「毎日つまらない」と感じるあなたへ……その原因と対処法
「毎日つまらない」なんてぼやいていませんか? 毎日をつまらないと思ってしまう原因とはなんなのでしょうか。どうすればつまらない毎日を改善することができるのでしょう。コラムニストのトイアンナさんに教えてもらいました。
神様って、人生に起きる刺激の量を人によって変えてるんじゃないかと思うんです。私の友人が平穏に暮らしていた2019年、私は婚約と婚約破棄をし、もう1回さらに婚約しました。
仕事では会ったこともない人から内容証明郵便が届き、弁護士さんのところに駆け込みました。プライベートでは猫を飼い始めました。健康面では不妊がわかり、子なしでも生きる覚悟をきめました。
盛りだくさんの1年ですが、これくらいが私の平常運転。例年、「今年こそは平和に過ごせますように」と初詣で手を合わせるのですが、とにかく刺激の多い人生です。
逆に何もない人は、本当に平穏なまま5年、10年を過ごせますよね。この差はいったいなんなんでしょう? 私に降りかかる刺激を半分、分けてあげたいくらいです。
「毎日つまらない人生」、捨ててみる?
そんな平穏な方にも当然悩みがあり、「毎日がつまらない」「人生を変えたい」と相談にいらっしゃいます。そんなに人生を変えたいなら、突然親の前で全裸にでもなってみたらいいのに……と答えそうになります。
ところが、平穏に普段暮らしている方って「毎日がつまらないから、こうしたい」とおっしゃる選択肢も穏便なんです。たとえば、資格を取ってみるとか、お菓子教室に通ってみるとか。過激な方でも“ライターになりたい”と言うくらい。
そういう方へ「親の前で全裸になって鶏むね肉でもむさぼり食ってみたらどうですか」なんて提案をしようものなら、新品の靴で犬のウンコを踏んだみたいな顔をされます。でも、真面目なんです。
刺激的な人生を歩んでいる人は、それなりのリスクを負っています。たとえば、私は恋人からDVを受けたとき、反撃して殴り合いになったことがあります。双方が流血、痣だらけで、私が警察にかくまわれました。どっちが手錠をかけられるか、いい勝負だったと思います。
周りの刺激的な人生をおくる人ともよく話しますが、別に楽しくて刺激的にしているわけではありません。たとえば、元彼とすったもんだあって殴りかかられ、とっさに手元の花瓶で後頭部をフルスイングしてしまい逮捕されかけるなんて人生、誰が望むねん……って話です。
失敗を許容できないから毎日がつまらない
刺激には、不運なものもあります。そして大量の失敗もつきものです。
たとえば、新卒の会社が激烈ブラックすぎて1週間で逃げ出し、そこから2年かけて世界を放浪。偶然ケニアで出会った貿易会社の社長に見込まれ、今は日本橋でキラキラOLをしている女性がいたとしましょう。
そこで私たちが見るのは「いろいろ過去にあったけど、日本橋でキラキラOLをしている姿」だけ。途中経過にありそうな“女性1人で犯罪被害にあい、身ひとつでブルブル震える姿” “世界のどこにいても見てしまう、上司の怒鳴り声にうなされる夢”の話はスキップされます。
そして「いいな、刺激的な人生って。私の毎日なんてつまらないから」と比べてしまうのです。ここに、刺激を欲しながら「毎日がつまらない」と感じる理由が含まれています。毎日がつまらないのは、あなたが人生で失敗を許せないからです。
でもそれは、あなたのせいだけではありません。誰しも、途中の不幸話ははしょって話したいものです。私だって就活生向けの講演なら、学歴やキラキラ職歴をアピールしまくります。
けれど、それは人生の一側面でしかありません。刺激的で面白い人生には、どん底で泣き狂った夜や、明日どうなるかもわからず冷や汗をかいた経験が絶対にあります。
リスクの低い刺激で、つまらない毎日を消し飛ばせ
「人生に失敗もあってよし!」と覚悟を決められるなら、「毎日がつまらないから、資格を取ろうかな」とは思わないはず。たとえ、資格を取るにしても“ふぐの調理師免許”とか“温泉ソムリエ”など、人が「なんで受けたの?」と言いたくなるモノを選べるでしょう。
資格以外にも、リスクの低い起業もおすすめです。起業という言葉からは、てっきり世界を変えるイノベーションばかり想像しがちになります。しかし、実際には「自宅でスペイン語を教える」とか、「旅行のついでに、お小遣い程度の金額で買えるアンティークを買い集めてネット販売」などの身近な仕事だって、十分な起業です。
お小遣い程度の資金でも「何かを売る」経験さえすれば、伸び悩む売上に頭を抱え、そこから突破口を見つけ出すハラハラ・ドキドキが待ち受けています。
ただし、起業ではマルチ商法や、価格に見合わない高額な情報商材がたくさん転がっています。「寝ているだけで儲かる」なんて甘い言葉には注意して。人生がドキドキすれば最高ですが、口座の残高は平穏が一番です。
さあ、あなたの人生に、ちょっとしたリスクを許容してください。
「起業に失敗したら、この10万円がなくなるけど、泣けば乗り越えられる」「最悪、前の職場に出戻りするつもりで転職活動してみよう」くらいのリスクが取れれば、つまらない毎日から心機一転できることでしょう。
ほどほどのリスクで、楽しい人生を。
(トイアンナ)
※画像はイメージです
※この記事は2019年11月21日に公開されたものです