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「時短メイク」は激務から生まれた。外資系OLぱぴこさんの場合 #コスメ垢の履歴書

ひらりさ

同人サークル「劇団雌猫」所属の美容オタクライターひらりささんが、いま気になるTwitterコスメ垢の実態を探る連載【コスメ垢の履歴書】。

今回は、外資IT系企業勤務という立場を活かしながら、「激務系女子のための落とさないコスメ」「強い女に見えるナメられない化粧」など、仕事とコスメについてユニークな発信を行っているぱぴこさん(@inucococo)にインタビューしました。

メイクデビューは3歳!? ぱぴこさんのコスメ経歴

――ぱぴこさんがTwitterアカウントを開設したのはいつごろで、きっかけはなんですか?

アカウントを開設したのは、2015年4月ごろです。ちょうど職場のチームの人間関係などへの不満がたまっていて、それを吐き出したかったのがきっかけですね。

瞬間風速でおさまらない気持ちをつづるために、追ってブログもはじめました。仕事の話をつぶやくことが多いですが、メイクやファッションについての話題が増えたら、それに感想をくださる方も増えていきました。

――そもそも、メイクをはじめた時期は?

自分でコスメを買いはじめたのは中学生くらいのころでしょうか。でもメイクは昔からずっと好きで、それこそ3歳くらいのころから母親の化粧品をあさって、顔じゅうに塗りたくっていたそうです(笑)。

――かわいいけど、お母さまの身になると恐ろしいエピソードですね(笑)。10代のころに買っていたブランドは覚えてますか?

よく覚えてるのは、ジバンシィかな。「まる」より「しかく」のデザインが好きで、ジバンシイのしかくいパッケージ に惹かれていました。もともと雑誌魔で『VOGUE』や『ELLE』が大好きだったのですが、ちょうど高校のころに『美的』『MAQUIA』『bea’s up』といった美容雑誌が創刊されたんですよね。それらを読み込んで、デパコスへの憧れをふくらませていきました。学校は女子校で、みんなでこっそりコスメを持ち込んでました。友だちにメイクしてあげるのも楽しかったですね。

――大学時代はいかがでしたか?

大学に入ってからは、モテるためのメイクに移行しました。『ar』や『sweet』を読んで、その系統にあわせたメイクをしていましたね。黒は使わず、茶色やピンクでまとめる感じで。オタクっぽい話をするんですけど、安野モヨコさんの『シュガシュガルーン』に出てくるバニラちゃんが普遍的にモテる子だと思って、それを目指していました。

——そのときそのときのニーズにあわせてメイクを工夫されてきたんですね。ぱぴこさんは「時短メイク」のテクニックも発信されていますが、「時短」を意識しはじめたのは社会人になってから?

それは27〜28歳くらいのころですね。お取引先の企業に出向するプロジェクトに参加していたのですが、ものすごく忙しくて、15〜16時間も先方のオフィスにいる必要があって。お取引先の前だからボロボロの状態でいるわけにもいかず、働いている間に何度も化粧直しをするんだけど、オフィスって本当に乾燥してるし、ファンデーションをずっと塗りっぱなしなのもつらいし、疲れて帰ってきたあとのメイク落としも面倒だった。

どうしよう……となったときに、スキンケア効果のあるベースメイクや時短できるアイテムに凝りはじめたんです。ちょうどミネラルコスメが流行りはじめて手に入りやすくなった時期もあったので、いいタイミングでした。

激務女子におすすめしたい「時短コスメ」

——いまは月にどれくらいコスメを買っていますか?

波があるんですけれど、一番多くて5万円くらいでしょうか。旅行に行ったときに免税店でガガガって買います。あとは仕事がきつくて気分を変えたいときとか、「最近手を抜いてたな」って反省したときとか。「いっぱい買いたい」という勢いは、学生時代のほうがあったかも。

——いまのお気に入りブランドを教えてください。

ハイファッションとつながっているコスメに憧れがあり、最近はDiorをずっと愛用しています。 チュール系のドレスやリボンのついた靴といった少女趣味なものへの憧れをこじらせているので(笑)、ファッションのほうのDiorも大好きなんです。

Diorの新作ファンデ「ディオールスキン フォーエヴァー」

あとは、ルナソルにもハマってますね。パーソナルカラー診断に行って、自分の肌色がブルーベースの冬だとわかってからは、コスメ選びも楽になりました。もともと外資系ブランドが好きだったし、控えめな色やくすんだ色は合わないなと思っていたので。

——参考にしているTwitterアカウントなどはありますか?

コスメ垢でずっと見ているのは猫川舐子さん(@namekonekokawa) 、ファッション垢だと八月さん(@8th_month)ですね。ちなみに雑誌は『FUDGE』や『GISELe』を読んでいます。昔に比べて、ちょっとナチュラルでカジュアルっぽいテイストに寄ってきたなと思います。

——逆に、ご自身のアカウントをフォローしてくださっているのはどんな人が多いですか?

やっぱり20代後半の女性ですよね。匿名でいろいろご相談をいただくことも多いのですが、「仕事でナメられやすいので困っている」「どうしたらセクハラされない見た目になるか」「上司にされたことが嫌だったが、私が悪かったんだろうか」というものが非常に多いです。それに対してツイートで「私はこうしてるよ」ということをつぶやいていたら反応があったので、ブログにも「ナメられない化粧のススメ」などの記事を書いて、「外見から武装する」シリーズとしてまとめました。

——では、そろそろメイクポーチを見せていただいていいでしょうか。

コスメはがっつり持ち歩く派なので、ポーチも大きめです。いまはSLYのものを使っています。

ポーチ右隣から時計回りに
・ペリペラ インク カラー カラ マスカラ7
・イプサ ザ・タイムR デイエッセンススティック
・YSL ラディアントタッチ 02
・クリニーク チャビー スティック モイスチャライジング リップ カラー バーム 06
・ルナソル フルグラマーリップス 24
・クリニーク ポップ シアー 09
・チャスティ シャイニースライドブラシ(チーク用)
・NARS ブラッシュ 4041(限定)
・ルナソル サンドナチュラルアイズ 01
・Dior カプチュール ドリームスキン モイスト クッション 000

——上品な色味のアイテムがたくさん入っている! Diorとルナソルもありますね。

最近のヒットは、ルナソルの「サンドナチュラルアイズ」です。光やツヤの感じがすごく美しく出て、本当に綺麗な目にしてくれます。イヴ・サンローラン「ラディアント タッチ」は長く使っています。これさえあれば、ファンデのお直しは大丈夫。

ルナソル サンドナチュラルアイズ

——チークがすごくかわいい色!

これはNARSの「ブラッシュ #4041 Love」です。2014年に限定発売されたものだったのですが、2018年にやっと再販されて! 通算5〜6個は使っているかな。

NARS ブラッシュ #4041 Love

——ぱぴこさんって、「廃盤コスメ」を愛しているイメージもあります。

そう、愛用してた廃盤コスメ、すっごいいっぱいある(笑)。肌の色に合うアイテムに限ってどんどん廃盤になるんですよね。昔、カバーマークはブレストパウダーもスキントーン別に出してくれていたのに、統一カラーになってしまったし……。「そういうひどいことする!?」と叫びたくなることもあります(笑)。なので、気に入った色は複数買いしがちですね。

ぱぴこさんが所持している廃盤コスメたち。左から、
・シャネル レ キャトル オンブル 31
・YSL ブラッシュ ヴォリュプテ 05
・シャネル オンブル エサンシエル 99
・シャネル オンブル エサンシエル 95

——時短や落とさなくていい系のコスメで、最近のおすすめはありますか?

アルビオン「スマートスキン ホワイトレア」は本当に優秀。下地を塗らなくていいって偉大ですよね。アルビオンは寝化粧用の「エクサージュホワイト ホワイトニング パウダー」もよくて。寝る前につけると肌をととのえてくれるんですよ。

アルビオン スマートスキン ホワイトレア

——そんなものが!

肌の調子が悪いときは、これと、Diorの乳液「カプチュール トータル ドリームスキン アドバンスト」をしっかり使うようにしています。

婚活で「男ウケメイク」をしないほうがいい理由

——30歳を過ぎてから、化粧に対しての認識が変わったところはありますか?

美容液の威力にひれ伏すようになりましたね。そして、メイクのなかでも、リップって超大事……と実感している。20代前半までは、目元やチークに気合いを入れていたんですけど、ある日突然、顔の「しまってる」感じがなくなるんですよ。なんか、リップをちゃんと塗っていなかったりリップが落ちていたりすると、顔全体がぼけちゃう。「唇塗らないとやばくない?」と思ったのも27〜28歳でした。きっと30代半ばから後半になるにつれてまた変わるんだろうなと思いますが。

——ぱぴこさんより少し下の世代の、20代後半のマイナビウーマン読者に、アドバイスしておきたいことはありますか?

20代半ばくらいまでは、学生時代の服とかメイクでなんとかいけちゃう人もいるんですけど、そのままにしちゃうと年齢と顔がどんどんずれていくので、気をつけたほうがいいと思います。あと、保湿は本当に大事……。何百回も言ってるけど、30歳を過ぎると、保湿するのとしないので本当にちがってきます。

でも、忙しいときは、なんでも無理しなくていい。お化粧って自分のテンションを上げるためのものなので、誰かのためや、自分が興味ないのに無理してやる必要はないです。

——とはいえ、年齢を重ねていくと、婚活の場などで「人に気に入られるメイク」を気にせざるをえない人も多いんじゃないでしょうか。

私も婚活はしていて、きつく見られすぎないように抑えめの色にする……くらいはしてましたよ。でも、自分が全然好きじゃないのに「男ウケメイク」をやるなんていうのは、あんまりおすすめしないです。それでアプローチできる幅が広がっても、素の自分を出せる相手じゃないと、あとあとつらくなると思うんですよね。アプリなどの写真で盛るのはアリだと思うんですが、対面で会うときには無理しないほうがいい。

——ぱぴこさんは、本当に物事を客観視できていてすごいなあと思います。

私、すごく負けず嫌いなんですよね。勝つためにどうすればいいかを常に考えている。ゲーム脳なんです。ターゲットにリーチしてゴールに到達するのが楽しい。だから、状況を冷静に見る目が育ったのかもしれません。

いまはSNSに情報があふれていて、どうしても人と比べちゃう世の中なので、若い人たちは大変ですよね。でも、SNSでは華やかに見えても現実では借金しながらコスメを買っているかもしれないし、本当のところはわからない。周囲と比べて焦ってる人には、「そんなにがんばらなくていいんじゃない?」と言ってあげたくなります。

——それでは最後に、コスメにハマってよかったですか?

いろいろな可能性がひらけたのは、コスメのおかげだと思っています。単純に持っていると楽しいだけじゃなくて、自分の雰囲気を変えることもできる。それって人生にすごくプラスになるんですよ。これからも自分の好きなように、コスメの情報を発信していきたいです。

コスメ垢「ぱぴこ」さんの履歴書

(取材・文:ひらりさ、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部)

※コスメの写真はすべて本人私物です

『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』劇団雌猫

劇団雌猫の大人気同人誌『悪友DX 美意識』のグレードアップバージョン。化粧、ダイエット、エステ、整形、ロリータ、パーソナルカラー診断、育乳……。さまざまなジャンルのおしゃれに心を奪われた女性たちが、ファッション・コスメへの思い入れや、自身の美意識をつまびらかに綴り、それぞれが「おしゃれする理由」を解き明かす匿名エッセイ集。

※この記事は2019年03月17日に公開されたものです

ひらりさ

1989年生まれ、東京都出身。ライター・編集者。女性・お金・BLなどに関わるインタビュー記事やコラムを手掛けるほか、オタク女性4人によるサークル「劇団雌猫」のメンバーとしても活動。主な編著書に『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。

ブログ:It all depends on the liver.
Twitter:@sarirahira

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