梅干しがなくなるかも知れないって本当?「青梅市・梅の公園で、梅の大規模な伐採が開始」

幕の内弁当やおにぎりの具など、日本人の食には欠かせない「梅」。古くは平安時代に村上天皇が流行病をわずらった際に、梅干しが治療に一役買ったという話も残されているほど、日本人とは深いつながりがある。
【ウイルスの秘密「完治させないから強い菌が生まれる」「ビタミンCが結核を治す」】
しかし、2014年4月4日、梅の郷で知られる「青梅市・梅の公園」で、梅の大規模な伐採が開始された。実が育たなくなってしまうウィルスの感染拡大を防ぐためで、36本に感染が確認されたため、合計1,266本が伐採されてしまうのだ。
残念ながら治療方法は見つかっておらず、このまま拡大すれば、日本の味・梅干しがなくなってしまう可能性・大なのだ!
収穫できるのは10年後
農林水産省が開始した「ウメ輪ウィルス(プラムポックスウイルス)の緊急防除」によると、青梅市だけでなく、東京/大阪/兵庫にも防除区域が指定され、植物の移動制限がおこなわれているほどの警戒態勢がしかれている。
この防除区域に指定されると、木は伐採され、持ち出しはもちろん禁止。さらに伐採後の土も検査が続けられ、最低でも3年間は苗を植えることができないのだ。新しい苗を植えても、収穫できるようになるのは5~6年先であるため、結果8年~10年はウメの実を採れなくなってしまうのだ。
そもそもプラムポックスウイルスとは、ウメ以外にもモモ・スモモ・アンズなどに広く感染する植物ウィルスである。つぎ木や苗から広まることもあり、アブラムシによって媒介されるため、あっという間に拡散してしまう。
一度感染してしまうと治療方法はなく、また、感染しても発症まで3年程度の潜伏期間があるため、1本でも感染が確認されると周囲の樹木にその症状がなくとも、結局は伐採するほかないのである。
このウィルスにヒトが感染することはなく、実を食べても無害だが、問題なのは、未成熟のまま実を落としてしまったり、傷がついてしまったりするなど、商品価値がなくなってしまうことだ。生産農家は産業が途絶えてしまうことへの危機感を持ち、梅の名所では観光への打撃を懸念しているのだ。
梅干しは高級食材!?
紀州南高梅で有名な和歌山県は、国産ウメの70%にも及ぶ大量生産地であり、国内でも文句なしの第1位に君臨している。そのほかにも、モモ4位、スモモ2位と、果物天国なのだ。(すべて平成25年)。
そのため、県が自主的に移動制限や検査をおこなっているほど、プラムポックスウイルスによる被害の事態は深刻である。じつは最近の梅干しに使われているウメは、海外からの輸入量(加工済のウメ)が多く、数字にしてみると国産の半分もある。
もし和歌山県でウメが摂れなくなると、国産の梅干はほとんどなくなってしまう。さまざまな日本食に使われている代表食材「梅干し」が、国産ものは超・高額商品になる可能性大なのだ。
まとめ
・プラムポックスウイルスに感染すると、実が育たなくなる
・治療方法がなく、伐採以外に対処方法がない
・伐採しても、3年間はあらたな苗を植えてはいけない
・和歌山県で拡散すると、国産梅干しが入手困難になる可能性・大
いまだワクチンがないということがさらに危機感をあおる。日本三大庭園のひとつ、水戸の偕楽園でも隣接する梅林に感染が発見され、1,000本近くが伐採されている。
サクラ属の植物に感染するため、サクランボ(セイヨウミザクラ)やアーモンドにも伝染してしまう。世界規模の食料危機が起きる前に、ワクチンが誕生することを祈ろう!
(沼田 有希/ガリレオワークス)
※この記事は2014年04月26日に公開されたものです