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セックスで出血した! 医師が教える原因と対処法

セックスの基礎知識

太田寛(産婦人科専門医)

及川夕子

普段、セックスをしても特に異常はないのに、突然出血したら不安でいっぱいになりますよね。

処女でなくてもセックスで血が出ることはあるのでしょうか? そもそもセックスで出血することって割とあることなのでしょうか?

セックスで出血があった場合、どんな原因が考えられるのか、放っておいてよいものなのかなど、産婦人科医の太田寛先生に詳しく教えてもらいました。

太田寛(産婦人科専門医)

松岸レディスクリニック(千葉県成田市)勤務。京都大学電気工学科卒業、日本航空羽田整備工場勤務。東京医科歯科大学卒業後、茅ヶ崎徳洲会総合病院、日本赤十字社医療センター、北里大学医学部公衆衛生学助教、瀬戸病院を経て現在に至る。

日本産科婦人科学会専門医、日本医師会認定産業医、医学博士、インフェクションコントロールドクターICD)、女性のヘルスケアアドバイザー、航空級無線通信士。

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なぜセックスで出血することがあるの?

生理の時期以外に出血があった場合、それはすべて「不正出血」といいます。そのなかでも、セックス後に見られる不正出血は「接触出血」と呼ばれています。

実は、女性がセックス中や後に、軽い出血を起こすことはよくあります。その多くは腟や子宮頸部からのものです。

ただ、出血に至る理由はたくさんあり、心配ないものから、病気によるものまでさまざま。さっそく原因をみていきましょう。

(1)性行為により腟などが傷ついてしまった

まず、セックスにより腟が傷つくことで出血した可能性があります。

激しい行為

激しい行為や手指での愛撫が原因で傷つくこともあるため、セックスの前には、手指はもちろん全身も、寝具も清潔にしておきたいものです。

アダルトグッズを使って楽しむ際も、衛生面はもちろん、デリケートな部分を傷つけないように使い方には気をつけましょう。

腟の大きさに対して男性器がとても大きかったというケースも考えられます。

腟が十分に濡れていない状態での行為

また、セックスのとき、女性の体では、男性のカウパー腺に相当するといわれる「バルトリン腺(大前庭腺)」、前立腺に相当するといわれる「スキーン腺(小前庭腺)」(いわゆるGスポット辺りにある臓器)、それと子宮頸管からそれぞれ粘液が分泌されます。

これらが混じりあったものがよく「愛液」「ラブジュース」などと呼ばれるもので、性交時に潤滑液の役割を果たします。

これらの粘液の分泌が足りず、腟が十分に濡れていない状態でセックスしたことで性器が傷つくこともあります。

この愛液の量にはもともと個人差があり、豊富に分泌される人もいればそうでもない人も。脱水などの体調や精神状態などによっても、分泌量が左右されるといわれています。

また、ストレスなどにより女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、バルトリン腺やスキーン腺は縮んでしまい、粘液の分泌量が減ります。

ちなみに、女性ホルモンの分泌が減少する更年期以降はとくに、腟の粘膜が弱くなると同時に分泌物が十分に出なくなります。そのため、セックス時に痛みを感じたり、出血を起こしたりすることがあります(腟萎縮、萎縮性腟炎といいます)。

(2)病気などにより女性器が出血しやすい状態になっている

もともと病気などにより女性器が出血しやすい状態になっていて、セックスをきっかけに出血することもあります。

こうした出血には、どんな特徴があるのかみていきましょう。

子宮腟部びらんやポリープによる出血

「子宮腟部びらん」や「子宮頸管ポリープ」があることで不正出血が起こることもあります。

子宮腟部びらんとは、子宮の腟に突き出ている部分(子宮腟部)が赤く見える状態で、めずらしいものではなく、性成熟期の女性の8~9割にみられるともいわれています[*1]。

また子宮頸管ポリープは、子宮腟部付近からキノコのように飛び出した5~10mm程度の出っ張った組織です。ほどんどは良性(がんではない)で、医師が見つけたらその場で取ってしまうことが多いです。

検査して悪性ではないとわかれば治療の必要もないことがほとんどですが、これらが性交時ではない時にも不正出血を引き起こしていることがあります。

尖圭コンジローマによる出血

尖圭コンジローマは、外陰部やその周辺などに突起状のいぼができる性感染症の一種。いぼのできる場所やその大きさによっては、セックスの摩擦や刺激で出血することがあります。

尖圭コンジローマのいぼができたら、塗り薬などにより治療します。なお、性交時にコンドームを使用することで感染するリスクを減らすことができます。

子宮頸がんによる出血

悪性腫瘍である子宮頸がんが原因となっている場合もあります。

子宮頸がんは、20代、30代で増えているがん。早期の子宮頸がんでは自覚症状はありませんが、進行してくると、子宮腟部や腟壁からの出血がセックス後にみられます。

他に、進行すると血が混じったおりものが増える、骨盤痛や性交痛などが起こるなどの兆候も。ただし、2年に1回のがん検診を受けれていれば早期発見が可能です。

子宮体がんによる出血

子宮体部(子宮の上2/3の部分)の悪性腫瘍である子宮体がん(子宮内膜がん)という病気により不正出血が起こることもあります。閉経後50~60代に多いがんとされてきましたが、最近、若い女性にも増えてきたとされています。

子宮体がんでは、性交時以外にも比較的初期から不正出血がみられるので、そのタイミングで婦人科へ行って検査すると早期に発見できます。しかし、そのまま進行すると、おりものの量が増えて悪臭がしたり、下腹部痛などの症状が出てきたりします。子宮体がんが疑われる場合には、子宮内膜の細胞や組織を採取して検査を行います。

子宮体がんによる出血

その他、セックスと関係なく不正出血を引き起こすと考えられるもの

・生理不順、無排卵性月経:排卵が不安定な場合に少量の出血が続く場合があります。
・排卵期出血:排卵日の数日前から少量の出血が起きることがあります。
・妊娠:妊娠初期に少量の出血がみられることが良くあります。可能性がある場合には、妊娠反応検査薬を使ってみましょう。

(3)実は女性器以外からの出血だった

セックスの最中やその後に出血していても、女性器以外からの出血だった可能性もあります。

例えば、

・尿道炎、膀胱炎:泌尿器科系の症状が原因で出血が起こる場合もあります。
・痔:肛門からの出血を腟からの不正性器出血と勘違いする可能性も。

もともとこのような出血があり、たまたまセックスの時に気づいたというケースです。

次ページ:セックスで出血してしまったらどうしたらいいの?

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