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Women Willが見せた、女性の未来の働き方の「可能性」と「壁」

Women Willは、「女性のテクノロジー活用を促進することで、各国の女性が直面する問題の解決を目指す」という目的で、Googleが進めるアジア太平洋地域全体の取り組みです。日本での活動として、昨年から「#HappyBackToWork」プロジェクトが立ち上がり、出産を機にさまざまな理由で女性が仕事をやめてしまう状況を改善するよう、各企業と「働き方改革」を取り込んでいます。

その1年間の活動の集大成として、先日開催の「Atmosphere Tokyo 2015」にてセッションが行われました。Googleのサーチ&ブランド・マーケティング統括部長、Women Will プロジェクトリードの平山景子さんが、パートナー企業と行った「未来への働き方コンソーシアム」による働き方改革のヒントを発表しました。それは、女性の未来の働き方に新しい「可能性」を提示してくれる内容でした。

■広島県庁は、「見える化」で業務効率向上を実現

広島県庁は、これまでも働き方の見直しに積極的に取り込んできました。今回は、定期的な異動などにより長時間労働が恒常化していたことや、誰が何で忙しいのかがわからないといった課題を抱えていたため、全員のスケジュールやプライベートの予定をスケジューラーを通して「見える化」してみました。そうすると業務効率向上を実現しただけでなく、個人のライフスタイルを尊重する意識も芽生えたといいます。

■KDDIは、「コスト意識」で会議の効率化を実現

KDDIは、女性管理職の比率を上げるためにできることを模索しました。問題意識として挙げられたのは、慣習化した長時間会議によって社員の労働時間が大幅に伸びることです。そのため、1人あたりの10分単価を計算して、時間に対するコスト意識を持ってもらうようにしてみました。さらに、会議の運用ルールの設定や社内会議システムを活用することで、会議の効率化と社員の仕事に対する満足度をともに向上させたといいます。

■日産自動車は、「全員トライ」で在宅勤務への意識が変化

「ダイバーシティ経営企業100選」や「なでしこ銘柄」にも選ばれた日産自動車が抱えている課題は、男女問わず社員の在宅勤務制度の利用低迷だそうです。中間管理層が生産性の低下などを懸念していたため、制度を利用するのに消極的だといいます。そのためまずは全員に一度、在宅勤務をトライしてもらいました。チャットツールを活用し、家にいてもチームで働くことを可能にしたことによって、66.2%の社員は在宅勤務に対する意識が変化したといいます。

3社の事例を踏まえて結論として発表されたのは、以下の女性の働き方改革を構成する「3つの柱」です。

1. 柔軟な働き方を可能にする「制度」
2. 多様な働き方を受け入れる「文化」
3. 時間と場所にとらわれない働き方を実現する「テクノロジー」

さらに、社会や企業、働く女性自身が実践できる「#HappyBackToWark 明日からできる10のアイデア」が提案されました。

1. 18時以降の会議は原則禁止
2. 会社の歓送迎会は夜でなくランチ会に
3. ちょっと早く帰る時の「すいません」禁止
4. 残業を勤務が始まる前にできる「前業制度」
5. 子どもや家族が職場を訪れ、仕事について知る機会をつくる
6. 時間ではなく成果で正当な評価を
7. ママに限らず全社員が時間有休取得可能に
8. 子どもの行事にはイベント休暇を
9. 週一回は定時退社で家族ごはんを推奨
10. 在宅勤務でもテレビ会議を使ってチームで働けるように

一方、女性の働き方改革には、依然としてさまざまな問題が残っているそうです。プロジェクト関係者の話では、各企業はテクノロジーを導入する以前に、文化的な「壁」を感じているところも多いといいます。さらに、その文化の中にいる女性社員の考え方にも影響を及ぼしてしまっていると考えられます。

例えば、イベント当日は小さな子ども連れの女性来場者もいました。セッションの時間が少し経つと、その子どもが母親に話しかけるかのように「やーやー」と小さい声を出しはじめました。まわりの人がこの場にふさわしい風景として微笑みながら見守っていましたが、他人に迷惑をかけたくないでしょうか、母親は子どもを連れて会場から出ていき、セッションが終わるまで戻ってきませんでした。

この女性はマナーに則った行動を取りましたが、イベントの進行を妨げない限り、その場に堂々といてほしいという気持ちも正直、筆者は持っています。働く女性が自分のプライベートのことで抱いている「申し訳ない気持ち」をどう払拭するかは、今後の大きな課題になりそうです。

(Keiyuu/マイナビウーマン編集部)

※この記事は2015年06月25日に公開されたものです

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