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「鈍感な人」とは? 言葉の意味や「鈍感力」を身につける方法

小日向るり子

「鈍感力」という言葉からも分かるように、鈍感なことは短所だけでなく長所にもなります。今回は心理カウンセラーの小日向るり子さんに、「鈍感」の意味や鈍感な人の特徴、また「鈍感になりたい」という人のために鈍感力の身につけ方を解説してもらいます。

あなたの周りに「鈍感だな」と感じる人はいませんか? 鈍感な人はそのほとんどが「自分は鈍感であると」気づいていないため、時に周囲をイラつかせてしまうこともあります。

しかし、敏感な人は「あのくらいの鈍感さが欲しい」とうらやましく思うこともあるのではないでしょうか。

今回は「鈍感な人」とはどういう人なのかを掘り下げていきます。また、鈍感な人の良い部分を取り入れるコツも紹介します。

そもそも「鈍感」ってどういう意味?

まずは、「鈍感」とはどういうことなのか確認しましょう。「鈍感」という言葉を辞書で引くと、以下のような記載があります。

どんかん【鈍感】
感じ方がにぶいこと。気がきかないこと。また、そのさま。
(『デジタル大辞泉』小学館)

一般的に「あの人は鈍感だね」という表現は、場の空気や人の感情を読み取ることが苦手な人に対して使われます。

「鈍感」の類義語と対義語

「鈍感」の類義語に「鈍い」があります。「鈍い」という言葉には以下のような意味があります。

にぶい【鈍い】
1.刃物の切れ味が悪い。
2.(ア)動きがのろい。動作が機敏でない。
(イ)感覚が鋭敏でない。反応が遅い。
3.人の感覚を刺激する力が弱い。
(『デジタル大辞泉』小学館)

「鈍感」が「刺激を受ける側の鈍さ」にだけ使われるのに対し、「鈍い」は「刺激をする側の力が弱い」場合にも使われます。

一方、「鈍感」の対義語は「敏感」となります。意味は以下の通りです。

びんかん【敏感】
感覚や感度の鋭いこと。また、そのさま。
(『デジタル大辞泉』小学館)

敏感な人はその感覚や感度の鋭さゆえ、小さな刺激でも気持ちが揺れることが多いでしょう。

鈍感な人の特徴4つ

「鈍感」の意味を確認したところで、次は鈍感な人の特徴を見ていきましょう。

(1)人の感情に気づきにくい

 

鈍感な人は、「人が自分に抱いている感情を察知する」ということが苦手です。これは恋愛の場面でもよく見られます。

例えば、「A君が同僚のBさんに好意を抱いていることは職場のみんなが気づいているのに、Bさん本人は全く気づいていない」など。

あるいは、「ある人から好意を寄せられていてかなり露骨にアプローチをされているのに気づかない」といったこともあります。

(2)場の空気を読むことが苦手

自分以外の誰かがいる場所には必ず「場の空気」というものがありますが、鈍感な人は、こうした目に見えない空気を読むことが苦手です。

そのため、場にそぐわない発言をしてしまったり、逆に何か言わなければいけない場面で何も言わなかったりして、周囲の人がイライラしたり気を使ったりすることもあります。

(3)他人の目を気にしない

前述したように、鈍感な人は場の空気を読んだり他人の感情を推測したりしない傾向があるため、他人の目があまり気にならないという人も多いです。

日本は和を尊ぶ文化があるため人目を気にしてしまい、「人は人、自分は自分」と割り切ることが難しい人もいます。

しかし鈍感な人は他人からどう見られているか気にしないことも多いので、自然とこうした割り切りができていたりします。

(4)喜怒哀楽が激しくない

感度が鋭い人は小さな事に対しても反応してしまいますし、また刺激をより深く受け取るために感情の波が激しくなりがちです。

しかし鈍感な人はあまり物事に反応せず、また刺激があっても深く受け止めて大きく影響を受けるということは少ないです。そのため、喜怒哀楽が弱い傾向にあります。

「鈍感力」って何?

ネガティブな意味で使われることが多い「鈍感」という言葉ですが、「鈍感力」という言葉もあるように鈍感なのは長所でもあります。

鈍感であることのもっとも大きな長所は「環境適応能力の高さ」です。環境適応能力とは、引っ越しや転職などで環境が変わってもすぐに慣れる能力のこと。

鈍感な人は環境適応能力が高いため、新しい場所での楽しみも人より早く見つけることができます。「鈍感力」とは「どんな環境でも生き抜く力」でもあるのです。

人生に変化はつきものですから、これはかなりの強みになるともいえます。

鈍感になりたい……「鈍感力」の身につけ方

「もっと鈍感になれたら楽なのにな……」そのように感じている人も多いと思います。そこでここからは、「鈍感力」の身につけ方を紹介します。

(1)自分が何に対して敏感なのか把握する

まずは人間の五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)の中で、自分はどの感覚が敏感なのかを分析し、敏感な部分をカバーできるように対策してみましょう。

例えば、大きな音が苦手な人、は騒々しい環境を避けたりヘッドフォンをつけて防衛したり。

あるいは触覚が敏感な人は、できるだけ過密状態を避けてパーソナルスペースを広めに取る、など。

自分はどこが敏感なのかを分析してきちんと対策を取るだけで、「鈍感であろう」と意識しなくても、ストレスはかなり減ります。

(2)情報を掘り下げすぎない

ネットで気になるワードを入力すれば、あふれるほどの情報が出てくる現代。

興味がある物事に対してはついネットで掘り下げてしまいたくなるものですが、鈍感力を身につけるためには、この好奇心を八分目で抑えるようにしてみましょう。

特にネガティブなニュースやゴシップなどは要注意。お腹も情報も「腹八分目」が心身の健康の秘訣です。

(3)自意識過剰にならない

敏感な人は「自分が他人からどう見られているか」を意識しすぎる傾向があります。そのため、他人のちょっとした態度の変化や言動をすぐに「自分が何かをしたからだ」と自分の言動が原因だと推測して過剰反応してしまうのです。

しかし、人は自分に直接的に関係することでなければ意外とすぐに忘れます。

「自分が思うほど、他人は自分のことを気にしていない」という意識を取り入れてみてください。

心の「遊び」を大切に

車を運転したことがある人なら分かると思いますが、車のハンドルには「遊び」という余裕があり、左右に回してからタイヤが動き出すまでに少し時間差があります。

一見無駄に思えるこの「遊び」ですが、これがあることによって車がまっすぐに走り、運転しやすくなるそうです。

鈍感さとは車のハンドルの遊びと同じ。ぜひあなたの心の「遊び」の部分を大切に、日々を過ごしてみてください。

(小日向るり子)

※画像はイメージです

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