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ノーベル賞のきっかけにも。老荘の思想って何?

●中間子論は老荘の発想で生まれた
ノーベル賞を受賞した物理学者湯川秀樹氏も、老荘の思想から中間子論という発想のヒントを得たという。では、老荘の思想って何?中国古典の面白エピソードを紹介します

●老子という書物は誰が書いた?
老子という人が居たのか、居なかったのかがまず第一の謎。伝説の孔子の師である「ろうたん」という人が老子であるという説もあるが、現代では複数の世代の人々の知恵を集約したのがこの書籍ではないかといわれている。

●水に学べ
老子の中で印象的なのが、最高の善を水に例えている点。水は万物を助け育てつつも自己主張をしない、誰もが嫌う低い位置へと流れていく。また、どのような形の器にも納まる。老子の教えである道教の道に似ているという。人と争わず、自己主張をしないことが自在な能力を得るとしている。

●大鵬
荘子とは荘周という人の著作と言われている。この書籍「荘子」には次のような話が載せてある。鵬(ほう)という鳥が居て、胴体は何千里にも至り、翼をひろげて飛び立つと空は黒雲におおわれたように思われる。鵬とは大きな鳥であると言っているのだが、実際は手のひらに載るような小鳥を呼ぶという。このようにユーモアあふれるたとえを使っている。

●荘周か胡蝶か?
ある時荘周、つまり私は昼寝をしていて胡蝶になった夢を見た。ひらひらと舞う胡蝶である。ところが夢から覚めたところ、元の荘周に戻っていた。これは荘周が胡蝶になったのだろうか?それとも胡蝶が荘周になったのだろうか?それはどちらでもよいではないか、といった話がある。

●大びょうたんの使いみち
荘周の論敵である恵子(けいし)が、以前から大きいことは良いことだと言っていた荘周を皮肉った。「以前、魏王から大きなひょうたんの種をもらったことがある。まいて実がなったが、大きすぎて水を入れると重すぎで持ちあがらない。ひしゃくにしてみると水がめに入らない。大きいことは大きいが何の役にも立たないから二つに割って捨ててしまった」

それに対して荘周は、「そんな大きなひょうたんをもっているなら、なぜ揚子江に浮かべて乗って楽しまないのだ」と返した。

湯川秀樹氏は、こうした話から中間子論の発想を得たとのこと。中国古典が物理学へも影響を与えているという不思議なエピソードでした。皆さんも、老荘の思想に触れてみては?

(文:深山敏郎/(株)ミヤマコンサルティンググループ/コミュニケーションズ・スペシャリスト)

著者プロフィール

コミュニケーション改善の請負人として、高級ホテル、外食チェーン、外車ディーラー、IT企業など、20年で延べ4万人あまりを直接指導。夢は、英国でシェイクスピア芝居を英語で上演すること。 http://www.miyamacg.com/ お問合せ先:info@miyamacg.com
執筆協力:石井公一(いしいきみかず 中小企業診断士)

※この記事は2013年05月07日に公開されたものです

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