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「分かる」と「解る」の意味の違いは? 「判る」との使い分け・例文・類語

にほんご倶楽部

同じ読み方でも意味が異なる「分かる」と「解る」。その意味や使い方の違いを把握していますか? 今回は「分かる」「解る」そして「判る」の意味の違いや使い方、例文、それぞれの類語について解説します。

相手への理解をメールや手紙で示したい時、ふと「分かる」か「解る」で迷った経験はないでしょうか。プライベートでもよく使う「分かる」の意味は何となく察することができるものの、「解る」はどんなシーンに当てはまるのか知らない方も多いかもしれません。

ここでは、「分かる」と「解る」の違いに注目していきます。また、「判る」との使い分けや、ビジネスシーンでも広く使われる「分かる」の類語を身につけたい方は要チェックです。

「分かる」と「解る」の違いとは

「分かる」と「解る」は、いずれも「わかる」と読む同音異義語です。「何かをはっきりする」という点では同じですが、細かい意味合いは言葉によって違っています。

ここでは、「分かる」と「解る」それぞれの意味を掘り下げるとともに、双方の違いをまとめていきましょう。

「分かる」の意味は「あらゆるものを理解する」

「分かる」の意味は次の通りです。

わかる【分かる】
【一】[動ラ五(四)]
1.意味や区別などがはっきりする。理解する。了解する。「物のよしあしが―・る」「言わんとすることはよく―・る」「訳が―・らない」
2.事実などがはっきりする。判明する。「身元が―・る」「答えが―・る」「持ち主の―・らない荷物」
3.物わかりがよく、人情・世情に通じる。「話の―・る人」
4.一つのものが別々になる。わかれる。
「五色の水玉数散りて、浪二つに―・りて」〈浮・伝来記・二〉
【二】[動ラ下二]「わ(分)かれる」の文語形。
(小学館『デジタル大辞泉』小学館)

「分かる」とは、言い換えると「理解・了解する」という意味です。対象となるのは物事の意味や区別、事実性などで、あらゆるシーンに当てはめられるでしょう。

また、3の人情・世情に通じるという意味があることから、物理的なものだけでなく、「心情を理解する」という場合にも使えると分かりました。

「解る」は「道筋・意味」を理解する場合のみ使用

次に、「解る」の意味ですが、こちらは「分かる」に含まれる形で認識されています。「解る」の代わりに、「解」の意味を参考にしてみましょう。

かい【解】
1.一つにまとまったものを解き分ける。ばらばらになる。「解散・解体・解剖/瓦解・電解・氷解・分解・融解・溶解」
2.もつれ・ごたごたを解きほぐす。「解決/和解」
3.役目や束縛から解き放す。「解禁・解雇・解除・解消・解職・解任・解放・解約」
4.解き明かす。「解釈・解説・解答・解明/見解・詳解・図解・正解・注解・読解・弁解・明解」
5.物事の筋道・意味がはっきりとらえられる。わかる。「理解・諒解(りょうかい)・一知半解」
(小学館『デジタル大辞泉』)

「解る」としては、4・5の「物事の道筋・意味を解き明かす」という意味を含んでいます。

「解答」や「正解」という言葉にもその漢字が使われていることから、「問題の答えや解き方がわかる」といった意味もあると分かりました。

一般的には「分かる」を用いる

補足ですが、「わかる」の訓読みが定められているのは「分かる」のみです。

誰にでも理解しやすい漢字を基準とする「常用漢字表」という観点から、「分かる」は常用漢字、「解る」は常用外漢字とみなされていることを念頭に置いておきましょう。

「分かる」と「解る」と「判る」の違い

「解る」以外にも、「分かる」の同音異義儀はあります。「判る」がそうですが、こちらも「解る」と同じく常用外漢字として認識されているため、別枠での意味はありません。

しかし、「判」という漢字には、「物事の優劣・可否・区別をはっきりさせる」といった意味があります。「判定」や「判明」などを思い浮かべると想像しやすいでしょう。

「分かる」「解る」「判る」の違いまとめ

「分かる」「解る」「判る」の違いをまとめると、「解る」は「道筋・意味がわかること」で、「判る」は「優劣・可否・区別がわかること」です。

「分かる」は、これら「解る」と「判る」の意味に加え、「心情がわかること」も含めた幅広い意味を持っています。

つまり、「分かる」は「解る」と「判る」の意味をひっくるめた言葉です。使い分けに迷ったら、いずれのケースでも「分かる」もしくは「わかる」を用いるのが無難でしょう。

「分かる」をビジネスで使う時の使い方・例文

「意味や区別、心情がわかる」という意味を持つ「分かる」は、理解を示すシーンに活躍する汎用性の高い言葉です。

人間関係が基盤となるビジネスシーンにおいて、相手への理解が求められる場面は決して少なくはありません。相手に賛同したい気持ちがあるなら、「分かる」を使ってコミュニケーションを図ると円滑に進むはずです。

それでは実際に、ビジネス上での使い方を例文とともに見ていきましょう。

例文

「分かる」は、相手に向けて「理解しています」という気持ちを伝えたい時に用いてください。また、打消しの形にすると「理解できません」の意味合いも示せます。

「解る」との使い分けとして覚えておきたいのが、心情への理解を示せるのは「分かる」のみということです。上司や先輩、同僚など、相手の気持ちに共感を寄せるシーンには、正しく「分かる」を使うと、きちんと配慮を示せるでしょう。

・いつもと服装が違ったので、誰だか分かりませんでした。

・今になって先輩の有難みが分かりました。

・彼女の気持ちは痛いほど分かります。

「解る」をビジネスで使う時の使い方・例文

「道筋・意味がわかる」という意味の「解る」は、何か取り組みを行った結果、答えを導き出せた時に使える言葉です。

ビジネスシーンでは、問題解決に挑んだり、セミナーや講義を聞いたりして、答えが判明した場面で使えるでしょう。ただし、「分かる」のように、相手の気持ちへの理解・共感は示せないと覚えておいてください。

それでは「解る」の具体的な使い方を、例文を交えてチェックしてみましょう。

例文

「解る」は、「取り組みを経て理解できた」という旨を伝えるシーンに使えます。例えば、社長の言葉を聞いたり、エコな活動の知識を得ようとしたり、道筋をたどって答えにたどり着くことならおおよそ当てはまるでしょう。

また、自分の理解のみならず、相手に「理解できますか」と問う形でも活用できます。問題解決に向けて、後輩や部下などの考えがどの程度及んでいるのか聞くシーンに用いてみてください。

・君には、社長のいっていることが解るだろうか。

・エコな取り組みについて、以前より解るようになりました。

・上司は○○君に対し、この答えが解るかと問いかけている。

「分かる」の類語

「分かる」は、「解る」の意味も含む多岐にわたって用いられる言葉です。「分かる」の類語を知っておけば、使い分けに迷わず相手への理解を示せるでしょう。

そこで最後に、「分かる」の類語を紹介します。

「了解」

「分かる」の類語として挙げられるのが「了解」です。

「了解」とは、物事の内容・事情を理解し、了承することを意味します。

「分かりました」の返事代わりに使用できる言葉ですが、「了解です」は目上の人にはふさわしくない表現とされているため注意しましょう。

「承知」

「承知」とは、事情を理解したり、依頼・要求を承諾したりするという意味です。

「承知しました」という言い回しは、ビジネスシーンでもよく用いられます。上司や先輩への返答として、「分かりました」と丁寧に伝えたい時の言い換え表現に好適です。

「納得」

「心情への理解」を示したいなら、「納得」も候補の1つです。「納得」とは、相手の考え・行動を理解し承知するという意味を持っています。

物事の真髄をよく理解した上で、すんなり受け止められた時の表現として用いてみてください。

「理解」

「分かる」や「解る」をストレートに言い換えるなら、「理解」が適しています。「理解」とは、道理や意味、内容がわかることに加え、気持ちを察するという意味もある言葉です。

ほとんどの場面にあてはめられるため、「分かる」の言い換え表現として重宝するでしょう。

「分かる」は「解る」の意味も内包する言葉

ビジネス・プライベート問わず多用される「分かる」は、心情を含めあらゆるものへの理解を示す言葉です。一方、「解る」は道筋・内容への理解のみで、気持ちに共感する意味は含まれていません。

正しく使い分けられるのが一番ですが、習得していないうちは恥をかく元になってしまうかもしれません。「解る」は常用外漢字ということもあり、まずは「分かる」の意味や類語を正しく身に付けた上で、シーンに応じて適用してみてください。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

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