊敬語で「受け取る」を表現します。
尊敬語には、
1.「お〜になる」
2.「〜れる・られる」
3.言い換え表現の特定形
の3パターンがあります。
例えば、「相手が受け取る」という場合、この1~3に合わせると、それぞれ以下のようになります。
1.「お受け取りになる」
⇒例文:「部長、○○様からの伝言メモはお受け取りになりましたか?」
2.「受け取られる」
⇒例文:「今、○○支社の○○課長から荷物を受け取られたと報告がありました」
3.「査収」など
⇒例文:「ご査収くださいますよう、お願いいたします」
謙譲語での「受け取る」は「頂戴いたします」
自分の動作には、自分がへり下って相手に敬意を表す謙譲語を使います。
そのため、自分が相手から何かを受け取った場合には、謙譲語で「受け取る」を表現します。
謙譲語のパターンとしては、
1.他の表現に言い換える特定形
2.「お〜いたす」
の2パターンがあります。
例えば、自分が受け取るという場合には、この1~2に合わせると、それぞれ以下のようになります。
1.「頂く」「頂戴する」
⇒例文:「○○様よりお土産を頂きました」「お心遣いをありがたく頂戴いたします」
2.「お受け取りいたす」
⇒例文:「確かに、商品をお受け取りいたしました」
ちなみに「頂きます」も「頂戴いたします」にも「頂」という文字が使われていますが、この漢字には「頭の上にのせてささげる」という意味があります。
その意味からも「頂きます」や「頂戴します」が、目上の人への表現としてふさわしい理由が理解できますね。
なお、「頂戴いたします」には同じ意味を持つ「頂」と「戴」を重ねて使っていますので、「頂きます」より、「頂戴いたします」の方がより丁寧な印象です。
丁寧語での「受け取る」は「お受け取り」
丁寧語は、相手との上下関係が発生しない敬語ため、同僚や親しい先輩などに使われます。
丁寧語にするには、以下2つのパターンがあります。
1.接頭語の「お」を付ける
2.語尾に「です・ます・ございます」を付ける
例えばこの1~2に合わせると、それぞれ以下のようになります。
1.「お受け取り」
⇒例文:「こちらの資料をお受け取りください」
2.「受け取ります」
⇒例文:「会議の資料は、昨日受け取りました」