「期待しない生き方」が正解な理由。期待はなぜ裏切られるのか
期待しては裏切られて、うんざりしていませんか。期待しない生き方がいいなどと聞きますが、なぜなのでしょうか? ラブホの上野さんに、期待はなぜ裏切られるのか、裏切られないためにはどうしたらいいのかについて教えてもらいました。
人に期待をすると疲れます。
期待はいともたやすく裏切られ、そのたびに期待をしてしまった人は心が傷ついていくのです。
どうせ裏切られるくらいなら、最初から期待しない方がいい。
そのような考えに陥ってしまうのも時間の問題でしょう。
人に期待をしない人生は間違いなく楽なのです。
誰にも期待せず、人の優しさを拒絶して、自分の心に閉じこもり一人で生きていくのはとてもとても楽なことでしょう。決して裏切られることはなく、決して失望することも御座いません。
ですが楽だからといって、その人生が楽しいかといえばそれはまた別の話。
その人生が幸せかといえば、これもまた全く別の話でしょう。
期待はなぜ裏切られるのか
ラブホテルに自動精算機がある理由
私はラブホテル産業で働いておりますが、ラブホテルのお部屋にある自動精算機は一体どのような経緯で開発されたかご存知でしょうか?
「会計を機械で終わらせたいというお客様のニーズ」、「人件費削減」。恐らくはこんな経緯で開発が始まったとお考えの方も多いことでしょう。
しかし、業界でいわれている話としては自動精算機の開発の経緯はこのどちらでも御座いません。
従業員への圧倒的な不信感。
今でこそ多少は改善されましたが、自動精算機が開発された頃のラブホスタッフの倫理観というのはそれはもうとんでもなかったそうです。
遅刻はするし気軽にサボるし簡単に辞めるし備品は盗むし売り上げを着服する。そんなとんでもない倫理観のスタッフが非常に多く、経営陣は頭を悩ませておりました。
そこで誕生したのが自動精算機。スタッフがお金に触れられないようにして、経営陣は売り上げを守ろうとしたのです。
つまり自動精算機はお客様のためではなく、スタッフにお金を盗まれないようにするために開発をされました。それが結果的にお客様のためにも役立ったものの、当初の目的はお客様のことを考えていたわけでは御座いません。
さて、私の働くラブホテルでも自動精算機を利用しております。これを設置した当時の経営陣にどのような思惑があったのかは分かりませんが、少なくとも今のスタッフに関していえばお金を着服するような輩は存在しないことでしょう。
しかし、それでも自動精算機を廃止にするつもりは御座いません。
もちろんそれはお客様のためにもなりますし、人件費の削減という意味合いも御座いますが、仮にそれらのメリットが無かったとしても、自動精算機を廃止にすることはないでしょう。
なぜならば、それが従業員を信用するためにつながるからで御座います。
信用しているときこそ期待しない
もしも自動精算機を廃止にしてお金を手渡しにしてしまったら、ふとした気の迷いでお金を盗んでしまう従業員が生まれてしまうかもしれません。
もちろん私は彼らのことを信用しております。しかし信用しているからこそ、そして信用し続けたいからこそ、彼らが不正を働きやすくなるような環境を作ってはいけないのです。
例えばお金に苦しんでいる人がいるとしましょう。そんな人の前に大金をぽんっと置いたらどうなるでしょうか?
そんなもの盗むに決まっています。少なくとも「盗んでもバレないかな」とか「これがあれば生活は楽になる」という邪心が芽生えてしまうことは間違いありません。
目の前にお金が無造作に置かれてしまったことで、本来は芽生えていなかったはずの邪心を芽生えさせてしまったのです。普段は真面目に生きている人なのに、目の前に無造作にお金を置いたことで彼の中に邪心を生み出してしまうのです。
全ての人間は状況さえ揃えば、人を裏切り、物を盗み、人を殺します。
人は状況さえ揃えば、裏切り盗み殺す生き物
私たちが人を裏切らず、物を盗まず、誰も殺していないのは、幸運にもそのような状況に陥っていないからにすぎません。そして私たちがそのような状況に陥っていないのは、これまでの人類の歴史やさまざまな人々が必死でその状況を整えてくれたからにすぎないのです。
「その人はそんなことしないはずだから」という期待で、その状況を打ち壊すようなことは絶対にしてはいけません。
人は状況さえそろえば、裏切り盗み殺す生き物なのです。
人のことを信用したいのであれば、その人が信用を守ってくれるような環境を整え続けなければなりません。
もちろんその努力をした上でなお裏切られることもあるでしょう。しかし、その努力を怠れば人は必ず裏切ります。