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【FP解説】30代女性の平均貯金額は? 老後のためにいくら必要?

根本 寛朗(ファイナンシャルプランナー)

30代女性の平均貯金額と比べ、自分の貯金額は多いのか少ないのか、また将来のためにどれくらい貯金すれば良いのか分からず、不安な人も多いのでは? 今回はファイナンシャルプランナーの根本寛朗さんに、30代女性の貯金の実態や貯金方法を解説してもらいます。

30代に入ると、結婚や子育て、住宅購入、老後のことなど、お金の心配ごとが増えてきます。

同世代はどれくらい・どうやって貯金しているか気になっても、お金の話は周りの人とはなかなかできないことも多いでしょう。

今回は、そんな30代の貯金事情や貯金方法について解説したいと思います。

30代独身の平均貯金額は?

まずは、30代独身の平均貯金額をみてみましょう。

平均貯金額は167万円

2020年の金融広報中央委員会の調査によると、30代の単身世帯の平均貯金額は167万円です。

また、上記の貯金額に投資分なども含めた保有金融資産全体の平均327万円、中央値は70万円です。

ちなみに、平均値は全体の貯蓄額を世帯数で割った数値です。一方中央値は、貯蓄額の少ない世帯から多い世帯に順に並べた時に、ちょうど真ん中にくる世帯の貯蓄額の数値です。

平均値は、貯蓄額が非常に大きい人が数値を引き上げてしまうことがあるので、中央値の方が実態に適しているといえます。

以下5人の貯金額の平均値と中央値はこのようになります。

Aさん:0円
Bさん:10万円
Cさん:50万円
Dさん:100万円
Eさん:1億円

平均値=2,032万円
中央値=50万円

金融資産は非保有の人が最多

調査によると、金融資産について「非保有」と答えた人が31.1%で最多でした。

次いで「100万円未満」と答えた人の割合は19.9%、「100万円~200万円未満」と答えた人の割合は9.4%でした。

参考記事はこちら▼

貯金ができる人にはいくつか特徴があります。今回はあなたの貯金できる人度を10の質問で診断します。

老後のためにどれくらいお金が必要?

1人で生活していく上で心配になってくるのは、老後の生活についてではないでしょうか。ここからは、独身で老後を迎えた場合にいくら必要になるのか確認していきましょう。

現時点の女性の年金月額は約10.8万円

まずは65歳以上の年金受給者が受け取っている金額について、下記の表を見てください。

性別 平均支給金額
全体 月額144,268円(年額約173万円)
男性 月額171,305円(年額約205万円)
女性 月額108,813円(年額約130万円)

※「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに作成

女性の年金収入は月額108,813円で、男性よりも少ないことが分かります。出産や育児などで男性に比べて働く期間が短かったり、年収が少なかったりする人もいるため、それが金額に影響していると考えられます。

単身女性の平均支出は約15万円

次に、65歳以上の単身女性の消費支出を確認しましょう。下記の表を見てください。

消費項目 月平均額
食費 35,773円
住居費 13,116円
高熱水道費 13,254円
家具・家事用品 6,160円
被服及び履物 3,891円
保険・医療 8,692円
交通・通信 11,631円
教育 0円
教養・娯楽 12,333円
その他の消費支出 34,567円
非消費支出

11,541円

(うち社会保険料 5,082円)

合計 150,958円

※2020年家計調査年報(総務省)をもとに作成
※社会保険料については総世帯及び単身世帯の家計収支を参照

平均消費支出は139,417円、非消費支出は11,541円となっており、合計で月に150,958円支出していることが分かります。

老後に不足する金額は約2,755万円

1カ月の年金収入が108,813円、支出が150,958円なので、収支としては毎月42,145円不足することになります。つまり年間では505,728円不足します。

(毎月の不足分 42,115円)×12カ月=年間の不足分 505,380円

厚生労働省が公表している簡易生命表によると、65歳女性の平均余命は24.91年。つまり平均寿命は90歳ほどとなります。この余命を全うした場合に生涯で不足する金額は約1,260万円となります。

(年間の不足分 505,380円)×24.91年=約1,260万円

住居については持ち家で65歳までにローンを払い終えている人もいるので上記の表では住居費が少なくなっています。

そのためずっと賃貸で生活する人はさらに毎月5万円程度不足すると考えると、生涯では約2,755万円不足することになります。

これらのことから、「退職までの目標貯金額は3,000万円」と考えておくと良いでしょう。

老後のためにどれくらいのペースで貯金すれば良い?

では、老後までに3,000万円を貯めるにはどうしたら良いかを考えていきましょう。

35歳から毎月9万円貯金すれば3,000万円貯まる

仮に35歳から貯金を始めたとして、毎月2万円・4万円・6万円・9万円を貯金した場合に、65歳までいくら貯まるか見てみましょう。

毎月2万円貯金 毎月4万円貯金 毎月6万円貯金 毎月9万円貯金
45歳時点 240万円 480万円 720万円 1,080万円
55歳時点 480万円 920万円 1,440万円 2,160万円
65歳時点 720万円 1,440万円 2,160万円 3,240万円

上の表を見ると、35歳から毎月9万円貯めると、3,000万円以上貯められることが分かります。

「毎月9万円なんて無理!」と思っても、諦めるのはまだ早いです。以下で貯金に回せるお金を増やす方法を、次ページでは効率的にお金を貯める方法を紹介します。

貯金額を増やす方法

貯蓄額を増やす方法には、「収入を増やす」「支出を減らす」「投資する」の3つがあります。

収入を増やす

転職やキャリアアップをして年収が増えれば、その分貯金に回す金額を増やせます。

支出を減らす

家賃が安い部屋に住み替えたり、生命保険料・携帯代などの固定費を見直したりすることで、浮いたお金を貯金に回すことができます。

投資する

投資というとハードルが高く感じる人もいるかもしれませんが、iDeCoなど政府が後押しする初心者向けのものなら始めやすいのではないでしょうか。

投資をしてお金を増やすことができれば、効率的にお金を貯めることも可能です。次のページで、その具体的な方法を解説します。

効率的にお金を増やす方法3つ

ここからは、初心者でも始めやすい投資の種類やメリット・デメリットを解説します。

つみたてNISA

つみたてNISAは、少額から、長期的に分散投資を行うための非課税制度ですです。年間40万円までの範囲で、毎月自分で決めた金額を投資できます。

つみたてNISAのメリット

つみたてNISAのメリットは、通常なら投資の運用利益などにかかる約20%の税金が非課税となることです。

投資できるのは年間40万円までで、20年間非課税になるため、最大で800万円までが非課税ということになります。

つみたてNISAのデメリット

つみたてNISAで投資ができるのは、金融庁が選定した投資信託だけ(2021年10月25日現在で201本)です。株などと比べると選択肢が少ないため、多くの銘柄から選びたい人にはあまり向いていません。

ただ、初心者の場合は「何を選んだら良いか分からない」という場合がほとんどだと思うので、これはむしろメリットともいえるかもしれません。

iDeCo

前段で年金の金額について紹介しましたが、この公的年金に加えて給付を受けられる私的年金制度の1つにiDeCoがあります。

iDeCoでは自分で毎月積み立てて運用した掛金を、60歳以降に一定期間ごとに分割で年金として、または一括で一時金として受け取ることができます。

iDeCoのメリット

iDeCoには、さまざまな税制上のメリットがあります。

まず、拠出した金額が全額所得控除(=所得から差し引かれる金額)となり、所得税と住民税が少なくなるという節税効果があります。

また、通常は投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoで得た利益には税金がかかりません。

そして一時金で受け取る場合は退職所得控除が、年金として受け取る場合は公的年金等控除が適用されるため、一定額まで税金がかかりません。

iDeCoのデメリット

デメリットとしては、60歳まで引き出せないということが挙げられます。

将来のために強制的に貯金をするという点ではメリットにもなりますが、「すぐにお金が必要」という時に崩すことはできないので、手元の生活資金は別で確保しておくようにしましょう。

またiDeCoは金融機関によって口座管理手数料の金額が異なります。掛金が少ない場合は手数料が割高になることもあるので、金融機関選定には注意が必要です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)

企業型DCもiDeCoと同じで、毎月一定の掛金を運用することで公的年金にプラスして受給できる私的年金制度の1つです。

企業型DCは全ての企業で利用できるわけではないので、まずは勤務先で企業型DCを導入しているか、担当者に確認してみましょう。

企業型DCのメリット

企業型DCは、iDeCoと同じで拠出した金額が全額所得控除となり所得税と住民税が少なくなる節税効果があります。

また、通常の資産運用で発生する利益への約20%の税金は非課税で、受け取る時にも控除が受けられるため一定額までは税金がかかりません。

また、選択制企業型DCの場合は社会保険料の負担を引き下げられる可能性もあります。

なぜなら選択制企業型DCの場合は拠出する分の金額が給料としてカウントされなくなり、社会保険料の基準になる標準月額報酬が下がることがあるからです。

企業型DCのデメリット

企業型DCデメリットは、60歳まで引き出せないことです(加入期間が10年未満だと受給開始は61~65歳)。

また、選択制企業型DCの場合は、先ほど説明した標準月額報酬変動の影響で老齢年金や障害年金など社会保険からの給付金額が減る可能性もあります。

65歳まで投資をしたらいくら貯まる?

35歳から65歳まで投資を続けたら、どれくらいお金が貯まるのでしょうか? 利回りが3%・5%・7%の場合のシミュレーションを確認してみましょう。

利回り3%の場合

毎月1万円積み立て 毎月2万円積み立て 毎月3万円積み立て
45歳時点 140万円 279万円 419万円
55歳時点 328万円 657万円 985万円
65歳時点 582万円 1,165万円 1,748万円

利回り5%の場合

毎月1万円積み立て 毎月2万円積み立て 毎月3万円積み立て
45歳時点 155万円 311万円 466万円
55歳時点 411万円 822万円 1,233万円

利回り7%の場合

毎月1万円積み立て 毎月2万円積み立て 毎月3万円積み立て
45歳時点 173万円 346万円 519万円
55歳時点 521万円 1,042万円 1,563万円
65歳時点 1,220万円 2,440万円 3,660万円

 

毎月3万円の積み立てでも、利回りが7%なら65歳までに3,000万円以上貯まります。投資をせずに毎月9万円を貯金した額よりも多くなる計算です。

ただし、高いリターンを求めようとするとリスクも上がります。自分がどの程度リスクを許容できるか考えてから、投資を始めましょう。

貯金の適正額を知るためにライフプランニングを

ここまで、30代から老後に向けた貯金額や、貯金方法について解説しました。

実際には、人それぞれ職業や年収、生活スタイルや価値観などが異なるので、「みんなと同じなら安心」ということはありません。

例えば結婚式や海外旅行など、どのタイミングでどれくらいの支出がありそうかライフプランニングを行ってシミュレーションをすることで、自分に合った貯金額や貯蓄方法を見つけましょう。

(FP Office 根本寛朗)

※画像はイメージです

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