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ファスティングのやり方とは? おすすめスケジュールや食べていい物を解説

那須由紀子(管理栄養士)

ファスティングとは、一定の期間を最低限の栄養だけで過ごす断食法の一種。準備食や回復食で食べていい物や酵素ドリンクの選び方など、正しい知識を身に付けることが大切です。今回は、管理栄養士の那須由紀子さんに、ファスティングのやり方や期待できる効果について教えてもらいます。

こんにちは、マイナビウーマン編集部のたじーです。これまでにいろいろなダイエット法を試してきた私。以前は乏しい知識でゆるっと行うダイエットでもそれなりに効果が出ていましたが、アラサーになって急に何をやっても痩せにくくなりました。

そんな日々に終止符を打つべく、注目しているのが「ファスティング」。一時的なダイエットではなく、本気で効果を出したい! と思い立った次第です。

そこで今回は、ファスティング指導の経験を持つ管理栄養士の那須由紀子さんに、正しいやり方やメリットを教えてもらいました。ファスティングを成功させるためにも、正しい知識を身に付けておきましょう!

ファスティングとは? 期待できるメリット


「ファスティング」と言うと、とにかく痩せそうなイメージがありますよね。そもそも、ファスティングとは何なのでしょうか?

まずは、ファスティングの意味や期待できるメリットについて聞きました。

そもそも、ファスティングって何のために行うものなのでしょうか?

ファスティングとは、一定の期間を最低限の栄養だけで過ごす断食法のこと。体にため込んでいる老廃物を出す目的で行います。

日常の食生活が乱れていると、肥満や内臓脂肪の増加だけでなく、肌荒れを起こしたり疲れやすくなったりする原因に。ファスティングには、そうした不調をケアできるメリットがあります。

元々、断食は宗教的な意味合いで行われていましたが、最近では健康な体づくりを目指したい人やダイエット目的で行う人が増えています。

まさに私、脂っこい物や甘い物を我慢できなくて、体がどんより重い感じが気になっていたんです。

ファスティングに具体的にどんなメリットがあるのか教えてください!

(1)ダイエットしやすい環境に整える

ファスティングと聞いて真っ先に思い浮かぶのが「痩せそう」というイメージなのですが、実際にはダイエット効果を期待しても良いのでしょうか?
そうですね。本来はダイエット目的で行うものではないのですが、ファスティングを行うと老廃物が排出されたり、腸内環境が整ったりすると言われているので、必然的にダイエット効果も期待できます。

食べないダイエットとファスティングの違いは何?

実は私、以前「夕食抜きダイエット」を実践した経験があるんですが、そもそも「食べないダイエット」と「ファスティング」って何が違うんですか?

大きな違いは、ファスティングでは消化器官を使い続けること。

食べないダイエットで消化器官を本当に休ませてしまうのとは違い、ファスティングは酵素ドリンクなどで最低限の栄養をこまめに取って、腸を“動かし続けます”。こうすることで腸内環境を良好に保ち、痩せやすく太りにくい体に整えてくれるんですよ。

(2)肌の調子が整いやすくなる

ファスティングのメリット2つ目は、肌の調子が整いやすくなること。

肌と腸内環境は密接に関係しています。食生活の乱れなどが原因で腸内環境が悪化すると便秘などを引き起こし、腸内に悪玉菌が増加して肌荒れの原因になります。

ファスティングによって腸内環境が整うと、肌荒れの予防にもつながるんです。

たしかに、便秘がニキビなどの肌荒れの原因につながるというのは聞いたことがあります!!

(3)疲れやすさの解消が期待できる

期待できるメリット3つ目が、疲れやすさの解消を促す効果です。疲れやすい人や、普段の生活でどんよりと体が重いように感じる人は、一度ファスティングを行ってみても良いかもしれません。
ファスティングで疲れやすさが解消するんですか!?

ファスティングを行うことで、「インスリン」と呼ばれるホルモンの分泌を抑えて血糖値を安定させやすくする効果が期待できます。
こうしてホルモンの分泌が安定すると、疲れが取れやすくなると言われています。

実際にファスティングを体験された人からも、「疲れが取れた、体が軽くなった」という声を聞いたことがありますよ。

ファスティングに期待できるメリット3つ

・ダイエットしやすい環境に整える
・肌の調子が整いやすくなる
・疲れやすさの解消が期待できる

ファスティングのやり方

ファスティングのメリットを知って、期待が高まった人が多いのではないでしょうか。とはいえファスティングは、正しい知識を持って行うことが大切。

そこでここからは、那須さんに正しいファスティングのやり方を教えてもらいましょう。

ファスティングのスケジュール

ファスティングと一口に言っても、「週末断食」とか「1日プチ断食」とか、たくさんの方法がありますよね。実際のところ、ファスティングはどのくらいの日数行うのが良いのでしょうか?
私がファスティング指導を行う中で、体験者さんにおすすめしていたのは5日間のファスティング。前後5日間ずつ準備食・回復食の期間を設けて行う、計15日間のプログラムです。
じゅ、じゅうごにち!?

長いですよね(笑)。しっかり効果を出すためには、これくらいの時間を掛けてじっくり行う方が良いと個人的には思っています。

ファスティングスケジュールの組み方は、ファスティング本番(固形物を取らない期間)と同じ日数の準備食と回復食の期間を設けることです。

5日間ファスティングのスケジュール例

ファスティング スケジュール※編集部注:5日間ファスティングなど、長めの期間で実施する場合は専門家の指導の下で行いましょう。

準備食・回復食とは? 食べ物の選び方

そもそも、準備食と回復食って何なのでしょうか?

準備食とは、ファスティング期に向けて徐々に体を慣らす食事のこと。回復食は、ファスティング期から元の体に戻すための食事です。

徐々に食事量を減らしていき、少しずつ元に戻す……。ここをしっかり行うのがファスティングを成功させるコツです。

準備食・回復食で食べていい物

では、準備食と回復食ではどんな物を食べたら良いか教えてください!
準備食と回復食のどちらも、「まごわやさしい」を意識した和食がおすすめです。

「ま」:納豆や豆腐などの豆類
「ご」:ごま、ナッツ類
「わ」:わかめや昆布などの海藻類
「や」:野菜類
「さ」:魚類
「し」:しいたけなどのキノコ類
「い」:芋やかぼちゃなどの根菜類

何だか響きだけで体への優しさが伝わってきますね(笑)。

そうですよね。これらの食材を多く取り入れることを意識してみてください。準備食と回復食では脂っこいものを避けた方が良いので、油をあまり使わない調理法がおすすめです。例えば、焼き魚や煮物とか。

また、準備食では少しずつ固形物を減らしていくのがポイント。ファスティング期の前日には具なしのお味噌汁と玄米がゆ……のように調整していくと良いですよ。逆に、回復食では少しずつ固形物を増やしていくと良いでしょう。

準備食・回復食で避けた方が良い食べ物

逆に、こんな食べ物は避けた方が良いという物はありますか?

まず、肉類は避けた方が良いと思います。

人間の体には、古くなった細胞をたんぱく質に作り替える仕組みがあります。この仕組みはファスティングなどで飢餓状態になると活発化しやすくなり、体の不調改善に効果が期待できると言われています。

ファスティング中にたんぱく質が多い肉類などを取ると、せっかくのこの作用を妨げやすくなってしまうんです。

そうなんですね! じゃあ、プロテインとかもNGですか?

そうですね。プロテインの他、アルコールやカフェインを含む飲み物も避けてください。

無難なのはミネラルウォーターです。ファスティング中は食べ物から得られる水分量が減るので、お水をこまめに飲むのを忘れずに。

体格にもよりますが、酵素ドリンクも含めて2リットル程度は水分を取るように意識してください。

お水はたくさん飲む方が良いんですね! 避けた方がいい食べ物は他にありますか?
添加物や砂糖も避けたいので、加工食品やおかしなども控えましょう。

ファスティングのやり方

・ファスティング期と同じ日数を準備食・回復食期としてスケジューリングする

ファスティング中に食べていい物、ダメな物

・「まごわやさしい」を意識した和食は食べてOK
・肉類やアルコール、プロテイン、カフェイン、加工食品は避ける

ファスティング期本番の過ごし方


ではここからは、ファスティング期本番(固形物を取らない期間)の過ごし方を解説します。

準備食で徐々に食事量を減らしたら、いよいよファスティング期本番です。ファスティング期には固形物を一切取らずに過ごします。

先ほども言ったとおり、消化器官を休ませるのではなく“動かし続ける”のがポイント。良質な酵素ドリンクなどで、最低限の栄養を与え続けましょう。

酵素ドリンクってよく聞きますが、そもそも「酵素」って何ですか?

ここで言う酵素とは、果物や野菜などを発酵させた「食物酵素」のことです。

ファスティング期に取るべき栄養素はビタミンとミネラル。酵素ドリンクにはこれらが豊富に含まれているので、ファスティング中の栄養補給にぴったりです。

酵素ドリンクの選び方

酵素ドリンクと言っても、たくさん種類がありますよね? どんな物を選べば良いのでしょうか。

ファスティング中って普段よりも栄養の吸収が良くなりやすいんです。なので、酵素ドリンクは良質な物を選ぶのがおすすめ。

物によっては添加物や人工甘味料がたくさん入っている酵素ドリンクもあるかもしれないので、注意して選びましょう。

避けた方がいい成分の表示例

・安息香酸ナトリウム
・人工甘味料(果糖ぶどう糖液糖など)

もちろん良質な酵素ドリンクを低価格で提供しているメーカーもあるので一概には言えませんが……。成分表示を読むのが難しい場合は、値段が安すぎる物を避けるという選び方でも良いかもしれません。

ちなみに私が実際にファスティングを行った時は、1万円くらいの酵素ドリンクを選びました。自己投資だと思って、ちょっと良いお値段の物を選ぶのもおすすめです。

酵素ドリンクの飲み方

酵素ドリンクはお水で割って飲むのが良いんでしょうか?

そうですね。消化の邪魔にならないように、お水で割って飲みましょう。牛乳や豆乳で割った方がおいしいかもしれませんが、ファスティング期間中は我慢してください。

また、ファスティング期間中は、酵素ドリンクをこまめに飲むのがおすすめです。

分かりました! ちなみに、どうしてもおなかが空いてピンチの時はどうしたら良いんでしょうか……?

ファスティングをすると空腹は訪れます。ファスティングを始める前に心の準備をしてから挑みましょう。体調不良などではなく単なる空腹の場合は、酵素ドリンクをちょっと多めに飲むと良いかもしれないです。

ファスティング期間中に急に多くの栄養を取ると、体に負担が掛かってしまい危険です。「おなか空いたからファスティングや~めた!」って言って急にドカ食いするのはやめましょう。

安易な気持ちで食べ物を口にしてはダメなんですね……。

そうなんですよ。私もファスティングを経験しているので空腹のつらさは分かりますが、安全のためにも急に食事を取るのはやめましょう。

あまりにもフラフラするなどの不調が起きた時は、無理せずファスティングを中止してください。ただしその時も急に元の食事に戻すのではなく、酵素ドリンクを多めに飲むなど、少しずつ栄養を入れていくのがポイントですよ。

ファスティング期本番の過ごし方

・良質な酵素ドリンクをこまめに飲む
・なるべくお水をたくさん飲む
・間食や急な栄養補給を控える(ファスティングを中止する場合も徐々に栄養補給を!)

ファスティングを行う時の注意点

最後に、ファスティングを行う時の注意点を聞きました。

(1)体調が悪くなったら無理せず中止する

読者の皆さんに伝えておきたいのが、ファスティングで体調が悪くなったら無理せず中止してほしいこと。

具体的には、あまりにもフラフラするなど、貧血のような症状が現れたら中止してください。

無理して体調が悪くなっては元も子もないですもんね。

そのとおり。また、ファスティング期間中は塩分の摂取量が減るので、頭痛が起こることがあります。

この場合、具なしのお味噌汁などを飲んで対処するのを個人的にはおすすめしています。

なるほど。あと、便秘になった場合はどうしたら良いですか?

ファスティング中は便の量が減る人も多いです。逆にドバーっと出る人もいますが、やっぱりそこは個人差がありますね。回復食が終わったら便の量は自然と元に戻る場合が多いでしょう。

ファスティングを行うと、初めのうちはこうした頭痛や便秘などの体調の変化を感じます。そのため頭痛や便の量が減る、水っぽいなどの症状が起こっても過度に慌てふためく必要はありません。

とはいえ、「これはおかしい」と心配になったら安易に判断せず、ファスティングを中止して専門医に相談してくださいね。

(2)ファスティング中はなるべく体を温める

ファスティング期間中、他にはどんなことに気をつけたら良いですか?

次に意識してほしいのが、体を温めること。ファスティング期間中は体が省エネモードになっているので、冷えやすいんです。

しっかり湯船につかったり、白湯を飲んだりして体を温めてあげましょう。あとは、ウォーキングなどの軽い運動を行うのもおすすめです。

運動は積極的に行った方が良いんですね!
はい、ただし無理は禁物。激しい筋トレなどは避けて、ウォーキングなど無理なくできる軽めの運動を心掛けましょう。

(3)妊娠中や生理中はファスティングを行わない

ファスティングにはやり方がたくさんあって、本当はその人の体調や体質を見ながら進めていくべきものなんです。今回は一般的なやり方を紹介しましたが、それが合わない人も当然います。

中には、ファスティングを行わない方が良い人もいるんですよ。

そうなんですね。具体的には、どんな人がファスティングをやってはいけないんですか?

妊娠中や授乳中の人、また生理中の人は、貧血などが起こりやすいのでファスティングを避けた方が良いでしょう。また、貧血の人もファスティングを行わないでください。

また、元々かなり痩せている人にもおすすめしません。他にも、ホルモン剤を服用している人や持病を持っている人は、医師に相談してからファスティングを行ってください。

ファスティングを行う時の注意点

・体調が悪くなったら無理せず中止する
・ファスティング中はなるべく体を温める、軽い運動も◎
・妊娠中や生理中、痩せすぎや貧血などの人はファスティングを行わない

編集部のファスティング実践レポ

では最後に、編集部員が実際にファスティングを実践した時の様子を紹介します。今回は、編集部員のあーりん、うっちー、たじーの3人が挑戦!

全員がファスティング初心者なので、今回、固形物を取らない期間は1日だけ。準備食と回復食は長めに3日間ずつ取る、計7日間のプログラムを実践してみました。

7日間で得られた効果

ファスティング 効果

あーりん

体重は7日間で-1.6kg、ウエストは-3.7cmを達成! 運動はしてないし、自炊じゃなくてほぼコンビニごはんだったけど効果を得られてうれしい!

この7日間を通して一番変わったのは、食べ物の選び方。特にカロリーが気になるようになって、「缶チューハイ1本200kcalなら、米食べたいよなぁ」みたいな思考になりました。

ジュースとか生クリームのおかしでカロリー摂取するのがもったいないと思うようになり、食生活が変わったかも。

うっちー

私は体重-1.4kg、ウエストは-2.5cm減でまずまずの成果! 時々軽い運動をしたり、スーパーのお惣菜と自炊をうまく組み合わせたりして7日間過ごしました。

7日間を終えて、食べる量がぐっと減った気がする。毎朝おなかがすいて目覚めるし、体も軽い気がして調子が良い! ダイエットのスイッチが入ってヨガに入会し、ファスティング終了後も体重をキープできています!

今まで外食やお惣菜に頼りがちだったけど、今回「まごわやさしい」を意識した食事を自炊してみて、「自分で焼いた鮭まじうめえ」って気づけたのもかなり良かった!

たじー

毎日運動、自炊した私は、体重-1.9kg、ウエストは-3.1cm減でした!

ただ、体重やウエストがどれだけ減ったかはそんなに重要ではなくて、一番感じたのが食べられることのありがたみ。食べ物に対する感謝の気持ちでいっぱいに……。

でも、1日だけの断食だったからか、体重やウエストを私はキープできなかったのが心残りです。初めてなので短い期間でやってみたけど、今度は那須さんおすすめの5日間ファスティングを試してみたい!!

参考記事はこちら▼

編集部員が計7日間のファスティングを体験。期間中、食べていた物や体重の推移などはこちらの記事をチェック。

参考記事はこちら▼

専用のジュースでファスティングを行う「ジュースクレンズ」の体験レポート。やり方や得られた効果を詳しく紹介しています。

ファスティングを通して自分の体と向き合おう


ファスティングについての疑問は解消できましたか? 実際にやってみても分かりましたが、効果を得るためにも、安全のためにもファスティングは正しい知識を持って行うことがとても大切。

また、どれだけ痩せるか……ではなく、自分の体と向き合うことがファスティングの目的なのかもしれません。普段の食生活が自分の体やメンタルにつながっていることを感じられたら、きっとそれはファスティングの効果!

ファスティングを通して自分の体と向き合い、その後の食生活を気に掛けられると良いですね。

(監修:那須由紀子、取材・文:田島佑香/マイナビウーマン編集部)

※本記事は専門家の見解に基づき解説しております

※画像はイメージです

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