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「あの」という指示語を言うだけで、心の壁を取り払える理由

「あれ・これ・それ」という指示語は、時に意味の食い違いが起こるため仕事では嫌われやすいものですが、「あの」はなぜかコミュニケーションを円滑にする場合があるようです。なぜ「あの」という指示語なら、人は受け入れやすいのでしょうか。

指示語って何?

指示語というのは、「これ・それ・あれ・どれ」などコソアドで始まることが多い言葉で、代名詞や連体詞、副詞として使われる言葉のことです。コソアで始まる指示語は、何か特定のものを指し示し、ドで始まる指示語は、不特定のものを指し示す時に使われます。

「これ・それ・あれ・どれ」だけでなく、「この・その・あの・どの」や、「こいつ・そいつ・あいつ・どいつ」なども指示語です。

指示語は、話す人から見て近いものを指し示す時には、コとソで始まる指示語が使われ、自分により近い物を指す時は「コ」、少し離れた物を指す時は「ソ」で始まる指示語を使います。指示語で、話す人と聞く人で意味が食い違うことがあるのは、この距離感のためです。

自分にとって近い物は「これ」ですが、それを聞いた相手からしてみると「それ」に当たるからです。

「あの」は共通認識を持っているという前提で、使われる指示語

一方で「あれ」や「あの」など、アで始まる指示語は、「これ・それ」「この・その」よりもイメージの食い違いが起こりにくい指示語です。それは自分と相手が同じ場所にいるということが前提で、お互いに指示語が指す内容を知っていることが前提で「あの」など、ア行の指示語が使われるからです。

例えば「あの」が使われる時の例として、「あの○○さん」とか、「あの部長」とか、「今度入ってくる、あの新製品」などがあります。お互いに知っているからこそ、ものを指す時に「あの」と言えるのです。

「あの」を使うということは、「あなたも知っている通り」という意味がある

この「あの」という指示語は、単に便利な言葉なだけでなく、コミュニケーションを円滑にするのにも使えます。なぜなら「あの」には、「あなたも知っている通り」という意味や「あなたが想像している通りの」という意味も含まれているからです。

「あの」を使うということは、使う相手に対して、同じ知識や経験を共有している仲間だと認めているということでもあるのです。

また「あの」で始まる言葉を使うと、同じ体験を共有できるという効果もあります。「あの○○さんがさ~」と言われた時、声の高いか低いかで、相手がこれから何を話そうとしているのか、わかることがあります。それは話かけてきた相手と、同じ体験を共有しようと、自分が準備態勢に入っているからなのです。

逆に「そこの○○さんがさ~」という言葉だと、高いか低いかに関わらず違和感があるのではないでしょうか。それは相手と自分との間に距離感があるからなのです。

「あの」をあまりに連発しすぎると、「どれ? どの?」とイライラされてしまうこともありますが、適度に使う分にはコミュニケーションに役立ちます。誰かと仲良くなりたい時は、ぜひ「その・この」よりも「あの」を使ってみましょう。

※この記事は2013年12月14日に公開されたものです

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