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雑学 北欧スタイル

「イクメン先進国」ノルウェーのパパに子育てのコツをインタビュー!「完璧に育児と家事をこなそうとはしない」

パパが台所に立つ姿はノルウェーでは日常的な光景(Photo:Asaki Abumi)

「パパー! お腹すいたー! 今日の夜は何を食べるの?」

子どもたちの元気な声が台所に響きます。「サーモンだよ、一緒に作るかい?」とやさしく答えるのは、父親のハンス・ぺター・ネスさん(57歳)。

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オスロ郊外に暮らすネス一家は、父親のハンスさん(57歳)、母親のメイさん(35歳)、4人の娘から成る6人家族です。この日の夜は、ハンスさんのご両親も遊びに来て、6人で食卓を囲みます。

夫のハンスさんが台所で料理をする間、妻のメイさんは義理の両親とソファで団らん中。エマちゃん(6歳)とハナちゃん(4歳)は、大好きなパパのそばから片時も離れずに、料理のお手伝いをします。ノルウェーでは、父親が台所で料理をする姿は一般的な光景です。

■職場でも家庭でも、共働き

この日の献立は、ノルウェーサーモン料理。骨や皮がすでに抜かれたサーモンの切れ身なら、そのままオーブンに入れて約15分間焼くだけで料理が完成。調理が簡単な食材は、多忙な親を手助けする、スーパーマーケットの人気商品です。

「8~16時まで仕事をして、妻か僕が幼稚園まで子どもを迎えに行って、帰宅後にすぐ夕食作り。僕たち夫婦は共働きで時間に追われているから、完璧に育児と家事をこなそうとはしないよ」とハンスさんは話します。

「女性が家事をするべきとか、そんなことはいっていられない。両親で作業を分担しないと、家庭が成り立たないからね。幼稚園が休みの日には、子連れで職場に行くこともあるよ」(ハンスさん)

ハンスさんはお弁当も作るそう。「ほら、保育園の子どもたちの間では、カラフルなお弁当箱が流行っているんだ」と、エマちゃんが毎日使うお弁当箱とリュックサックを見せてくれました。

(写真左)ノルウェーサーモン、(写真右)娘のお弁当箱を見せるハンスさんと、パパにくっついて離れないエマちゃん(Photo: Asaki Abumi)

■学生パパも育児には積極的

日中にベビーカーを押す父親たちの姿がいまや当たり前の光景となっているノルウェー。10人中9人が育児休暇を取得しているともいわれており、公園やカフェで父親たちが育児に励みます。

学生パパ・ママも多いので、小学校などが休みの日には教師も学生も子連れで授業に参加。大学キャンパスや学生寮の敷地内には、幼稚園や保育園が併設されています。

冬になると、親が子どもを乗せたソリを引きながら、クロスカントリースキーをする姿も日常的な光景。カフェでも母親が周囲の目を気にすることなく授乳したり、店内にベビーカーを置いたりすることも可能です。

日中のカフェで若い父親たちが子連れで集まり、育児についての会話に夢中になることは、ノルウェーと比較すると日本ではまだまだ少ないといえるでしょう。

特殊なベビーカーを引きながらクロスカントリースキーを楽しむノルウェー人パパ(Photo:Asaki Abumi)

■父親の育休は14週間

ノルウェーの育児休暇取得率が高い理由に、1993年に導入された、「パパ・クオータ制度」が挙げられます。育児休暇は49週間(100%の給与保証)、もしくは59週間(80%の給与保証)のどちらかを選択可能。

パパ・クオータ制度は、このうちの一定の休暇期間を父親に割り当てるもので、父親が休暇をとらなければ、その期間分の権利は消滅し、母親が代わりにとることはできない仕組み。せっかくの育児休暇が無駄になってしまってはもったいないので、父親たちは積極的に休暇をとります。

育休期間については、国がどれほど家庭の育児方針に介入すべきか、ノルウェーの政治家たちが論議を続けています。

中道左派である労働党出身のイェンス・ストルテンベルグ元首相の政権下では、2013年7月からは父親の育児休暇が12週間から14週間へと最長期間に延長されたばかりでしたが、その後、政権が交代。

中道右派・保守党のエルナ・ソルベルグ現首相(ノルウェーで2人目の女性首相)は、2014年7月から、父親の育児休暇期間を10週間へと減少させることを決定しました。1993年以降、増加の一途を辿っていた同政策ですが、2014年を境に初の減少対策とする理由に、政党は「父親に自己選択の機会を与えるために」としています。

ちなみに日本の厚生労働省の平成24年度「雇用均等基本調査」によると、日本男性の育児休暇取得率は1.89%(女性は83.6%)。社会構造や文化が違うとはいえ、ノルウェーと日本の父親の育児参加における現状はこうも違うのかと驚くところです。

単身赴任で東京に住んだことのあるハンスさん夫妻は、「高学歴の多くの日本人女性が、出産後は職場に復帰せずに専業主婦でいることには本当に驚いた」と語ります。子どもたちの遊び相手をするハンスさんを横目で見ながら、妻のメイさんは「主人には本当に満足しているわ。

彼は朝食も作ってくれるし、私より洗濯が上手なのよ」とニッコリ微笑んでいました。

●文・写真 鐙 麻樹

■著者プロフィール

鐙麻樹(あぶみ あさき)。上智大学フランス語学科2008年卒業。オスロ大学メディア学学科2012年卒業。同大学大学院メディア学修士課程在学中。ジャーナリスト、フォトグラファーとして、雑誌、WEB、旅行ガイドブックを中心にノルウェー現地から数多くの原稿や写真を寄稿。6カ国語の海外ニュース翻訳家、メディア/企業コーディネーター兼アドバイザーとしても幅広く活動中。
ホームページ http://www.asakiabumi.com/
All Aboutノルウェーガイド http://allabout.co.jp/gm/gp/1080/
地球の歩き方オスロ特派員ブログ http://tokuhain.arukikata.co.jp/oslo/

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