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「釈然としない」の意味とは? 使い方や例文・類語

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「釈然としない」と「腑に落ちない」はどう違う?

同じようなニュアンスで、「腑(ふ)に落ちない」という言葉があります。

「腑」は「はらわた。心や命の宿る所。思慮分別」の意。「腑に落ちない」は「納得がいかない、合点がいかない」という意味です。

納得がいかない点では似ているところもありますが、はっきりした違いがあります。

「釈然としない」では相手との心理的距離や関係性にまで意味が及ぶのに対し、「腑に落ちない」ではそこまで意味は及びません。

「腑に落ちない」は単に、納得がいかないという状態を示すのみです。心理的わだかまりはないので、分かるように説明を受けたり、不明点が明らかになったりすれば、納得がいくようになることもありえます。

例えば、次のように使うことができます。

・まだ腑に落ちない点があるので、もう少し詳しく教えていただきたいのです。

・実は、その点が少々腑に落ちないところではあります。

ビジネスシーンでも、このように使うことができます。

ただし、「腑に落ちない」についても、「釈然としない」と同様に、ビジネスシーンで使う場合には、次の項目で紹介するような言い換えを工夫した方がいいでしょう。

「釈然としない」の類語・言い換え表現

「釈然としない」はビジネスシーンにおいては不向きな言葉ですが、納得のいかない気持ちを表したい場合、どのような言葉に言い換えると良いのでしょうか?

ポイントとしては、困ることは困る、分からないことは分からないとしっかり伝えながらも、わだかまりを残さないこと。そして、少しでも望ましい結果に導こうとすることです。

そうした観点から、意見や主張を伝えるにふさわしい言い換えの表現を以下に掲げます。

(1)「この品質では納得いたしかねます」

例えば、思っていた品質と全く違うものが届いた。そんな場面での言い方です。

親しい取引先であっても、仕入れ先から納品されたものが期待通りでは全くなかった時には、毅然とした態度で伝える必要があります。

ゴールはあくまで期待していた品質を届けてもらうこと。「非常に期待していたところですが」「御社らしくありませんね」など、相手を高く評価していたからこその表現を加えても良いでしょう。

(2)「こちらとしても、非常に困惑しております」

予定していた納期に間に合わないと言われた時に使う言い方です。

納期を守れない相手は信用がおけません。こんな時「いや〜、なんとかしてくださいよ。困りますよ」と馴れ合うような態度は禁物。

仕事における立場をわきまえた丁寧な物言いで、相手に対して自覚と改善を促しましょう。

(3)「状況が判然としませんが、もう一度調べていただけますか」

とりあえずの報告として相手が断片的な情報だけしか伝えてくれない時に使う言い方です。

「それでは分からない」、つまり答えになっていないということを相手に理解してもらいましょう。そして、「再調査してほしい」「再検討してほしい」「努力してほしい」など、相手に要請したい内容をその後に続けましょう。

(4)「いくら部長のお言葉でも、そればかりは承服しかねます」

目上の相手であっても、折れることができない時があります。

上司や目上の人だからとイエスマンで忖度ばかりしていては都合のいい部下と見られてしまいますね。

「承服」の「承(る)」は「聞く」の謙譲語、「服」は「従う」の意。目上の人に対して、敬意を込めて使う言葉です。

(5)「それにも確かに一理あると思います。ただ、私の見解は異なります」

自分の意見が違うことを示したい時の言い方です。

会議や打ち合わせで、先に発言した人とは別の見解を述べたい……そんな時、「私はそうは思いません」「私は、それは違うと思います」と「私」を主語にすると、人との対立が生まれがちです。

そこで「私の見解は」「私の意見は」と、見解や意見を主語にします。お互いに客観的な見方ができるでしょう。

空気を読む時代でも、必要なときには毅然とした態度で

今回は、ビジネスで意見を述べる時の表現を紹介しました。

仕事で気持ちをぶつけることの全てがいけないわけではありません。真摯に取り組むひたむきさや情熱であれば、全面的に出す方がむしろ好ましいでしょう。

ただし、否定的な気持ちは、そのままぶつけても周囲をギクシャクさせるばかりか、自分にとってもマイナスになります。

そんな時は、感情と理性を分けて言葉を選ぶことが大切です。前述したような言い換え表現を、ぜひ参考にしてみてください。

ビジネスの場面では、いろんな立場の人のさまざまな思いが交錯します。互いの意見をよく聞き、尊重し、その上で自分の意見を主張することは、働く人として当然の姿勢です。

そうすることで、互いの信頼が深まっていくでしょう。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

※この記事は2020年07月28日に公開されたものです

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

コピーライターとして長年「ことば」に関わってきた経験値を元にまとめた「ほどよい敬語」(https://ameblo.jp/comkeigo/)が好評。過剰さや不適切さを排し、明快に説く内容は「違和感の理由がわかりスッキリした」と質問サイトなどでたびたび引用される。

自治体・団体・医療機関向けSNS活用、文章術研修の講師でもある。

著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』(青春出版社)『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』(日本経済新聞出版社)『ソーシャルメディアで伝わる文章術』(秀和システム)など。公益社団法人日本広報協会アドバイザー。

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