中堅不動産ディベロッパーが明かす―物件の「壁が薄い」の裏事情

アパートやマンションなどには、「隣の音がとてもよく聞こえる物件」があったりします。こうした音がよく聞こえることを「壁が薄い」といいますが、壁が薄いとは具体的にどういった状況なのでしょうか? そのまま純粋に壁が薄っぺらいのか、それとも壁自体は厚いけど、工法の問題で音がよく聞こえてしまうのか……。
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「壁が薄い」とはどういうことなのか、中堅不動産ディベロッパーの営業マンに聞いてみました。
中が空洞、壁が1枚……薄い壁のアレコレ
――物件の「壁が薄い」というのは具体的にどういった状態なのでしょうか?
営業マン 物件の壁は、基本的に柱の両サイドにボードを貼り付けたものです。その中に断熱材などを入れるのですが、断熱材がない、壁と壁の隙間が空洞、といった物件もあります。こうした物件は隣に音がよく聞こえてしまったり、逆に隣の音がものすごく響いたりします。
――そうした壁の中が空洞だったりする物件は多いのでしょうか?
営業マン 実はけっこうあったりします。他にも、壁が「単なる板が1枚だけ」という物件もあったりしますよ。
――それはひどいですね。逆に、「壁が厚い」というのはどういうことでしょうか?
営業マン 板1枚というのは問題外ですが、2枚の壁で覆ってあり、断熱材がしっかり入っているのが普通です。そこから防音性を高めるために、壁を二重張りにしたり、遮音性の高い素材が使ってある壁は「壁が厚い」といえますね。
――ではそうではない壁は「手抜き」であるのでしょうか?
営業マン 手抜きであるといえば手抜きですね。ただ、木造物件の場合は構造上の問題で防音などの限界があるので、そこまで防音性が高くなくても仕方ないのではと思います。
――木造物件に住みたいという人は、そのあたりは多少ガマンしないといけませんね。それ以外の、鉄筋コンクリート造の物件などで、壁の薄い厚いをチェックするにはどうすればいいでしょうか?
営業マン 実際にたたいてみるのが一番だと思います。中が空洞だったり、ボードが1枚だけの場合は、たたくと一瞬で分かります。壁がしっかり埋まっていても、実際住んでみると「音が筒抜け」ということもまれにあります。
左右の部屋が空いているなどしていれば、どれだけ隣の音が聞こえるか、どれだけ音が隣に筒抜けになるのか調べてみるのも有効です。
――事前にしっかりと調べてみることは大事ですよね。
営業マン 左右の壁だけでなく、天井や床の防音も大事です。壁よりも音に関してはシビアなポイントなのですが、意外と音が筒抜けになる物件もあるので、物件探しの際はしっかりと調べないといけません。
――壁だけに注意しないようにしたいですね。
話を伺ったところ、「壁が薄い」とされる物件が意外と多いようです。物件探しの際は、こうした「ハズレ」の物件を引いてしまわないよう、遠慮なく壁をたたくなどして遮音性を確かめるといいですね。
(貫井康徳@dcp)
※この記事は2014年09月06日に公開されたものです