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雑学 働き方

弁護士に聞いた!5分で分かる著作権―「Twitter」「鼻歌」の著作権は?ゴーストライターの著作権はどうなるの?

アディーレ法律事務所 岩沙好幸弁護士

某音楽家の件の影響でしょう、「ゴーストライター」に世間の注目が集まっています。楽曲だけでなく、小説など文筆業の世界でもゴーストライターは存在します。さて、このゴーストライターの著作権はどのように考えればいいのでしょうか。アディーレ法律事務所 岩沙好幸弁護士にお話を伺いました。

■名乗り出なければ「依頼者が著作者」ということに!

――そもそもゴーストライターは、著作権法上からはどういう存在になるのでしょうか?

岩沙弁護士 あくまでもゴーストライターが著作物を「創作」した者として「著作者」となります。ただ、その作品をゴーストライターに依頼した者(以下、「依頼者」といいます)が、著作者であると表示されている場合は、著作権法第14条により、依頼者がその作品の著作者であることが推定されるので、依頼者が著作者として扱われてしまいます。

ですので、ゴーストライターは、本人が名乗り出るなどして、真の著作者であることが証明されない限り、裁判上、著作者としては扱われません。

――なるほど。ゴーストライターが表に出ない限りは、依頼者が著作者ということになってしまうのですね。

岩沙弁護士 ただし、ゴーストライターが、自身が著作者であると主張した場合には、依頼者とゴーストライターのどちらが「実質的にその作品を創作したといえるか」で著作者が判断されます。

誤字、脱字の修正や、大まかなコンセプトを伝えるだけなど、依頼した側の創作への関与が希薄な場合、著作権法第14条の推定は覆り、法律上、ゴーストライターが著作者であると判断されるでしょう。

■実はゴーストライター契約もグレー!?

――例えば、後になってその楽曲なり原稿なりが、ゴーストライターの手によるものだと発覚した場合、その著作権はゴーストライターに帰属することになるのでしょうか?

岩沙弁護士 まず著作者の権利には、「著作者人格権」といって、その作品の作者として氏名を表示する権利などの人格的な権利、「狭義の著作権」といって、作品を使用することで収益等を上げる財産的な権利、の二つの側面があります。

ここで、ゴーストライター契約について考えてみましょう。

ゴーストライター契約とは、

(1)依頼者がゴーストライターに対価を支払うことにより、
(2)ゴーストライターから依頼者に対し、「狭義の著作権」を譲渡するとともに、
(3)ゴーストライターに「氏名表示しないこと」を約束させる契約

をいうものと考えます。

しかし、(2)の「狭義の著作権」については法律上譲渡が可能ですが、(3)「著作者人格権」については、「著作者の一身に専属するもの」であり、「譲渡することができない」とされています。

――著作者人格権は譲渡できないのですね。

岩沙弁護士 はい。そこが重要です。つまり、ゴーストライター契約を結んでいたとしても、ゴーストライターは、「その作品の著作者として自らの名前を表示する」という「著作者としての権利」を有したままになるのです。

さらに、そもそも、このゴーストライター契約が有効であるかどうかも疑問が残ります。

――契約自体にも問題があるのですか?

岩沙弁護士 一般的には、当事者間で合意ができれば、その内容で「契約」が成立します。しかし、その内容が公序良俗に反する場合には、契約は無効となります。

ゴーストライター契約については、「公序良俗に反し、無効である」と判断している裁判例も存在します。ゴーストライター契約が無効となった場合、狭義の著作権についても、ゴーストライターに帰属していると判断される可能性があります。

■佐村河内氏の件、弁護士はこう見る!

――世間を騒がせた、佐村河内氏の件を弁護士さんはどう見ますか? 問題点はどこだと思われますか?

岩沙弁護士 佐村河内氏の件について、これほど世間で騒がれているのは、彼自身の作曲の評価を高めていた、彼が全ろうでありながら素晴らしい曲を次から次へと作曲し続けたことについて、

(1)実は彼自身は作曲していなかった
(2)耳も聞こえている可能性がある

という、その前提となる部分について、彼が世間を欺き続けていたことが原因であると思います。

2つの点で欺いたということで、彼に詐欺罪が成立するのではないかという興味を持って見ている方は多いのではないかと思います。

まず、
(1)ゴーストライターを使っていた点についてです。

佐村河内氏が、自分が作曲していたものとして、CD制作会社やテレビ局、CDを購入した客を欺き、これにより、彼らが実際に佐村河内氏が作曲したと信じ、佐村河内氏が作曲したものであるからCDやテレビ番組を制作した、CD等を購入した、となると理論上は詐欺罪が成立することが考えられます。

ただ佐村河内氏の騙す行為が被害者の財物交付に向けられていたことの立証や、被害者側の、佐村河内氏の騙す行為と財物交付の因果関係など、立証のハードルもあり、本件について詐欺罪で処罰をされる可能性は高くないと思われます。

次に、
(2)耳が聞こえていたにもかかわらず、嘘をついていた点についてです。

こちらも、CD制作会社やテレビ局、CDを購入した客に対し、理論上詐欺罪が成立することは考えられますが、やはり立証の点でのハードルがあると思います。

ただ、耳が聞こえていたのに、障害者手帳を交付させ、助成金を受給していたという件については、国に対する詐欺罪や身体障害者福祉法違反などに問われる可能性があると思います。

■「メール」「ブログ」「Twitter」などの著作権は? 「鼻歌」はどうなる!?

――最近はコピペでどんどんコンテンツが作れる時代ですので、著作権法上どう考えればいいのかを教えてください。「ブログの書き込み」「Twitterなどのコメント」「LINEのやりとり」「メールに書いたこと」などには著作権はあるのでしょうか?

岩沙弁護士 これらのものが著作権法第2条1号の「著作物」に当たる場合には、著作権で保護されることになります。

著作権法第2条1号において「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義されています。

これらのものが著作物に当たるかどうかについては、これらのものに「創作」性が認められるかどうかによって判断されます。

過去の裁判例や学説では、「創作的に表現された」とは、作成者の独創性が表現されていることまでは必要なく、作成者の何らかの個性が表現として表れていれば足りるとされており、比較的緩やかに解釈されています。

このような解釈からすれば、ブログやTwitterの書き込み、LINEのやりとり、メールに書いたことについても、著作物として、著作権で保護される場合は多いといえるでしょう。

ただし、文章表現がごく短いものや、単なる事実の摘示、表現が平凡でありふれたものである場合などには、筆者の個性が表れておらず、創作性は認められないでしょう。

――具体的にはどのようなものでしょうか。

岩沙弁護士 具体的には、電車の遅延情報やスポーツの結果などをTwitterに書き込んだもの、LINE上での日程調整、待ち合わせのやりとりなどは、著作権で保護されない可能性が高いでしょう。また、ブログやFacebookへのコメントなどは単なる感想であるので保護されない可能性が高いでしょう。

反対に、ブログ上の就職活動日記やラーメン食べ歩き日記、電子メールでもメールマガジンなどは、著作権で保護されることが多いのではないかと思います。

――最近は楽曲の使用に関して厳しくなっていますので教えてください。鼻歌を歌うと楽曲の著作権に触れますか?

岩沙弁護士 著作権法で、著作権として保護されているのは、「著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として上演し、又は演奏する」(著作権法第22条)権利であり、公衆に聞かせることを目的としていない鼻歌は著作権侵害とはなりません。

いかがだったでしょうか。「鼻歌は著作権侵害だ」と言われたらどうしようかと思っていましたが、さすがに大丈夫でした(笑)。それにしてもゴーストライターの問題は根が深そうです。

あなたは、ゴーストライターについてどのような感想を持っていますか?

(高橋モータース@dcp)

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