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【時候の挨拶】6月に使える挨拶言葉10選。書き方や文例を紹介

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

仕事で案内状などの文面を作成する時、プライベートでかしこまった手紙を書く時など、どう書き始めたらいいか悩みませんか? そこで便利なのが「時候の挨拶」。今回はライティングコーチの前田めぐるさんに、6月の時候の挨拶を教えてもらいました。

6月といえば、梅雨。

降り続く雨に憂うつな気持ちになる一方で、梅雨の合間の青空はうれしいものです。また、空梅雨(からつゆ:梅雨期間に雨が少ないこと)が続けば、雨をありがたく感じます。

そんな身勝手な思いで眺める景色の中で、自然の草花の鮮やかさは、気持ちを浮き立たせてくれます。

「紫陽花」「水芭蕉」「菖蒲(あやめ)」など、彩りや香りを感じつつ、季節の言葉を織り込んだメッセージで心に晴れ間を届けたいものですね。

時候の挨拶とは?

時候の挨拶とは、季節や月の気候・行事を踏まえた挨拶で、手紙やメールの初めの部分に書く言葉や文章を指します。

「○○の候」のように、「熟語などの一語」+「候」という形もあれば、「春とはいえ肌寒い日が続きますが」のように、文として書く形もあります。

ビジネスシーンやプライベートでは、書面や手紙での連絡、改まったメールの冒頭部分において使われます。

6月の「時候の挨拶」

6月の手紙に使える時候の挨拶を紹介します。

「〜の候」の他にも「〜のみぎり」という言葉もあります。「みぎり」とは、「時、折、時節」という意味です。

・「初夏の候」5月全般〜6月初旬

・「青葉の候」6月初旬

・「入梅(にゅうばい)の頃」6月初旬頃。年や地方によってかなり差があります

・「長雨(ながあめ)の折」梅雨入り以降

・「梅雨の季節」梅雨入り以降

・「梅雨寒(つゆざむ)の頃」6月中旬から下旬。肌寒い時に使う

・「衣替えの季節」6月初旬

・「若葉雨(わかばあめ)の季節」6月全般

・「深緑(しんりょく)のみぎり」6月全般

・「向暑(こうしょ)のみぎり」6月全般

上記の時期は、あくまで目安です。

特に入梅の日は、平年値より2週間以上の差があったり、地域によっても10日前後の差があったりします。

もし「入梅の頃」と使う場合には、相手の地域が梅雨入りしているかどうかを目安にしましょう。

「若葉雨」と同様、この時期の青葉を濡らす雨には、「翠雨(すいう)」「青雨(せいう)」「緑雨(りょくう)」などさまざまな呼び名があります。

長雨の中でも、青葉のまぶしさや艶めきを愛でる、日本ならではの豊かさを感じますね。

雨が続くと、つい「ジメジメした毎日」「うっとうしい日が続きます」などと書きたくもなりますが、相手が明るく晴れやかな気持ちになったりするような文章を工夫するのも楽しいものです。

例文

雨の中で紫陽花が鮮やかに目に映り、○○さまの笑顔を思い出しております。

梅雨明けが待たれる頃、新天地にてご活躍のご様子が目に浮かぶようです。

向暑のみぎり、営業にはハードな日々が続いておりますが、皆さまご壮健にてお過ごしのことと存じます。

梅雨寒の日々が続いておりますが、お便りをいただき、温かい気持ちになりました。

6月の時候の挨拶「結びの言葉」(例文付き)

続いては、6月にふさわしい結びの挨拶を紹介します。

「結びの挨拶」とは、本文で用件などを述べた後、結語(「敬白」「敬具」「かしこ」など)の前に添えるものです。

「末筆ながら、○○さまのご健康とご活躍を願っております」のように、相手の健康や繁栄を願ったり、「○○さまによろしくお伝えください」などのように、伝言を依頼したりする役割があります。

例文

空梅雨(からつゆ)で、水不足が気がかりなこの夏。適度に備えつつ、健やかに過ごしましょう。

・長雨の中で目にする紫陽花も風情がありますね。くれぐれもご自愛くださいますよう願っております。

汗ばむ日々が続きますが、またおいしいビールをご一緒できることを楽しみにしております。

6月の時候の挨拶「シーン別の例文」

時候の挨拶を組み入れたビジネスシーンの例文を、ポイントともに以下に紹介します。

6月に使える例文

年度が改まって2カ月。新たな商品やサービスで意欲を燃やす企業では、ビジネスパートナーにも積極的に働きかけていきたいものです。

ビジネスシーンでも作成する機会が多い、新商品・サービス案内状の例文を紹介します。

案内状(例文)

拝啓 緑雨の季節、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。日頃はご厚情を賜(たまわ)り、ありがとうございます。

 さて、このたび弊社ではかねてよりご要望の多かった○○について、下記の通り新サービスを開発いたしました。

 業界のみならず日本全体が出口を模索する今(~開発の背景を述べる~)、多くの企業さまにとって対策の切り札になるものと自負しております。

 つきましては、パートナー企業さまのための先行試用期間をご用意いたしました。同封説明書をご参照の上、この機会にぜひともご活用いただき、販路開拓の一助としていただけましたら、幸いこの上ございません。

 ご不明のことがございましたら、担当○○(Email: xxx@yyy.co.jp TEL:090-000-000)まで何なりとお問い合わせくださいますようお待ち申し上げます。

 末筆ながら一層のご発展を祈念いたしますとともに、今後ともよろしくお引き立てのほどお願い申し上げます。

敬具

新商品・サービスの紹介状は、説明書やチラシなどを同封できない場合には、HP上に詳細ページを設けて、URLを案内するようにしましょう。

また、複数の書類を送付した場合、受け取った相手が上司に見せて相談したり、預けたりすることで、バラバラになることも十分考えられます。

そのため、問い合わせ先(メールアドレスや電話番号)が説明書やHPに書かれていても、上記のように案内文中にも挿入しておくと親切です。

時候の挨拶をビジネスレターで使う場合の書き方と注意点

最後に、基本的な手紙の形式と注意点を紹介します。

手紙の形式

手紙の形式に必ずしも決まりはありません。個性的な手紙が喜ばれることも多いものです。

ただし、面と向かって会う時とは違い、特にビジネスシーンでは失礼にならないようにと考えることが多いため、慣習的な順序に沿った手紙の形式があります。

大きく分けると「前文・本文・末文・後付け・副文」の順です。

「前文」:頭語

「頭語」とは手紙の冒頭に用いる言葉で、後述する「結語」と対応するものを用います。

頭語には、次のようなものがあります。

【一般的な頭語】
拝啓・拝呈・啓上・啓白・呈上・拝進

【特に丁重な頭語】
謹啓・粛啓・恭啓・謹呈・敬呈

【返信する場合の頭語】
拝復・復啓・敬復・拝披

【返信が来ないうち再送する場合の頭語】
再啓・再呈・追啓・再白・再陳

【急ぎの場合の頭語】
急啓・急呈・急白・急陳・火急

【時候の挨拶を省略する場合の頭語】
前略・略啓・略陳・草啓・冠省・前省・略省・寸啓

「前文」:時候や安否の挨拶

頭語の後に1文字分空けて、前段で紹介したような「時候の挨拶」を書きます。

事務的な文章では時候の挨拶を省き、「時下ますますご清栄のこことお慶び申し上げます」などと書くこともできます。

安否の挨拶は必須ではありませんが、書く場合には、時候の挨拶の後に続けます。

まず相手の安否に触れてから、次に自分の安否や近況について「私どもは元気に過ごしております」などと述べます。

また病気見舞いや相手側に不幸があった時には、自分側の安否や近況は述べないようにします。

「本文」:起辞

「前文」である時候の挨拶の後に、改行をし、1文字下げて書きます。

起辞とは、書き出しから用件に移る際の接続詞で、「さて・ところで・早速ながら・このたびは・今般」などがあります。

返信の際には「ついては・つきましては」などを使います。

「本文」:用件

起辞に続いて、用件を書きます。

移転・転任・結婚・転職・退任・お礼など、さまざまな用件があります。気配りをしつつも、誤解や不明のことが生じないよう、具体的に書きましょう。

「末文」:結びの挨拶

「本文」の用件の後に、改行をし、1文字下げて書きます。

基本的には相手の健康や繁栄を願う言葉を書きます。さらに、伝言を添える場合もあります。

「末文」:結語

結びの挨拶と同じ行の最下部か、改行した次行の下方へ配置します。

「頭語」と対応させる言葉を用います。具体的には、次のようなものがあります。

【一般的な結語・返信や再送する場合の結語】
敬具・拝具・拝白・敬白・拝答

【特に丁重な結語】
敬白・謹白・謹具・再拝・謹言・頓首

【急ぎの場合・時候の挨拶を省略した場合の結語】
早々・怱々・不一・不二・不備・不尽

「後付け」:日付

「末文」の後に改行し、2~3字下げて年月日を書きます。

「後付け」:署名

日付の次行の下方に、差出人名を(自筆で)書きます。

「後付け」:宛名・敬称

署名の次行の上方に、相手の氏名を書き、「様」「先生」などの敬称を添えます。

宛名が連名の際は、敬称はそれぞれに付けます。なお、「御中」は会社や団体に用います。

「副文」

副文とは、書き漏れたことや付け加えたいことを短く添える文章のこと。「追伸・追白・尚々」などと書き出します。

ただし、副文には「重ねて申し上げる」というニュアンスがあるため、お悔やみ状や目上の人への手紙では使用しないのがマナーです。

時候の挨拶についての注意点

お詫び状や見舞状など、急な手紙では頭語や時候の挨拶を省き、以下のようにすぐ本文に入ります。

お詫び状(例文)

・先般はご迷惑をお掛けし、大変申し訳なく思っております。

災害の見舞い状(例文)

・このたびの台風○○号による浸水、被害が大きく心配しております。状況はいかがでしょうか。

病気の見舞状(例文)

・このたびはご入院されたとのこと、驚いております。

病気見舞いでは「たびたび」「四」などの忌み言葉に気を付けましょう。

また、長期の入院で文通のようにやりとりしている手紙では、季節の言葉も入れて良いでしょう。

梅雨時の挨拶では気象にも気配りを

梅雨と聞けば、しとしとと静かに降り続くイメージが強いかもしれません。

しかし、最近ではゲリラ豪雨や線状降水帯などにより、局地的な被害を受ける例も少なくありません。

相手が被害を受けたことを知らず、「雨もまた風情がありますね」などうっかり送ってしまうと、後悔することになりかねません。

そんなことにならないよう、時候の挨拶を書く時には、気象情報やニュースをチェックしておきましょう。

「こちらは梅雨入りしたけれど、先方はどうだろう」「真夏日も増えてきたけど、○○さんがお住まいの地域はどうかな」と、しばし思いを馳せることができるのも、時候の挨拶を考える時の温かい副産物だといえそうです。

(前田めぐる)

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※画像はイメージです

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