DNA鑑定っていくらでできますか?―「親子鑑定」が3万6,000円
最近、DNA鑑定を依頼する人が増えているそうです。というのは、ひと昔前と比べて、DNA鑑定を行いますという会社が増え、鑑定にかかる費用も安価になったためです。今回は、より身近になってきたDNA鑑定について取材しました。
DNA鑑定を行う会社の多くが、海外の検査ラボに「検体(DNAサンプル)」を送って検査し、その結果を日本に送り返すというシステムをとっています。しかし、今回取材した「DNA JAPAN株式会社」は実際に日本で鑑定を行っています。
DNA JAPAN株式会社 上席DNA解析研究員 富田光貴さんにお話を伺いました。
DNA鑑定は「親子鑑定」が多い
――DNA鑑定ですが、どのような依頼が多いのでしょうか。
富田さん 鑑定依頼全体の7割ほどが「親子鑑定」です。「父 - 子」「母 - 子」に親子関係があるのかを、DNAを調べて明らかにすることです。子供を出産した女性は確かに自分が母親だと分かりますが、男性は自分が父親であるのかどうかを知る方法がありませんからね。
「母 - 子」の親子鑑定が求められるケースは、体外受精で出産した場合などです。万が一にも受精卵が自分のものでなければ他人の子供を出産したことになってしまうので、確認の意味で親子鑑定を希望されます。また、産院で子供の取り違えが疑われる場合も同様です。
全体としては「父 - 子」の親子鑑定の方が多いですね。
――依頼者はどのような人が多いですか?
富田さん そうですね、依頼者は20代から50代まで幅広い年齢層ですが、男性の依頼者の方が若干多いです。
綿棒を使用してDNAを採取する
――DNA鑑定はどのように行うのでしょうか?
富田さん 依頼者にDNAを採取するキットをお渡しします。キットにはDNA採取用の専用の「綿棒」が入っています。綿棒で口の中を軽く数回こすり、その綿棒を提出していただくだけです。綿棒には口の中の粘膜細胞が付きますので、そこからDNAを検査します。
――なるほど。海外ドラマの『CSI』などでよく見るやつですね。
富田さん そのとおりです(笑)。もし「父 - 子」の親子鑑定であれば、「父」「子」両方の綿棒を提出していただき、そのDNAを比較して親子関係の有無を検査します。
綿棒以外の「物品」でも検査は可能!
――例えば、綿棒で提出できない場合なども対応可能なのでしょうか?
富田さん いろいろな理由で、お渡ししたキットの綿棒でDNA採取ができない方もいらっしゃいます。その場合は、DNAが付いている可能性の高い「物品」でも検査を行うことが可能です。
――例えば、どのようなものでしょうか。
富田さん 「髪の毛」「歯ブラシ」「たばこ」「ガム」「ひげそり道具」「こどものおしゃぶり」「哺乳瓶の飲み口」「ストロー」「ペットボトルの飲み口」などでも検査ができます。
――そんな物からもDNAが採取できるのですか!
富田さん ただ、これらの物品の場合は、保存状態や使用状況が影響することもあるため、確実にDNAが検出できるということではありません。例えば「歯ブラシ」であれば1-2回使用しただけのものより毛先が少し広がる程度まで使用したもの、「たばこ」であれば1本よりも複数本あった方が望ましいですね。
「髪の毛」の場合は毛根が付いているものについては1-2本で大丈夫ですが、そうでない場合は複数本の髪の毛を用意していただくのが望ましいです。
――ドラマなどで、髪の毛1本から「あいつだ!」みたいなことをやっていますが。
富田さん うそではありませんが、状態が良く、毛根が付いている髪の毛だったということなんでしょうね(笑)。
下着を持ってくる依頼者も!
――いろいろな「物品」が持ち込まれるようですね。
富田さん そうですね。もうありとあらゆる物が持ち込まれます。意外と多いのが下着ですね。
――えっ、そこからもDNAが採取できるのですか。
富田さん 下着には直接性器が触れますので、下着に付着した体液からDNAの検査が可能です。例えば、性交渉の後に着用した下着には、男性と女性の体液が混在して付着している可能性があります。DNAは男女の識別が可能であるだけではなく、そこに1人分のDNAしかないのか、複数人のDNAが混在しているのかを調べることができるのです。
――それは浮気調査にもなるということですか?
富田さん そうですね。男性であれば奥さんや彼女の下着、女性であればご主人や彼氏の下着を持ち込まれます。少なくとも週に5、6件はありますね。
DNA鑑定の費用は意外と安価
――DNA鑑定を依頼するといくらくらい掛かるのでしょうか。
富田さん 弊社のお送りするキットを使って検査できる場合の「親子鑑定」が3万6,000円です。
――思ったより高額ではないのですね。
富田さん はい。使用する機器の精度が向上したり、検体を大量に同時に扱うことができるようになったりなどの理由で、ひと昔前と比べて安価にご提供できるようになりました。
――先ほどの、「物品」による検査ではどうでしょうか?
富田さん 物品からのDNA鑑定は、物品1点につき4万5,000円です。ただ先ほど申し上げたとおり、物品の状態によってはDNAが採取できない場合もありますので、事前にご相談いただくのがよろしいと思います。
――鑑定にかかる時間はどのくらいでしょうか。
富田さん 通常のキットを使った鑑定ですと、最短で5営業日です。物品からの鑑定ですと、2-3週間ぐらいを考えていただければと思います。
DNA鑑定を考えている人に!
――これからDNA鑑定を受けてみたいと思う人に、何かアドバイスがあれば。
富田さん DNA鑑定は、皆さんが思っているほどハードルの高いものではありません。ですから、DNA鑑定をやってみたいとか、こんなDNA鑑定はできるのかなと思われたら、まずは相談をしてみてください。疑問には何でもお答えいたしますので、気軽にご相談いただければと思います。
――ありがとうございました。
⇒『DNA JAPAN株式会社』のサイト
http://dna.jpn.com/
(取材協力:富田光貴、文:高橋モータース@dcp)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.17)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※この記事は2014年10月16日に公開されたものです