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オレンジコスメを偏愛。探究心旺盛なくろねこさんの場合 #コスメ垢の履歴書

ひらりさ

コスメを偏愛する「コスメオタク」が増えている。中でもTwitterの「コスメ垢」は、よりディープな情報発信の場として話題。この連載では、ライターひらりささんがいま気になるTwitterコスメ垢にインタビュー。彼女たちのおすすめアイテムや美容愛、さらには人生までをも覗き見ます。

同人サークル「劇団雌猫」所属の美容オタクライターひらりささんが、いま気になるTwitterコスメ垢の実態を探る連載【コスメ垢の履歴書】

今回は、「世界中のオレンジシャドウをあつめに旅にでる」というプロフィールが印象的な、オレンジコスメ好きのくろねこさん(@okenorukkuro)にインタビューしました。

コスメ垢開設のきっかけは「#ベストコスメ」

――熱の入ったコスメプレゼン、いつも楽しく拝見しています。アカウント開設のきっかけを教えてください。

コスメはもともと好きで、以前はレビューサイトの口コミを中心にチェックしていました。でも、「もらいました」という人の投稿が段々と増えてきて、あんまり信用できないな……と思っていたんです。そうしたら2017〜2018年の年末年始にTwitterで「#ベストコスメ」のハッシュタグが盛り上がっているのを見かけて。

――この2年くらいの間に、すっかり風物詩になりましたよね!

それで「おもしろいな」と思いはじめました。それまでは鍵つきの個人アカウントをひっそり運用していたのですが、好きなコスメアカウントさんと交流したいという気持ちも出てきて、自分もコスメアカウントを作ったという流れです。2018年3月ですね。

――コスメ自体はいつから好きなんですか?

母がコスメ好きで、いろいろ持っていたんです。だから私も子どものころから使わせてもらって、ちょこちょこ楽しんでいました。自分で初めてファンデーションを買いたいと思ったときも、母に相談しました。母のアドバイスでBOBBI BROWNに行って、ファンデーション、アイシャドウ、アイブロウなどを揃えたのが、自発的にコスメを買った最初の記憶ですね。

今でこそカラフルなポイントメイクをあれこれ買ってますが、本当にここ数年で、それまではブラウン一択の保守的なメイクばかりしていました。

――くろねこさんの投稿は、写真もわかりやすいし、テキストの熱量も素晴らしいので、しばらくは保守的なメイクをされていたというのが意外です。

文章、そんなにうまくないと思ってるんですけど、書くのが好きなんですよね。一つひとつのことについて掘り下げるのが楽しくて。コスメに対しての温度感が高いうちにガーッと書いて、誤字があったらあとで直しています。下書きしてから投稿すればいいんですけどね(笑)。

そうやって書いていて、ローラ メルシエのチークまとめを投稿したときに、ぐわっと反響がきました。ちょうどみんながくわしく知りたいタイミングに乗れたんだと思いますが。

――140字におさまらない愛……! くろねこさんは、ひとつのアイテムのカラーバリエーションをしっかりと比較しているので、信頼できるなと思います。私もエクセルのネイルポリッシュのツイートを見て、即ドラッグストアに走りました。

やった〜(笑)。あれはナチュラル系のカラーで、とてもいいシリーズですよね。

――普段、どれくらいの頻度でコスメを買われるんですか?

どうだろう……オンラインで買うことが多いです。店舗での予約や購入だと、ちょうどいいタイミングで行けなくて品切れということが多いので、オンラインで発売日を調べておき、張ってゲットするほうが得意なんです。

だから、店舗に行くのは月1〜2回くらいですね。情報収集も、ネットが基本。ブランドの新着ツイートをよく見ますね。あとは海外のほうが発売が早いので、ブランドの海外サイトやInstagramをチェックしてます。

――好きなブランドはどこですか?

最近は断然TOM FORD BEAUTY! 「TOM FORDがあればよくない?」くらいの気持ちになってます(笑)。ほかのブランドでも好きなものはあるんですけど、TOM FORDは発色がいいしテンションも上がるし、なんだかんだずっと使っちゃうんですよね。お値段が高いだけある。

あと、思い入れがあるのは、先日ブランドクリエイターの吉川康雄さんが退任してしまったCHICCA。ちょうどコスメアカウントを開設しようと思ったきっかけのツイートが、三浦さん(@onakasuita9876)による、CHICCAリップグロスのレビューで。シュリンプカクテルのかわいい着画と、人柄が見えるテンション高いコメントが素晴らしくて、私もやりたいなと背中を押されたんです。

オレンジコスメだけじゃない。コスメへの探究心

――Twitterアカウントのプロフィールに「世界中のオレンジシャドウをあつめに旅に出る」とありますよね。オレンジコスメはいつからお好きなんですか?

私、美容家の石井美保さん(@MihoIshiiRiche)が好きでずっとSNSをチェックしていたんです。そうしたら、石井さんがオレンジのアイテムをよく上げているなと気づいて。試してみたら自分にもしっくりきたので、オレンジシャドウを愛するようになりましたね。好きなものを固定で使っているときと、人のおすすめで冒険するときの2つの時期があります。

――このあたりでメイクポーチを見せていただいていいでしょうか。

はい。持ってきました。

――ポーチがかわいい!

PAUL & JOEのノベルティです。中身はこんな感じです。

左上から右に
・エレガンス ラ プードル オート ニュアンス III
・エレガンス ブリス オーラ PK103
・TOM FORD BEAUTY クリーム アンド パウダー アイカラー 03 ゴールデンピーチ

左下から右に
・UZU アイオープニングライナー グレー
・サナ エクセル パウダー&ペンシル アイブロウ EX
・キャンメイク クイックラッシュカーラー BR
・サナ エクセル アイブロウマスカラ N BM03
・ジョルジオ アルマーニ ビューティ ネオヌード コントゥア 20
・エレガンス クルーズ ライブリー ルージュ BR03
・サナ エクセル スキニーリッチシャドウ SR09
・ボビイブラウン ハイライティング パウダー(ミニ) ピンクグロウ
・アディクション ナチュラルヴェール ブラシ

――がっつり入れる派ですね。日中お直しとかされるほうなんでしょうか?

使わなくて終わることが多いですね。ただの安心材料です(笑)。

――このピンクのアルマーニは、リップですか?

これ、シェーディングなんです。もう1年くらい使ってるんですが、本当にいいです。最近ファンデーションにも手を出しているんですけど、公式が「肌のマエストロ」を自称しているだけある!

――ポーチの中身はけっこう入れ替わりますか?

そうですね。UZUのアイライナーは、最近の流行りに乗って買ってみました。ブラウンのアイライナーをずっと使っていたんですけど、グレーという新しい立ち位置の色が出てきたので、チャレンジしています。

なくなったら困るのが、TOM FORDのゴールデンピーチ。もともとは練りシャドウに苦手意識を持っていて、というのも「よれるし手が汚れてめんどくさい!」という気持ちだったんですが(笑)、これはよれずにピタッとつくところが気に入っていて、一番使っています。

――ポイントメイクで、今一番関心があるのはどれですか?

チークですかね。エレガンスのブリス オーラが、チークの奥深さを教えてくれて。

私、メイクしたてのころは、パール入りのチークをふわっと塗っていたのですが、それだと毛穴が目立っちゃって、しばらくマットなチークを使っていました。でもブリス オーラは、つやつやでパールが入っているのに毛穴もカバーできて。「自分にはツヤチークが似合わない」という思い込みが今さら覆されて、楽しくなってきたんです。

――自分が苦手だったものが意外といけるんだ、とわかる瞬間ってすごく興奮しますよね。家にもたくさんコスメがあると思いますが、収納はどうしていますか?

付録やノベルティのポーチに、アイテムごとにポイポイ入れてます。楽なんですけど、底のほうに入れてしまったものが発掘できなくて苦労することはあります(笑)。

――メイクをしていて、うれしい瞬間はいつですか?

その日塗ったものが、しっくりきたときですね。夕方くらいにならないとわからないんですよ。それと、あるアイテムをいつのまにか毎日使っていて「あ、これいいんだ」と気づいた瞬間。そういうときに「これちょっとよかったよ!」とツイートしたくなります。

――フォロワーが増えて、PR案件の依頼なども来ますか?

来ますが、引き受けないようにしているんです。知らない方からのDM受信をそもそも切ってます。ただの一般人ですし、商品をもらってしまったらいいように考えてしまうので。自由に正直に自分の好きなものを言えたらいいと思っています。

――最後に、コスメに出会って人生変わりましたか?

単純に言うと、出会いが増えましたよね。先に挙げた三浦さんもそうですし、前にこの連載に登場していた柔肌さんも仲よしで。この間、初対面しました。好きなものが一緒の人と話すと、こんなに楽しいんだ! って知りましたね。

あとは友だちからも「最近の美容どう?」「最近のコスメどう?」と聞かれることが増えましたし、実生活でもコミュニケーションツールになってるなと感じます。今後コスメアカウントをどれだけ続けるかは全然決めてないんですけど、今とても楽しくコスメと付き合えているので、しばらく同じペースでいけたらなと思ってます。

コスメ垢「くろねこ」さんの履歴書

(取材・文:ひらりさ、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部)

※写真のコスメはすべて本人私物です

『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』劇団雌猫

劇団雌猫の大人気同人誌『悪友DX 美意識』のグレードアップバージョン。化粧、ダイエット、エステ、整形、ロリータ、パーソナルカラー診断、育乳……。さまざまなジャンルのおしゃれに心を奪われた女性たちが、ファッション・コスメへの思い入れや、自身の美意識をつまびらかに綴り、それぞれが「おしゃれする理由」を解き明かす匿名エッセイ集。

※この記事は2019年07月13日に公開されたものです

ひらりさ

1989年生まれ、東京都出身。ライター・編集者。女性・お金・BLなどに関わるインタビュー記事やコラムを手掛けるほか、オタク女性4人によるサークル「劇団雌猫」のメンバーとしても活動。主な編著書に『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。

ブログ:It all depends on the liver.
Twitter:@sarirahira

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