「ご自愛ください」の意味と使い方。目上の人にも使える?正しい使い方
「ご自愛ください」という表現は、相手の体調を気遣う表現として使われます。今回は、「ご自愛」について正しい意味や使い方、使う上での注意点を解説します。思いやりの心を正しく表現できるようにしましょう。
手紙やビジネスシーンで「ご自愛ください」という表現を目にしたことのある人は多いのではないでしょうか。
しかし、「ご自愛」というワードについて正しい意味や使い方をしっかりと把握している方は少ないかもしれません。
思いやりの心を表現する「ご自愛」ですが、間違った使い方をしてしまうと逆効果になってしまうことも。
使う上での注意点や正しい用法を学んで、美しい日本語を使えるようになりましょう。
「ご自愛」とは?
まずは、「ご自愛」の読み方や意味、使い方などを紹介します。
「ご自愛(じあい)」の意味
「ご自愛」という言葉の正しい読み方は、「ごじあい」です。
自分を愛するという漢字を使っている「ご自愛」は、「自分を大切にして病気やけなどがないようにすること」を意味しています。
そこから転じて、体を大事にするように相手を気遣う言葉となりました。
相手に対する思いやりを表現することができる言葉なのです。
目上の人にも使える言葉
「ご(お)〜ください」の構文は基本的には敬語表現であることから、「ご自愛ください」を目上の人や取引先など、敬わなくてはならない相手対して使っても問題ありません。
また、目下の人や同等の立場の人に対して使っても問題のない表現です。
全ての人に向けて使うことのできる体を気遣う表現として覚えておくと良いでしょう。
「ご慈愛ください」との違いは?
「慈愛」も同じく「じあい」と読みますが、相手の体を気遣う意味で使いたい場合には「ご慈愛ください」と間違わないように注意が必要です。
「慈愛」は、子どもをかわいがるような慈しみ愛する気持ちという意味なので、「ご慈愛ください」は「私に愛情を注いでください」と言っているようなものです。
全く別の意味になってしまうので、漢字変換には注意してください。
「ご自愛ください」を使う上での注意点
どんな立場の人にも使える「ご自愛ください」ですが、使う時には以下2つのことに注意しましょう。
相手を気遣うはずが、失礼にあたってしまうこともあるので、しっかりとポイントを押さえた上で使うようにしてください。
「お体ご自愛ください」はNG
「ご自愛」自体に、自分自身の身体を大事にして労わるという意味が含まれているので、「お体をご自愛ください」という表現になると、同じ意味を重ねていることになるので好ましくありません。
「ご自愛ください」のみで正しい表現なので、この言葉を使う際にはその点に気をつけてくださいね。
体調の悪い人には使わない
「ご自愛ください」を使って良いのは、基本的に心身共に健康で元気な人が対象です。
「体調を崩さないように気をつけてください」という意味を表現する言葉なので、風邪や病気など、すでに体調が悪い人には使わないようにしましょう。
気遣うつもりが、言われた相手からしてみたら嫌味のように感じられてしまうこともあり得ます。
体調の悪い人に対しては、「早い回復をお祈りしています」などといった別の表現を使うようにしてください。
「ご自愛ください」を使うシーン(例文付き)
ここからは「ご自愛ください」を実際に使うシーンを紹介していきます。
基本的には文面で見ることが多いかもしれませんが、対面している時にも使える便利な表現です。
例文と一緒に紹介していくので、スムーズに使えるようにしておきましょう。
年賀状や暑中お見舞いの添え書きで
季節の変わり目や年度の変わり目は、どうしても体調を崩しやすいものではないでしょうか。
そのような時期に送る年賀状や暑中お見舞いの締めのあいさつとして、「ご自愛ください」は適切な表現です。
暑中お見舞いの締めの言葉で使うのであれば、以下のように使ってみましょう。
例文
・これからもまだまだ暑さが続きますので、くれぐれもご自愛ください。
手紙を送る時期に合わせて、「ご自愛ください」と一緒に使う言葉を選ぶと自然な締め言葉が出来上がります。
年賀状を出す寒い季節に合わせるのであれば、「寒さが増しますが」「厳寒の折」などといった言葉と一緒に使ってみてください。
ビジネスシーンでの締めの言葉に
ビジネスシーンにおいて、取引先や上司とメールを交わすこともあるでしょう。
手紙と同じように「ご自愛ください」はメールの締め言葉としても使うことができます。
手紙のように季語と一緒に使うのはもちろん、相手の忙しさを気遣うような表現を用いるのもおすすめです。スムーズな人間関係を築くのにも一役買うことでしょう。
例文
・御多忙の折とは存じますが、何卒ご自愛くださいませ。
思いやりの表現として
文面でなく、対面している時にも相手を思いやる表現として使うことができます。
例えば、取引先に赴いた時の締め言葉として使う、上司や部下に対する気遣いのあいさつで使うシーンなどが考えられるでしょう。
使い方としては文面とあまり変わらず、時期に合った言葉や相手を気遣う一言を添えるとなお良いです。
例文
・天候が変わりやすい時期ですが、何卒ご自愛ください。
コロナ禍で相手へ気遣う表現として
新型コロナウイルスはまだまだ終息せず、多くの企業や人が影響を受けている状況です。
そんなコロナ禍だからこそ、相手を思いやる気持ちを強く表現すると良いでしょう。
例文
・気疲れがたまらないようにご自愛ください。
・ご自愛のほど心よりお祈り申し上げます。
「ご自愛ください」への返答の仕方
もし相手から「ご自愛ください」と言われた場合には、どのような返答をしたらいいのでしょうか?
その場合、気遣ってもらったことへ感謝を伝えて、同じように相手の体を気遣う言葉をかけるのが良いでしょう。
ただ、相手と同じように「ご自愛ください」で返答するのは、いささか物足りなく感じます。
次の項目でも紹介しますが、「お体にお気をつけてお過ごしください」など別の表現を使うことをおすすめします。
「ご自愛ください」の類語や言い換え表現
ここでは、「ご自愛ください」に似た表現を紹介します。
相手を気遣う言葉をいくつか知っておけば、ワンパターンな表現になることなく、気持ちを伝えることができます。
「お体にお気をつけください」
とてもオーソドックスで、ストレートに体調を気遣う言い回しです。
「ご自愛ください」や他の言い回しに自信がなければ、この表現を使っておけば間違いないでしょう。
「お労りください」
「労わる」という言葉は、「大切にする」という意味を含んでいます。
そのため、相手の健康や体調を気遣う表現として使うことができます。
「お体をお労りください」のように、多忙な相手や疲れていそうな相手を気遣う表現として活用できます。
「ご健康を心よりお祈り申し上げます」
特に手紙やメールなどの文面で見られる表現です。ストレートな表現なので、使いやすいのではないでしょうか。
ビジネスメールだと「ご健勝をお祈り申し上げます」といった表現も定番です。
相手の健康に加えて、繁栄を祈る言葉なので、ビジネスシーンで使うのに適しています。より格式高い表現をしたいのであれば、「ご健勝」を使ってみると良いでしょう。
英語で表現するなら「take care」
「ご自愛ください」を英語で表現したいのであれば、「take care」がおすすめ。
この言葉をそのまま使うとカジュアルな印象になりますので、ビジネスシーンや目上の人に使いたいのであれば「Please take care of yourself」と表現するのが良いでしょう。
直訳すると「自分自身を大切にする」といった意味になるので、日本語と同じような意味合いで使う言い回しなのです。別れ際のあいさつとしてもよく使われます。
思いやりの心を「ご自愛」で表現してみよう
「ご自愛」は相手の体調や健康を気遣って使われる言葉です。目上の人や取引先の人だけでなく、目下の方や同僚にも平等に使うことができるので、使いやすい言い回しではないでしょうか。
コロナ禍だからこそ、相手を気遣う表現と使えると、お互い気持ちの良い関係が築けるはずです。
例文を参考にしながら、「ご自愛ください」をぜひ活用してみてください。
(たむたむ)
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