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「モテメイク」はもうやめた。白井瑶さんの場合 #コスメ垢の履歴書

ひらりさ

同人サークル「劇団雌猫」所属の美容オタクライターひらりささんが、いま気になるTwitterコスメ垢の実態を探る連載【コスメ垢の履歴書】。

今回は、実感のこもったコスメ情報から、多くの女性が共感できる恋愛・美醜にまつわるエッセイまで、インターネット上でさまざまなコンテンツを発信している白井瑶さん(@shiraiyo_)にインタビュー。見た目からやさしく穏やかな雰囲気を纏う彼女に、美醜に興味を持ったきっかけやコスメへの愛を聞きました。

はじまりは「いじめを防御するため」のモテメイク

——白井さんがTwitterをはじめたのは、いつごろなんでしょうか。

「白井瑶」としてのアカウントは、2016年ごろに作りました。プライベート用アカウントは持っていたのですが、もっと好きにつぶやけるアカウントがほしいなと思ったんです。2016年にブログで書いた「ブスは呪い ? 男が言うブスとは何か?」という記事が多くの方にシェアされまして。そこで、一気にフォロワーが増え、ウェブ媒体でエッセイのお仕事などもいただくようになった流れです。

——「小綺麗にしたいゆとりのアラサー」というTwitterプロフィールが本当にキャッチーで、白井さんのアカウントの性格をよく表しているなと思います。おしゃれや美容への関心は、いつごろからあったんでしょうか。

子どものころは、あんまり女の子らしい格好ができなかったんです。「スカートはかわいい子が穿くものだ」と思っていたし、髪の毛も短くしていた。でも、中学生のときにちがう学校に転校したら、そこが“男子の天下”のようなところだったんですね。気に入らない女子を、男子たちがローテーションでいじめていたんです。

——それは過酷な……。

目をつけられる要素をできるだけ減らそうとして、女の子らしくいようと外見に気をつけるようになったのがはじまりです。ある意味では「女の子らしくしていればいじめられない」という大義名分があったからこそ、おしゃれに踏み出せたんだなと思います。「ギャル」というよりは、「モテる女の子」のテイストを目指していました。

——当時使っていたコスメなど、覚えてますか?

dejavu(デジャヴュ)のウォータープルーフマスカラですね。当時は発売されたばかりで、にじまないのにお湯で落とせるのがとても画期的でした。高校に入っていじめの心配がなくなってからは、校則がゆるかったのもあり、さらに積極的にメイクができるようになりました。そこで買いに行ったのがJILL STUARTだったのも覚えてます。ジェルのアイシャドウとか、コンパクトミラーとか、すごくかわいかった。AKB48が流行りはじめたころだったのもあって、涙袋メイクが盛んな時期だったので、みんなで『Seventeen』を回し読んでメイクの研究をしていました。

「小綺麗なアラサー」を目指す白井瑶さんの愛用コスメ

——いまの白井さんが、コスメやファッションのテイストとして参考にしているものや人はいますか?

美容雑誌は、とにかく舐めるように読んでます!(笑) 人だと、モデルの泉里香さんが好きですね。大人っぽすぎないけれど、若作りもしていないというのでしょうか。

——まさに「小綺麗なアラサー」ですね! 現在コスメにどれくらいお金を使っていますか?

12月は結構買ってましたね。仕事のプレッシャーが大きい時期だったのもあり、その反動で、たぶん5万円以上は使ったと思います。平均しても、月2万円は使っている気がします。よくコスメを買いに行くのは、渋谷ヒカリエ、新宿伊勢丹、コスメキッチン。ヒカリエは人が多くなくて、落ち着いて買い物ができるのでおすすめです。

——いつもどのような基準で、購入するコスメを決めることが多いですか?

SNSでコスメ好きな人をフォローしていて、そうした人たちが「いい」と言っているものを買いに行くイメージですね。先日も、heroinさん(@_h_e_r_o_i_n_)がおすすめされていたので、アンプリチュードのトランスルーセント エマルジョンファンデーションを買いに行きました。

——白井さんの、最近のおすすめブランドはなんですか?

2018年によく買ったのは、ルナソルですね。派手すぎず地味すぎず、いまの自分の気分にとても合っているんです。

——先日も、Twitterでスキンモデリングアイズについて熱く語っていましたね!

左:ルナソル スキンモデリングアイズ01、右:ルナソル マカロングロウアイズ01

ルナソルは、BA(ビューティーアドバイザー)さんの対応も好きです。BAさんって、私個人の体感として、8割の人はよくって、神対応の人が1.5割なんですが、残りの0.5割で「え……」と思わせられることもあって。でもルナソルはどのBAさんに接客してもらっても安心できるので、いつも癒やされています。

あと、コスメキッチンで販売されているto/one(トーン)もお気に入りです。ペタルエッセンスグロス07が本当によくって、2018年一番のヒットと言っていいかも。これを塗るだけで、ぷりぷりの唇になれます!

——このあたりで、白井さんのメイクポーチも見せていただいていいでしょうか?

はい。小さいカバンが好きなので、ポーチの中身もそんなにいろいろなものを持ち歩いていないですが。

左上から、
・キャンメイク シークレットカラーアイズ02
・ルナソル スキンモデリングアイズ01
・メディア リップライナーAA PK-4
・to/one ペタルエッセンス グロス07
・ローラ メルシエ フローレス フュージョン ロングウェア コンシーラー
・資生堂 ミニアイラッシュカーラー215

——少数精鋭なんですね。ご自宅にはどれくらいのコスメがありますか?

トランクケースのような大きいボックスにギリギリ入る程度です。そこに入りきらなくなったら、いらないものを捨てるルールにしています。アイシャドウ、リップは本当にいくつも買ってしまいますね……。

——コスメ選びで重視していることを教えてください。

仕事が忙しいと肌に直接出るので、やはりファンデーションにはお金をかけるようにしていますね。ちょっと年上に見られがちなので、ツヤ感を出すことにもこだわっています。ファンデやスキンケアに関してもルナソルのものを買うことが多いですが、コスメキッチンで売っているm.m.mのスキンスムーザー、カネボウのフレッシュ デイ クリームは、2018年のヒットアイテムでした。

——メイクの工程でこだわっているのはどこでしょうか。

アイメイクが一番楽しいんですが、目を「下」と「横」に大きくしたいという願望があって。「あれ、今日いい感じにできたかな」というときに、テンションが上がります。

30歳になったら人生終わり? 「年齢の呪い」からの解放

——白井さんがTwitterでの発信で気をつけていることがあったら、教えてください。

悪口を言いすぎないように心がけています。逆に、いいと思ったものを大げさに褒めないようにもしていて。自分がいいなと思っても、人によっては肌質にあわなくて、荒れてしまう場合もある。フォロワーが多くなったぶん、自分の感想だけでツイートしないように、いろいろと調べています。

——白井さんはコスメ情報だけでなく、女性の生き方や自意識についてもよく発信されています。そのときに気をつけていることはありますか?

私自身が、美醜を人より気にして生きてきたからこそ「かわいくなくちゃ意味がない」「◯◯しなくちゃダメ」といったことはあまり言わないようにしています。綺麗になると楽しいけれど、それだけが人生ではない。いま29歳なんですけど、年齢を重ねて、昔より容姿へのこだわりが薄れてきたんです。美人だけがモテるわけじゃないし。

——美醜について考え方が変わったのはいつなんでしょう?

それこそ、ブログ記事「ブスは呪い」に書いたような出来事が起きたときなんです。社会人になったばかりの私は、セクハラにもあいやすいし、それを流せちゃうタイプだったんですよね。モテメイクを施して、ヘラヘラしながら「何言ってるんですか〜」とか返して、ちょっとだけ優遇されていた。そうしたら、同期のすごく美人な子にガチギレされて。彼女はメイクもしないし、セクハラにも怒れちゃう人で。その子に影響を受けていろいろ考えはじめました。

——美意識の変化によって、メイクの方向性も変わってきましたか?

その後、結婚したいと思っていた彼氏の二股が発覚して「男はクソだ!」という気持ちに支配されたころは、男ウケをしないがための強いメイクをしていました(笑)。いまはそれも超えて、「自分はやっぱり女子っぽい見た目が好きだ」という気持ちに正直に、メイクを楽しめています。やっと帰ってこられた感じ。

——いまが一番自由なんですね。

いろいろなコスメや美容医療の選択肢が増えて、シミやそばかすも隠せるということがわかったからこそ、ラクになったところもあると思います。もっと若いころは「30歳になったら人生終わり」くらいの気持ちでいたけれど、人生まだまだ続くし、SNSなどで見る私より年上の女性たちも楽しく生きていらっしゃるんですよね。インターネットを通じてそういう人たちに出会えたのは、よかったことのひとつです。私も、女性を年齢や美醜の呪縛から解放するためのお手伝いができたらいいなと思っています。

——インタビューを通しても、たくさんエールをもらえました。ありがとうございました!

コスメ垢「白井瑶」さんの履歴書

(取材・文:ひらりさ、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部)

※この記事は2019年01月26日に公開されたものです

ひらりさ

1989年生まれ、東京都出身。ライター・編集者。女性・お金・BLなどに関わるインタビュー記事やコラムを手掛けるほか、オタク女性4人によるサークル「劇団雌猫」のメンバーとしても活動。主な編著書に『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。

ブログ:It all depends on the liver.
Twitter:@sarirahira

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