【No.4】幸せの引き出しを増やしたい。ビームス・クリエイティブ職のバッグ
凛とした佇まいながら、物腰は柔らか。私たちが欲しいと思う“大人の余裕”をまとい、自分なりのおしゃれを楽しんでいるのが、ビームスの吉井裕子さん。彼女は、数あるセレクトショップの中でも第一線にいるビームスで、オフィシャルサイトの企画・制作を担っている。
おしゃれを楽しむクリエイター集団の一員である彼女は、どんなバッグを持っているのだろう。身につけるだけで気分が上がるような、自分にとってのいいモノを見極める審美眼が気になった。
吉井裕子さん(35歳)
(株)ビームスクリエイティブのデジタルPR。店舗での販売とVMDを経て、女性向けブランドである「デミルクス ビームス」「エッフェ ビームス」「インターナショナルギャラリー ビームス」のオフィシャルサイトの企画・制作を担当。週半ばのアフター6は、ヨガでリフレッシュ。好きな食べ物は蕎麦。新年度、自身で蕎麦ブログの立ち上げを計画中。
東京・原宿の明治通りと竹下通りの交差点に位置する一等地。ひときわ目立つ新築の高層ビルへ、去年の秋、ビームスは本社を移転した。晴れた日には富士山も見えるという、絶好のロケーションのプレスルームに現れた彼女のお仕事バッグは、くたっとした質感がおしゃれなブルーのバッグ。
「このバッグ、こっくりしたブルーの色や素材が好み。ぱっと見はスウェードだけど、反対側はつるっとした革が使われているんです。そちらを体側にして持てば、服とバッグがすれることもなくていい。持ち手の結び目を変えられたり、見た目以上に収納力が抜群なところも気に入ってます」
シンプルなだけじゃつまらない。上質なだけでもない、愛嬌のあるデザインのバッグを選ぶところはさすがだ。
●バッグの中身
1 ペンケース
2 Pilgrim Surf+Supply(ピルグリム サーフ+サプライ)のクリップボード
3 LIFE(ライフ)のフリーダイアリーノート
4 SENSE OF HUMOUR(センス・オブ・ヒューモア)のデューイエリクシアオイル(ヘア&ボディオイル)
5 MARROW(マロウ)のショルダーバッグ。巾着タイプのレザーのバッグで、ちょっとした外出時に便利
6、9 携帯電話。仕事用とプライベート用の2台持ち
7 B:MING by BEAMS(ビーミング by ビームス)のアクセサリーケース&アクセサリー
8 L’arcobaleno(ラルコバレーノ)のロングウォレット
10 MOSCOT(モスコット)のサングラス。出勤時に使用
11 HENRY BEGUELIN(ヘンリー・ベグリン)のカードケース
バッグの中身は厳選されたものばかり。「まず、色が好き」というお気に入りの長財布は、今年から使いはじめたもの。
「お財布は壊れるまでずっと使い続けるタイプだったけど、自分の中での贅沢だったり、女性らしさをふと考えるタイミングがあって。この色って女性っぽいし、今の自分の気分に合うものだった」
流行や人の目に左右されるのではなく、大切なのは“今の自分の気分”と言い切るところが潔い。
「このお財布、仕切りがすごく多くて。仕分けポケットの狭さもちょうどいいから、領収書を入れたときにスマートに収納できる。お財布の中が整理されている感が出るんです」
お財布の中がすっきりきれいに整っていると、取り出しやすい上、気持ちもすっとする。
続いて、オレンジの表紙が目を惹くフリーダイアリーノートを愛用する理由を聞いてみた。
「新しい職種についたり、何か新たなきっかけがあったとき、新しいノートを買いがち。使いやすいと思って吟味して買うんですけど、意外と最後まで使わないノートが多い中、これは本当に自分に合う。1ページが大きく2分割されていたり、線の薄さもちょうどよくて。ラフに書き込むけど、まるって囲っていたら重要な部分だろうとか、視覚的に見返しやすい。手書きのよさですね」
パソコンで文字を打ったほうが早いのに、効率だけで判断しない。手書きによる、自分の仕事のしやすさをわかっている。
お気に入りがいっぱい詰まっていそうな、黒のポーチの中身はどんなだろう。
「そのときどきの気分で、お気に入りのアクセサリーを入れて持ち歩いています。仕事中やアフター6で、TPOに合わせて付け替えていて。ここ最近ショートカットだから、特にイヤリングで印象や気分を変えることが多い」
今日のゴールドのイヤリングも、シンプルだけど存在感があって似合っている。
「女性って足元にその人らしさが出る、と言われるけど、足元見て仕事するわけじゃなく、顔見て仕事するもの。だから、できるだけ顔まわりは華やかなほうがコミュニケーションもとりやすいと思う。私も相手のつけてるアクセサリーが気になるので、会話のひとつにもなります」
確かにそうだ。耳元にアクセサリーがあると、顔まわりが華やぐ。アクセサリーの選び方には、その人らしさが色濃く出るのかもしれない。
顔まわりといえば、ショートカットを素敵に維持するのにもこだわりがあった。
「髪型がマッシュっぽいので、広がると少年っぽくなっちゃう。そうならないように、これでしっとりさせてます。ホールド力が抜群なので、どんなに仕事で乱れても(笑)、ヘアをリセットしてくれるのがいい。香りがよく癒し効果も絶大なので、仕事で疲れた自分を取り戻してくれるスイッチになる」
自分を取り戻す方法をわかっているって大事だ。それは気持ちの余裕があるからにちがいない。
「基本ストレスがすぐ体に出てくるタイプなので、なかば強引にヨガに行ってリフレッシュしたり、ファッションを楽しんだり、プライベートの時間で自分の中で幸せだなと思えることを増やそうとしているのかも。ゆとりを持とうと意識しています。例えば、ごはんを食べに行って、料理が出てくるのを遅いって思うより、じゃあもう一杯(お酒を)追加するかぐらいの余裕を持つようにすると、仕事でもそう思えるようになった」
気持ちの持ちよう次第で変わる、とはよく言うけれど、まさにそう。待ち時間を、逆に楽しむ時間に変えることはできるんだ。でも、それがなかなかできないから苦労するものだけど……。
「最初からそんな余裕を持てたわけじゃないんです。がむしゃらな20代後半から30歳のころを過ぎての今だから。店舗スタッフを経て、ウェブの企画・制作職についたころは、気づいたら終電という日もありました。でも、遅くまで残ったからといって仕事が終わるわけじゃない。『疲れるほど仕事してます』といっても、それは憧れもカッコよさもないし、30代に入って余裕がほしいと強く思うようになった。だから、仕事をどうしたら効率よく楽しくできるかっていうのを考えるようにしています」
仕事は効率よく楽しく……見習いたい。だらだらやっていてもはかどらないし、どうせなら効率よく仕事して、プライベートで自分の引き出しを増やしたほうが、人生はより豊かになるだろう。
「ファッションだけではなく、本を読んだり、映画を見たり、そういう引き出しを複数持っていると、仕事にも役立つんです。あと、ごはん屋さんの雰囲気とか、料理の彩りとか。『あ、幸せ』って思える瞬間を自分の中でためている」
自分が心から「幸せ」って思えること、日々味わえているだろうか。仕事は効率的に、そしてオフは、自分の幸せの引き出しを充実させることに時間を使う。それが大人の余裕を身につける秘訣なのだろう。柔らかい質感のおしゃれなブルーのバッグには、しなやかに毎日を楽しむ彼女の余裕が詰まっていた。
(取材・文:橋元理恵/マイナビウーマン編集部、写真:masaco)
※この記事は2018年03月31日に公開されたものです