屋外でやけどをしてしまった場合の正しい処置・誤った処置は?
少しずつ暑さも和らぎ、屋外でも過ごしやすい季節になってきました。ここぞとばかりに屋外でバーベキューなどのレジャーを楽しむ人もいるのではないでしょうか? しかし、バーベキューなど屋外で調理をしていると、うっかり「やけど」をしてしまう場合もあります。では、屋外でやけどをしてしまった場合は、どういった処置をするのが正しいのでしょうか? 東京医科大学病院 形成外科の松村一教授にお話をうかがいました。
■とにかくまず水で冷やすこと
――屋外でやけどを負ってしまった場合、どのような処置をすることが大事なのでしょうか?
松村教授:最初にしてほしいことは、やけどをした患部を流水で冷やすことです。
――水を掛け流して冷やす場合、どれくらいの時間冷やせばいいのでしょうか?
松村教授:やけどした範囲で変わりますが10分から15分冷やすといいですね。
――もし、手近なところに水がない場合、たとえば冷えたペットボトルのお茶などを掛け流して冷やすのは有効なのでしょうか?
松村教授:基本的には水が望ましいですね……。ペットボトルの水でも水道水でもいいので、水で冷やしてもらいたいです。
――ほかにも、アウトドアだと氷を用意していたりする場合もあるかと思いますが、氷を患部に直接当てて冷やすのはどうでしょうか?
松村教授:それはあまり推奨できませんね。氷水ならいいかもしれませんが、冷たすぎて長い時間冷やせませんよね。アイスノンなどでしたら、タオルなど布に巻いて当てて冷やすのはいいと思いますが……やはり流水が一番いいと思います。
――水道が近くにない場合、川の水に患部を漬けて冷やしたり、海の水に漬けて冷やすのはどうでしょうか?
松村教授:水の清潔さなどもあると思いますが、きれいな川の水の場合、冷たければ10分、15分冷やせばいいと思います。海の場合は、やはり海水なので、冷やした後真水で洗い流せるのなら悪くはないと思います。
■水ぶくれができたらつぶさずそのままで……
――十分に冷やした後はどのような処置をすればいいでしょうか?
松村教授:清潔な布やタオルがあれば、それで患部を覆って保護してください。
――覆う場合は、軽く巻く程度でいいのですか?
松村教授:そうですね。軽くてけっこうです。あと、患部が水ぶくれになってしまっている場合は、つぶしたり、たたいたりしないようにしてもらいたいです。
――針で刺して中の水を抜く、なんてことはしてはいけないのですね。
松村教授:何もせず、医療機関に行くまではそのままにするのが一番です。
――ほかに、こういったやけどの処置はやめたほうがいいというのはありますか?
松村教授:パウダー状の消毒薬をやけどした部分につける患者さんがいますが、あれは消毒薬が取れにくく、病院で処置をする際に大変だったりしますね。病院に行く前から、外用剤をむやみやたらに使うのは避けた方がいいです。使うのなら、医師の判断を仰いでから使用していただきたいです。
屋外でやけどをしてしまった場合は、まずはきれいな流水で冷やすのが一番。それから患部を保護したら、早めに医療機関に行くべきとのことでした。また、水ぶくれをつぶしたり、むやみやたらに市販の治療薬などは使わないようにするといいようです。これらのことを頭に置いておけば、もし屋外でやけどをしてしまった場合に正しい処置を行うことができるでしょう。
(取材協力:松村一、文:貫井康徳@dcp)
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※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.31)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※この記事は2013年09月07日に公開されたものです