ガバナンスとは? 意味や使い方、コンプライアンスとの違いを解説
会議などで「ガバナンス」という言葉が出てきて、意味が分からずに困った経験はありませんか? 今回は、ビジネス用語に詳しいライターの上色ゆるりさんに「ガバナンス」の意味や使い方、コンプライアンスとの違いについて教えてもらいました。
近年、ビジネスにおいてカタカナ語が用いられる機会がどんどん増えています。
「ガバナンス」という単語もそのうちの1つ。しかし、日常生活ではほとんど使われない言葉なので、どういう意味なのか全く知らないという人も多いでしょう。
そこで今回は、「ガバナンス」の意味や正しい使い方について解説します。
混同してしまいやすい「コンプライアンス」との違いについても説明しますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
「ガバナンス」とは? ビジネスにおいての意味
そもそも「ガバナンス」とは、どういう意味の言葉なのでしょうか。
まずは本来の意味と語源から見ていきましょう。
「ガバナンス」の本来の意味と語源
ガバナンスとは、「統治」を指します。
ガバナンス
統治。日本では、多くコーポレートガバナンス(企業統治)の意味で使われる。
(『デジタル大辞泉』小学館)
また、ガバナンスの語源は、英語の「governance」から来ています。
governance
統治、管理、支配。
(『新英和中辞典』研究社)
では、ビジネス用語としての「ガバナンス」には、一体どのような意味があるのでしょうか。
ビジネス用語としての「ガバナンス」の意味
「ガバナンス」はビジネスにおいて、企業内部の統制を取ること、管理体制を構築することを指します。
社員が不正を働いたり、企業が法に反する行動を起こしたりなど、企業にとっての損失が発生しないよう管理する制度のことを「ガバナンス」と呼びます。
「ガバナンス」を日本語に言い換えると「企業統治」
「ガバナンス」は日本語で、「統治」「統制」「管理」「支配」と言い換えることができます。ビジネスシーンでは、「企業統治」と言い換えられることが多いようです。
例えば「ガバナンスの改革」を日本語で伝えたい時は、「企業統治の改革」と言い換えると良いでしょう。
「ガバナンス」の意味を全く知らないという人も、まだまだ多いのが現状です。
分からない単語を使ってしまうと、相手に話の内容がうまく伝わらないなど、コミュニケーションに支障をきたす可能性があります。「難しい単語を使うなんて不親切な人だ」と思われてしまうことも。
相手や状況に合わせて使い分けできるよう、日本語でも言い換えられるようにしておきましょう。
「ガバナンス」を使った例文
実際に「ガバナンス」とは、どのような使い方をされるのでしょうか。
ここからは、「ガバナンス」の使い方を見ていきます。
ビジネスシーンでよく使われる例文と合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「ガバナンスを効かせる」
「ガバナンスを効かせる」とは、企業内部の統制を取るため徹底して管理することを意味します。会社の経営会議やビジネスニュースなどでよく使われる言い回しです。
また、「ガバナンスが効いている」とも応用できます。企業内部の統制が取れている状態を指す言葉です。
反対に、統制が取れていない状態は、「ガバナンスが効いていない」と言います。
それでは具体的な例文を紹介します。
例文
・最悪の事態を回避するため、自社もガバナンスを効かせる必要がある。
・A社が長年、安定して経営できているのは、ガバナンスが効いているのが大きな理由だ。
・ガバナンスが効いていない状態がこのまま続くと、いつかは倒産に追いやられる恐れもあるだろう。
「ガバナンス強化」
「ガバナンス強化」とは、企業内部を統治するため、管理を強化することを意味します。単語1つにまとめず、「ガバナンスを強化する」と崩して言い換えることもできます。
すでにガバナンスを取り入れている企業が、より管理体制を改善する場合などに多く使われる言い回しです。
ビジネスシーンではもちろん、最近ではニュースでもよく見かける言葉なので、覚えておくと便利ですよ。
例文
・自社は、今年度から経営陣が変わるのと同時に、ガバナンス強化を行う予定だ。
・雇用社員を大幅に増やす予定ならば、より一層ガバナンスも強化する必要があるだろう。
・今後、海外進出も視野に入れているので、今のうちにガバナンスの強化に力を入れていきましょう。
「コーポレート・ガバナンスコード」
「コーポレート・ガバナンスコード」とは、企業の内部統治を構築する時に必要な、ルールや指針となるもののこと。
“企業”を意味する「コーポレート」、“統治”を意味する「ガバナンス」、“規約”や“規定”を意味する「コード」の3つの単語から成る用語です。
一般的には、金融庁と東京証券取引所が定めた「ガバナンスコード」のことを指して使われています。
ここで、「コーポレート・ガバナンスコード」を使った例文をご紹介します。
例文
・金融庁と東京証券取引所が、今年の3月にコーポレート・ガバナンスコードを改訂するとの発表があった。
・コーポレート・ガバナンスコードの報告書を、来月末までに提出する必要がある。
・コーポレート・ガバナンスコードの改定案に一度目を通しておいてください。
「ガバナンス」と「コンプライアンス」の違い
「ガバナンス」と似た意味合いを持つ、「コンプライアンス」。同じようなニュアンスがあるため混同して覚えてしまいがちですが、実はこちらの2つには違いがあります。
間違って使ってしまわないよう、「コンプライアンス」の意味、そして「ガバナンス」との違いを確認しておきましょう。
ビジネス用語としての「コンプライアンス」は「法令遵守」
コンプライアンスとは、「服従」や「追従」を意味する言葉です。
コンプライアンス
要求や命令への服従。コンプライアンス
要求や命令への服従。
(『デジタル大辞典』小学館)
また、コンプライアンスの語源は、英語の「compliance」から来ています。
compliance
(1)(要求・命令などに)応じること、応諾、追従〔with〕。
(2)人の願いをすぐ受け入れること、迎合性;人のよさ、親切。
(『新英和中辞典』研究社)
ビジネス用語として使われる「コンプライアンス」には、「法令遵守」という意味があります。企業が、社内ルールや法律、社会的な倫理、常識に従って経営していくことを指します。
「コンプライアンス」は、ある基準やルールに従うという点では、「ガバナンス」と似たニュアンスがあります。
では、2つの単語には一体どのような違いがあるのでしょうか。
「ガバナンス」はコンプライアンスを守るための「管理体制」
前述の通り、ビジネス用語としての「コンプライアンス」の意味は、「法令遵守」です。
そして、その「コンプライアンス」を守るための管理体制が「ガバナンス」です。ガバナンスを効かせることは、コンプライアンスを守ることにつながります。
「コンプライアンス」は第三者が定めたルールに従うこと、「ガバナンス」はコンプライアンスに従うために企業統治すること。2つの単語は因果関係で結ばれているということを覚えておきましょう。
ガバナンスが重視される理由
ガバナンスが効いていないと、不正や不祥事が起きた際に管理しきれず、企業が社会的な信用を失ってしまう可能性があります。最悪の場合、倒産に追いやられてしまうことも珍しくありません。
また、企業の内部が不安定な状態だと、目まぐるしく変化する世界経済に対応しきれません。よって、企業が海外に進出するためにも、ガバナンスの強化が欠かせないといわれています。
反対に、ガバナンスが効いている状態であれば、企業の価値や魅力が高まったり、市場競争に勝ち抜くための力を手に入れられたりと、まさに良いことづくし。
よってガバナンスは、企業の倒産や経営不振のリスクを下げるため、そして企業を存続、成長させるため、必要不可欠な要素であるといわれています。
使い方をマスターしていざという時に備えよう
「ガバナンス」は、日常生活ではあまり使う機会のない言葉だと思います。ビジネスシーンにおいても、毎日のように耳にするという人は少ないでしょう。
しかし、取引先の企業や職場の人、顧客とのコミュニケーションで、「ガバナンス」という単語が使われる可能性はゼロではありません。友人や知人との会話の中で登場することもあり得るでしょう。
そんな時のために、どのような意味を持つ言葉なのかを知っておいて損はありません。
いざという時に備えて、正しい使い方をしっかりとマスターしておきましょう。
(上色ゆるり)
※画像はイメージです