最近の宇宙食はここまで進化した!

宇宙飛行士にとって欠かせないものの1つが「宇宙食」です。皆さんは宇宙食というと、どのようなものを想像するでしょうか。
【もうすぐ宇宙に観光客がおしよせるとロシアの宇宙飛行士が予測】
ペースト状のもの?それとも乾燥した固形物?…いえいえ、実は結構ちゃんとしたものを食べているのです。
そこで今回は、宇宙食の歴史についてご紹介したいと思います。
宇宙食として認められるためには…
早速ですが、宇宙食に求められる条件とはいったい何でしょう…。
宇宙空間は地球上とは環境が大きく異なるため、いろいろな条件が求められることは確かですが、(1)長期保存ができること、(2)軽くてかさばらないこと、(3)栄養があること、(4)液体や粉末が飛び散らないこと、などが大事な要素になってきます。
特に、ほぼ無重力の空間で液体や粉末が飛び散ってしまうと、後片付けが大変なうえに、装置や電気系統にトラブルを起こすなど、致命的な事態にもなりかねないため、とても重要なポイントだと言えます。
そのため、何でも宇宙へ持って行けるわけではなく、国際宇宙ステーションの場合であれば、事前にアメリカ航空宇宙局(NASA)などの審査を通過しなければなりません。
宇宙食を初めて食べた人物
それでは、宇宙で初めて食べ物を口にした人は誰だと思いますか?
人類初の宇宙飛行士と言えば、「地球は青かった」という名言で知られている、旧ソ連(現在のロシア)のユーリ・ガガーリンです。彼がボストーク1号に乗って宇宙へ行ったのは1961年4月のことでしたが、このときはまだ食事を摂ることはありませんでした。
というのも、彼が宇宙にいたのはわずか2時間弱だったため、食事は必要なかったのです。
人類史上初めて宇宙で食べ物を口にしたのは、それから4カ月後の1961年8月、同じく旧ソ連のボストーク2号に搭乗し、1日ちょっと宇宙に滞在したゲルマン・チトフ飛行士です。続いて、翌1962年にはNASAの「マーキュリー計画」において、ジョン・グレン飛行士も食事を摂っています。
ただしこの頃は、歯磨きチューブのような容器に入った野菜ペーストなどで、味もイマイチだったようです。
宇宙食の歴史と変遷
しかしその後、味やメニューは次々と改良を重ねられていきます。
1963年から始まった「ジェミニ計画」では、乾燥した固形状の宇宙食が登場し、続く1969年からの「アポロ計画」では、お湯も使えるようになったため、温かいチキンスープを食べることも可能になりました。
さらに、1970年代に行われた「スカイラブ計画」以降は、皆さんおなじみのフリーズドライ食品も登場しています。
現在の宇宙食はどんなもの?
今では、宇宙食も地上の食事にかなり近いレベルになっていて、フリーズドライだけでなく、レトルト食品・缶詰・ドライフルーツやお菓子なども宇宙で食べられています。
なお、レトルト食品などを温める際に使うお湯は、搭載している燃料電池で発電する際の副産物としてできたものを再利用しています。
加えて、各国の宇宙飛行士たちも自国の食べ物をいろいろ持ち込んでいます。
日本の飛行士の方たちも、レトルトカレーやラーメン・サバの味噌煮・たこ焼きなどを持ち込んだり、手巻き寿司をふるまったりして、他国の飛行士たちに好評を得ています。
ちなみに、ラーメンはお湯の温度が低くても戻せたり、スープが飛び散らないように粘り気をつけたりと、宇宙食ならではの工夫がなされています。
ところで、宇宙には重力がほとんど無いため、食事をするとすぐおなかがいっぱいになってしまう感覚になると言われています。食べ過ぎる心配がなくて健康的かと思いきや、すぐにおなかが空いてしまうみたいですが…。
宇宙食を食べてみよう
宇宙食は、宇宙飛行士しか食べられないものと思っているかもしれません。
しかし、宇宙食と同じ製法で再現された商品は、全国各地の科学館などでも販売していますので、誰でも手軽に買うことができます。レトルト食品から固形のアイスクリームまで多種多様ですので、興味がある人は味や食感などを実際に確かめてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は宇宙食の歴史を見てきました。
初期の宇宙食はチューブに入ったペーストだったものの、最近ではラーメンやカレーも登場するなど、どんどん進化を遂げています。今はまだ地上から持ち込んだものを食べていますが、近い将来には宇宙空間でも自給自足ができるよう研究が進められています。
(文/TERA)
●著者プロフィール
小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
※この記事は2014年01月22日に公開されたものです