お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

【時候の挨拶】7月に使える挨拶言葉は? 書き方や文例を紹介

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

仕事で案内状などの文面を作成する時、プライベートでかしこまった手紙を書く時など、どう書き始めたらいいか悩みませんか? そこで便利なのが「時候の挨拶」。今回はライティングコーチの前田めぐるさんに、7月の時候の挨拶を教えてもらいました。

梅雨が明けると、夏も本番。

7月は「暑いですね」が挨拶がわりという人も多いのではないでしょうか。

近年は、記録的な暑さが連日ニュースになることも増えてきました。そんな季節に、ふと涼風が吹き抜けるような言葉が届いたら格別です。

心づくしに、夏ならではの景色を紡いでみてはいかがでしょう。

時候の挨拶とは?

時候の挨拶とは、季節や月の気候・行事を踏まえた挨拶で、手紙やメールの初めの部分に書く言葉や文章を指します。

「○○の候」のように、「熟語などの一語」+「候」という形もあれば、「梅雨明けと同時に連日の夏日です」のように、文として書く形もあります。

ビジネスシーンやプライベートでは、書面や手紙での連絡、改まったメールの冒頭部分において使われます。

7月の「時候の挨拶」

7月の手紙に使える時候の挨拶を紹介します。

「〜の候(頃・季節)」の他に「〜のみぎり」という言葉もあります。「みぎり」とは、「時、折、時節」という意味です。

・「梅雨明けの頃」※地域や年により時期に差があります

・「小暑(しょうしょ)の頃」7月7日頃(〜21日頃)

・「暑中の候」7月中旬

・「大暑(たいしょ)の候(こう)」7月22日頃(〜8月6日)

・「猛暑の候」梅雨明け〜7月末頃

・「蝉時雨(せみしぐれ)の季節」7月全般

・「盛夏(せいか)の候」7月全般

上記の時期は、あくまで目安です。

日本には、春夏秋冬をそれぞれ6つに分けた「二十四節気(にじゅうしせっき)」というものがあります。

「小暑」は春から数えると、二十四節気の11番目。暑気の入り口にあたります。そして、12番目の「大暑」が訪れると、いよいよ夏本番です。

ただでさえ暑い季節ですから、せっかくなら夏ならではの涼や楽しみを感じてもらえるような文面を考えてみましょう。

例えば、夕涼みや花火、ビアガーデンにバーベキュー。さらには、山に海にとアウトドアを満喫できるのが7月。

炎天下での通勤や外出に気をつけながらも、ごほうびとなるようなイベントを楽しみに頑張れるのも、この時期ならではといえます。

また、自然に目を向ければ、ひまわりやスイレン、ユリ、ダリアなど、夏に咲く大輪の花たちが華やかで美しいもの。夏ならではのエネルギーを感じます。

例文

小暑も過ぎ、暑さも本番を迎えましたが、○○さまはお元気でご活躍のことと存じます。

緑陰(りょくいん)恋しい季節となりました。近頃はハンディ扇風機もいろいろ出回り、私も営業の必須アイテムとして持ち歩いております。

暑さ厳しき折、商店街の店先ではミストが涼を醸し出しております。

猛暑到来、冷たいビールがおいしい季節になりました。

青い空に入道雲が湧き立っております。

夏の日差しのもと、○○寺のスイレンが見頃となりました。

7月の「結びの挨拶」(例文付き)

続いては、7月にふさわしい結びの挨拶を紹介します。

「結びの挨拶」とは、本文で用件などを述べた後、結語(「敬白」「敬具」「かしこ」など)の前に添えるものです。

「暑さもまだまだ続きますが、ご自愛くださいますよう願っております」のように、相手の健康を願ったり、「○○さまによろしくお伝えください」などのように、伝言を依頼したりする役割があります。

例文

連日、最高記録が塗り替わるほどの暑さですが、くれぐれも熱中症には気をつけてお過ごしください。

・そちらはまだ暑さの盛りと存じます。どうぞお体をおいといくださいますよう願っております。

熱帯夜が続きますが、しっかり睡眠を取り、英気を養って乗り切りましょう。

仕事帰りに「ビール日和だ!」と杯を交わした日が思い出されます。またぜひ、ご一緒できる日がありますように。

夏空に白い雲を見上げながら、夏商戦のご盛況を祈念しております。

7月の時候の挨拶「シーン別の例文」

時候の挨拶を組み入れた例文を、ポイントとともに以下に紹介します。

7月に使える例文

暑中見舞いは夏の挨拶状の定番です。

昨今は、虚礼廃止の風潮が広まりつつあり、以前ほど活発なやりとりはされなくなっています。

ただし、「虚礼」とは「心のこもっていない形式的な儀礼」のことであり、一律に排除すると決めつけるべきものと限りません。

就職や転職でお世話になった先生、仕事で支援してもらったお客さま。相手との関係性や各自のスタイルで「メールよりもはがきで」と判断した上での暑中見舞いなら、きっと思いが伝わることでしょう。

暑中見舞い(得意先へ)の例文

暑中お見舞い申し上げます《大きな字で書く》

緑陰恋しい季節です。○○店の皆さまにおかれましては、お元気でご活躍のことと存じます。いつも弊社をお引き立て賜り、誠にありがとうございます。

おかげさまで、こちらはスタッフ一同励んでおります。

引き続き、お付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。

時節柄、ご自愛のほどお過ごしくださいますよう願っております。

 ○○年 盛夏

暑中見舞い(返信)の例文

暑中お伺い申し上げます

ご多忙な中、お心遣いのお便りを頂戴し、大変うれしく存じます。

いつもご配慮いただき、心から感謝申し上げます。

○○さまにおすすめいただいた遮音・遮光カーテンのおかげで、予想以上の涼を得て、元気に過ごしております。

《〜元気にしているなど、近況を伝える〜》

ますます暑さが募りますが、皆さまご自愛くださいませ。

まずは、お礼とご挨拶まで申し上げます。

 ○○年 盛夏

暑中見舞いは小暑から大暑にかけて送る便り。7月7日から立秋前日(2021年は8月6日)までに届くように送ります。

つまり、いくら猛暑が続いても、小暑(7月7日頃)までは「暑中見舞い申し上げます」というフレーズは使いません。

また、立秋を過ぎると、暑中見舞いでなく残暑見舞いが適切です。

冒頭では頭語や結語を省き、「暑中見舞い申し上げます」とやや大きめの1フレーズを配して書き始めます。

プライベートな暑中見舞いを送る場合でも、中段では仕事のことや家族のことなど、近況や共通の話題に触れると良いでしょう。

最後は、具体的な日付は書かず、「○○年 盛夏」とします。

時候の挨拶をビジネスレターで使う場合の書き方と注意点

最後に、基本的な手紙の形式と注意点を紹介します。

手紙の形式

手紙の形式に必ずしも決まりはありません。個性的な手紙が喜ばれることも多いものです。

ただし、面と向かって会う時とは違い、特にビジネスシーンでは失礼にならないようにと考えることが多いため、慣習的な順序に沿った手紙の形式があります。

大きく分けると「前文・本文・末文・後付け・副文」の順です。

「前文」:頭語

「頭語」とは手紙の冒頭に用いる言葉で、後述する「結語」と対応するものを用います。

頭語には、次のようなものがあります。

【一般的な頭語】
拝啓・拝呈・啓上・啓白・呈上・拝進

【特に丁重な頭語】
謹啓・粛啓・恭啓・謹呈・敬呈

【返信する場合の頭語】
拝復・復啓・敬復・拝披

【返信が来ないうち再送する場合の頭語】
再啓・再呈・追啓・再白・再陳

【急ぎの場合の頭語】
急啓・急呈・急白・急陳・火急

【時候の挨拶を省略する場合の頭語】
前略・略啓・略陳・草啓・冠省・前省・略省・寸啓

「前文」:時候や安否の挨拶

頭語の後に1文字分空けて、前段で紹介したような「時候の挨拶」を書きます。

事務的な文章では時候の挨拶を省き、「時下ますますご清栄のこことお慶び申し上げます」などと書くこともできます。

安否の挨拶は必須ではありませんが、書く場合には、時候の挨拶の後に続けます。

まず相手の安否に触れてから、次に自分の安否や近況について「私どもは元気に過ごしております」などと述べます。

また病気見舞いや相手側に不幸があった時には、自分側の安否や近況は述べないようにします。

「本文」:起辞

「前文」である時候の挨拶の後に、改行をし、1文字下げて書きます。

起辞とは、書き出しから用件に移る際の接続詞で、「さて・ところで・早速ながら・このたびは・今般」などがあります。

返信の際には「ついては・つきましては」などを使います。

「本文」:用件

起辞に続いて、用件を書きます。

移転・転任・結婚・転職・退任・お礼など、さまざまな用件があります。気配りをしつつも、誤解や不明のことが生じないよう、具体的に書きましょう。

「末文」:結びの挨拶

「本文」の用件の後に、改行をし、1文字下げて書きます。

基本的には相手の健康や繁栄を願う言葉を書きます。さらに、伝言を添える場合もあります。

「末文」:結語

結びの挨拶と同じ行の最下部か、改行した次行の下方へ配置します。

「頭語」と対応させる言葉を用います。具体的には、次のようなものがあります。

【一般的な結語・返信や再送する場合の結語】
敬具・拝具・拝白・敬白・拝答

【特に丁重な結語】
敬白・謹白・謹具・再拝・謹言・頓首

【急ぎの場合・時候の挨拶を省略した場合の結語】
早々・怱々・不一・不二・不備・不尽

「後付け」:日付

「末文」の後に改行し、2~3字下げて年月日を書きます。

「後付け」:署名

日付の次行の下方に、差出人名を(自筆で)書きます。

「後付け」:宛名・敬称

署名の次行の上方に、相手の氏名を書き、「様」「先生」などの敬称を添えます。

宛名が連名の際は、敬称はそれぞれに付けます。なお、「御中」は会社や団体に用います。

「副文」

副文とは、書き漏れたことや付け加えたいことを短く添える文章のこと。「追伸・追白・尚々」などと書き出します。

ただし、副文には「重ねて申し上げる」というニュアンスがあるため、お悔やみ状や目上の人への手紙では使用しないのがマナーです。

時候の挨拶についての注意点

お詫び状や見舞状など、急な手紙では頭語や時候の挨拶を省き、以下のようにすぐ本文に入ります。

お詫び状(例文)

・先般はご迷惑をお掛けし、大変申し訳なく思っております。

災害の見舞い状(例文)

・このたびの台風○○号による浸水、被害が大きく心配しております。状況はいかがでしょうか。

病気の見舞状(例文)

・このたびはご入院されたとのこと、驚いております

病気見舞いでは「たびたび」「四」などの忌み言葉に気を付けましょう。

また、長期の入院で文通のようにやりとりしている手紙では、季節の言葉も入れて良いでしょう。

コロナ禍で会えない時期にこそ

7月の時候の挨拶について解説しましたが、いかがでしたか?

例年であれば、ビアガーデンや花火大会で涼を得る時期ですが、コロナ禍ではそれもままなりません。

そんな時には、定型のスタイルに加えて「状況が落ち着いたら、ぜひ皆で会いましょう」「再び、ビールで女子会を楽しめるようになる日が待ち遠しいですね」と、会いたい気持ちを添えるのも良いですね。

心遣いの夏便りは、受け取る相手にとっても心強く、一服の清涼剤となることでしょう。

(前田めぐる)

関連する記事もあわせてチェック!

ビジネスメールでも使える「体調を気遣う言葉」例文

※画像はイメージです

SHARE