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「横柄」の意味や読み方は? 類語や対義語も解説(例文つき)

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

あなたの周りに、「横柄な人」はいますか? 「横柄」の読み方は「おうへい」で、意味は「おごり高ぶって無礼なこと」。ライティングコーチの前田めぐるさんに「横柄」の意味や語源、「傲慢・尊大・横暴」などの類語について、例文と共に解説してもらいます。

「横柄」とは「おごり高ぶって無礼な態度」という意味です。

しかし「横柄」を構成する「横」と「柄」のどちらの漢字にも、そのようなニュアンスは感じられません。

では、なぜそのような態度のことを「横柄」と書くようになったのでしょうか? 語源と共に意味や使い方を調べてみましょう。

「横柄」の読み方・意味・語源

まずは「横柄」の読み方と意味、語源を確認しましょう。

読み方は「おうへい」で意味は「おごり高ぶって無礼」

辞書によれば、「横柄」とは次のような意味です。

おうへい【横柄】
おごりたかぶって無礼なこと。そうした態度。尊大。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

以上のことから分かるように、「横柄」とは人を見下し、偉そうな態度を取ること、無礼な振る舞いをすることを意味する言葉です。

参考記事はこちら▼

横柄な態度を取る人とはどんな人なのか、詳しくはこちらで解説しています。

語源は和語「押柄(おしから)」の音読みという説

「横柄」の語源は、「押柄(おしから)」という和語を音読みにしたものという説があります。

「おしから」とは「他を威圧するような、押しの強い力、人柄」のこと。

この「押柄(おしから)」を音読みにした「おうへい」に、同じ音の読みを持つ漢字の「横柄」を当て、今の「横柄」という言葉になったとされています。

「横柄」はどんな時に使えるのか?(例文つき)

それでは「横柄」は実際どんな時に使えるのか、場面ごとに例文を紹介します。

おごり高ぶった態度の接客を受けた時

高級品や品薄のものを買う際など、尊大な態度の接客を受けたことはありませんか? そんな時に「横柄」を使えます。

例文

・いくら品薄だからと、いかにも「売ってやる」という横柄な態度には感心しません。

尊大に振る舞う部下に注意する時

下請けの会社に対して、傲慢な態度を取っている部下がいる。それを見かねた上司が注意する時に「横柄」という言葉を使えます。

例文

・先ほどのK社さんへの発注の仕方は、ちょっと○○さんらしくない、横柄な態度でしたよ。

能力がある人が周囲に偉そうに振る舞うさまを表す時

仕事ができる人が同僚など周囲に対しておごった態度を取ると、批判を受けることにもつながります。そのような時にも、横柄という言葉が使われます。

例文

・いくら仕事ができるからといって、あの人の横柄な振る舞いは目に余るね。

目上の相手に対して傲慢な話し方をした時

相手が上司など目上の人であっても、反抗心や甘えからおごった態度を取る人がいます。そんな態度について忠告する時に、次のように「横柄」を使えます。

例文

・さっきの部長への口のきき方は、ちょっと横柄だったんじゃないかな。

「横柄」の類義語(例文つき)

「横柄」と似たような意味を持つ言葉、類語を以下に紹介します。

「傲慢(ごうまん)」

「傲慢」の意味は以下の通りです。

自分がすぐれていると思い上がって、人を見下すさま。
(『明鏡国語辞典 第三版』大修館書店)

「横柄」と近い意味ですが、「横柄」のように「無礼な態度を取る」というニュアンスまでは含まれていません。

そのため「傲慢無礼」のように、「無礼」をつけ加えて使われることもあります。

例文

・第一印象の良い部下だったのに、傲慢無礼な態度が増えてくると、本当にがっかりさせられるものです。

「驕慢(きょうまん)」

「驕慢」には、以下のような意味があります。

おごりたかぶって、人を見下すこと。
(『明鏡国語辞典 第三版』大修館書店)

「横柄」とほぼ同じ意味ですが、「驕慢」も「傲慢」と同じく「横柄」のように「無礼な態度を取る」というニュアンスまでは含まれていません。

例文

・彼は一代で財を成したが、驕慢なところがあったせいか、生涯孤独だった。

「横暴(おうぼう)」

「横暴」には、以下のような意味があります。

権力や腕力をよいことに、わがままで乱暴な行いをすること。
(『明鏡国語辞典 第三版』大修館書店)

「横暴」は類語辞典に「横柄」の類義語として載っているわけではありませんが、「わがままな振る舞いをする」という点では「横柄」と近い意味があるので紹介します。

「権力や腕力をよいことに」ということ、またその行いが乱暴であるということは、「横柄」にはないニュアンスです。

例文

・彼女は、横暴な夫をかばうかのように「結婚前はとても優しい人でした」と言った。

「不遜(ふそん)」

「不遜」は「謙遜」の反対語で、以下のような意味です。

思いあがっていること。
(『明鏡国語辞典 第三版』大修館書店)

「思いあがっている」という意味は「横柄」に通じます。

さらに「へりくだる」という意味の「謙遜」の反対語であることを踏まえると「不遜」は「控えめではない」というニュアンスがあるといえます。

例えば「目上の人に対して謙虚にしているべき時にそうしない」という場合に使われることがよくあります。

例文

不遜な部下だとお思いかもしれませんが、会社のためにも申し上げたいことがございます。

「尊大(そんだい)」

「尊大」の意味は以下の通りです。

いばって偉そうな態度をとること。
(『明鏡国語辞典 第三版』大修館書店)

「尊大」は「横柄」と同じ意味です。

例文

・おとなしかった彼が、あれほど尊大な人間になるとはよほどのことがあるのでしょう。

「横柄」の対義語(例文つき)

ここからは、「横柄」の反対の意味を持つ言葉、対義語を紹介します。

「謙虚(けんきょ)」

「謙虚」の意味は以下の通りです。

つつましく控えめなさま。おごりたかぶらず素直なさま。
(『明鏡国語辞典 第三版』大修館書店)

控えめな態度で取り組む様子を表したい時に、以下のように使うことができます。

例文

・失敗を認めて謙虚に反省し、改善を重ねていけば、より良い成果が得られます。

「謙遜(けんそん)」

「謙遜」には以下のような意味があります。

相手に遠慮して、自分の能力や価値、言動などをわざと低く評価すること。自慢したり、高ぶったりせず、控えめであること。
(『明鏡国語辞典 第三版』大修館書店)

褒められた時に「自分の能力ではない」と遠慮する様子を表したい時、以下のように使えます。

例文

・彼は、周りから褒められて「まぐれです」と謙遜した。

「低姿勢」

「低姿勢」とは、以下のような意味です。

自分が相手より下の立場にあるとして、へりくだった態度をとること。また、その態度。
(『明鏡国語辞典 第三版』大修館書店)

腰の低い態度を取る様子を表す時に、「低姿勢」が使えます。

例文

・本当に偉い方ほど決しておごり高ぶらず、低姿勢な方が多いようです。

漢字の意味からは推測しにくい言葉

日本語には、漢字の意味から推測できる言葉がたくさんあります。しかし、「横柄」のように当て字でできていて、漢字の意味とは遠い意味の言葉も存在します。

昔は「耳から入る言葉だけで会話が成立し、それを記録するために、聞こえた音に漢字を当てていく」ということも多かったのかもしれませんね。

今のように、SNSなどの文字によるコミュニケーションが主流になった時代からは想像できないことです。

「横柄」のように漢字の意味では判断のつかない言葉にぶつかったら、音で意味を想像してみても良いかもしれません。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

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