子育て支援制度ってなに?「認定こども園の普及」「待機児童を減らす」

来年2015年から「子ども・子育て支援新制度」がスタートする。10%にアップする消費税を財源に、7,000億円規模のプロジェクトというから期待がもてる。
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女性が働きにくい社会は、人口の減少に拍車をかけ、やがては市区町村の消滅をも招く。子供と保護者を支援するこの制度は、働くママの強力なパートナーになるだろう。
認定保育園は、保育所と幼稚園の良いとこどり
この制度の重点取り組み事項は、
1.「認定こども園」の普及
2.待機児童を減らす(=保育所を増やす)
3.教育/保育の充実
4.子どもが減っている地域のサポート
で、最初にあげられているように「認定こども園」が主眼といえよう。
既存の制度では、
・保育所 … (対象)0歳~就学前 / (目的)保護者の代わりに児童を預かる
・幼稚園 … (対象)3歳~就学前 / (目的)教育
に分かれ、保育所は仕事などの理由で家を空ける親に代わるベビーシッターのような役割、幼稚園はある意味で学校と同じ機能を果たしている。対して認定こども園は0~5歳を対象に、保育と教育の両方が受けられる。さらに「子育て支援」も目的とされ、児童だけでなく保護者のバックアップも含まれているので、子育てしながら働く保護者にとって力強い味方なのだ。
認定こども園は平成18年にスタートしたものの、平成19年は94件、20年でも229件と、十分と呼べるほど普及していない。理由はシンプルで、すでに認可された保育所か幼稚園が「こども園」に発展するのが基本パターンなのだが、要求基準も高くなるしノウハウも持ち合わせていないので、運営者にとってハードルが高いためだ。
そこで、2015年からは多くのこども園ができるように、認可手続きが簡略化されるのだ。
待機児童が激減する!
働くママの味方・保育所も、0~2歳を対象にした「地域型保育」の形で増える予定だ。
従来の保育所は、都道府県知事の認可が必要だったが、これを市町村にゆだねる形でハードルを引き下げ、自治体の判断で設置できるようになる。規模も4段階に細分化され、
1.家庭的保育 … 定員5人以下
2.小規模保育 … 定員6~19人
3.事業所内保育 … 会社や事業所の保育施設を利用
4.居宅訪問型保育 … 保護者の自宅に訪問する個別保育
3.は保育施設を持つ事業所の普及には時間がかかるだろうし、4.も保護者の病気などが理由となるレアケースだが、市町村の判断で保育施設が増やせる1.2.は、待機児童の減少に大きく貢献するだろう。
注意すべきは、児童の年齢、通わせたい理由によって3段階の基準があり、利用できる/できないが決まる点だ。
・1号認定 … (対象)満3歳以上 / (目的)教育 / (施設)幼稚園、認定こども園
・2号認定 … (対象)満3歳以上 / (目的)保育 / (施設)保育所、認定こども園
・3号認定 … (対象)満3歳未満 / (目的)保育 / (施設)保育所、地域型保育、認定こども園
仕事や妊娠/出産など、通わせたい理由を申請し、市町村の判断で可否が決められる。仕事の場合、
・フルタイム就労 … 保育標準時間として、最長11時間
・パートタイム就労 … 保育短時間利用として、最長8時間
の上限もある。8時間勤務+昼休み1時間+通勤片道1時間×2で11時間となるので、少々タイトとだが、会社の制度も利用すれば決して無理なプランではない。パートタイム就労は1日4~5時間程度の勤務が想定されているので、余裕でカバーできるだろう。
まとめ
・来年から「子ども・子育て支援新制度」が始まる予定
・保育+教育が受けられる「認定こども園」が普及する見込み
・市町村の判断でおこなえる「地域型保育」にも期待
・児童の年齢、理由によって1~3号認定に分かれ、通える施設が異なる
市町村が主体となる要素が多く、受けられるサービス/料金は全国統一ではない。
子供が生まれた/出産を控えているひとは、住む町の役所に確認しておこう。
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年06月21日に公開されたものです