人と人を繋ぐ「つなキャリ」。ふるさとチョイス藤井楓さんの働き方
「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。
取材・文:鈴木麻葉/マイナビウーマン編集部
撮影:大嶋千尋
“ふるさと納税”と聞くとあなたは何を思い浮かべますか? 地元を応援するため、おいしい返礼品を受け取るため……。目的は人それぞれだと思います。
かく言う私は、返礼品目当てでふるさと納税に参加したことがあるひとり。寄付した自治体は、名前すら知らない町でした。
「きっかけは返礼品目当てでもいいんです! そこから地域の取り組みを知っていただければ……」
そう話すのは、ふるさと納税総合サイトを運営する 株式会社トラストバンクでふるさと納税を推進する部署・ふるさとチョイス事業本部に勤める藤井楓さん。
藤井さんの役目は、全国の自治体職員さんに地域の課題をヒアリングしながら、一緒に解決に導くお仕事。取材中に至るところで感じた自治体ファーストな精神は、いったいどこからきているのか。常に前向きに自治体に向き合う姿勢について伺いました。
離れて分かった地元の魅力
畑違いの仕事で感じたギャップ
まずは会社として、「利益のためよりも地域のため」というのが第一の柱としてあり、最初はそこに驚きましたね。前の会社では、いかに利益を出すかという指針で考えればよかったので、分かりやすかったんですけど、「本当に地域のためになるのか」は答えがないので、最初は難しかったです。でも、逆に今はそれがすごくやりがいにもなっています。
日頃から自治体さんとお話する機会が多く、自分の関わっている案件が“何のためになっているのか”というのが分かりやすいところも、私のモチベーションになっていますね。
あと最初は、電話口や社内で飛び交う自治体名が聞き取れなくて大変でした(笑)。
今はコロナの影響もあり、なかなか難しいですけど、以前は出張も多かったですね。ちょっとした雑談や、お昼をご一緒すると、担当者の人柄や思いが伝わってくるので、直接お会いしたほうが関係性は築きやすいですね……。
そうなんですよ! 本当は飲み会がメイン(笑)。
トラストバンクとして、自治体さんは、お客さまというよりは、地域のために一緒に頑張る仲間みたいな感覚で取り組んでいて、物理的な距離はあるんですけど、心の通った距離感で、自治体さんが目指すところに“伴走する”ことをチームとしては掲げています。
「何か力になれることはないか常に考えています」
職員さんは3、4年で異動されることが多いので、職員向けにふるさと納税の基礎知識をお伝えするセミナーを開催しています。
あとは、職員さん同士を繋げることにも取り組んでいます。あくまで私たちは自治体ではないので、同じ立場で相談出来る人を作ることで、切磋琢磨していろいろな取り組みが出来るように、職員さんを繋げることは、定期的に行っていますね。
相手の立場に立って寄り添うこと
根っからのポジティブなタイプではないと思います。でも、日頃やり取りをしている自治体職員さんが、地域や市民のためを思って頑張っている姿を見ている中、自分に出来ることを考えたときに自分も前を向くしかない! という感じです(笑)。
熱い思いがある地域の方と関わるからこそ、自分も前に向かって進めているような気がします。
スタッフによってタイプが違うのですが、私は「寄り添い型」。他の業務と兼務されている職員さんも多く、忙しくて手が回らないというお言葉をもらうこともあります。そんな時、まずは職員さんの状況を伺ったり、想像して今出来ることから提案してみたり……。私は熱血というよりは、寄り添う形でお話を伺うようにしていますね。
今、私たちに出来ること
やはり、ふるさと納税は自分で地域を決めて寄付出来るので、地元を離れていても応援出来る一つの手段かな、と思います。その中でも、寄付するときに地域宛にメッセージを送ることが出来るんですよ!
寄付をしてくださる方がどんな風に応援してくれたかというのは、職員さんたちの励みになるんです。その言葉だけでも支援に繋がっているな、と実感しているので、ぜひメッセージを書いていただけると嬉しいですね。
ふるさとチョイスを通して「未来を繋いでいきたい」
社内外でも、思いやりと尊敬を大切にしていますね。私の中ではすみ分けていて、思いやりは「相手の視点になって考えてみること」、尊敬は「上下関係なく、みんなそれぞれの役割・立場で頑張っていることに敬意を持つこと」。
自分ひとりでは出来ることは少ないですが、事業を通じていろいろな提案を行い、未来に繋げることが出来るポジションにいると思うので、ふるさと納税を通じて、地域のために動いてくださる職員さんのために、今後も情報を発信していったり、職員さん同士を繋げる活動を続けていければと……。
繋げたところから新たに創出されることもあると思うので、そのきっかけを作れればうれしいです。